- ✓ スキンブースターは肌の深層に美容成分を直接注入し、肌質改善を目指す治療です。
- ✓ ヒアルロン酸やポリヌクレオチド、水光注射など多岐にわたる種類があり、それぞれ異なる効果が期待できます。
- ✓ 治療には内出血、腫れ、アレルギー反応などの注意点があり、医師との十分な相談が不可欠です。
スキンブースターは、肌の再生能力を高め、内側から肌質を改善することを目指す美容医療の一種です。この治療は、単に表面的なケアを行うのではなく、肌の深層に直接有効成分を届けることで、小じわ、ハリの低下、乾燥、毛穴の開きといった様々な肌悩みにアプローチします。当院でも、肌の根本的な改善を希望される患者さまに、スキンブースター治療を提案することが増えています。
スキンブースターとは?その定義とメカニズム

スキンブースターとは、肌の真皮層にヒアルロン酸やアミノ酸、ビタミン、ポリヌクレオチドなどの有効成分を直接注入することで、肌細胞の活性化を促し、肌本来の再生能力やバリア機能を高める治療法の総称です。この治療は、肌の水分保持能力の向上、コラーゲンやエラスチンの生成促進、抗酸化作用など、多角的なアプローチで肌質改善を目指します。
スキンブースターの主な作用メカニズム
スキンブースターの作用メカニズムは、使用される成分によって異なりますが、共通して以下の点が挙げられます。
- 細胞の活性化: 注入された有効成分が線維芽細胞などの肌細胞に直接作用し、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった肌の構成要素の生成を促進します。これにより、肌のハリや弾力、潤いが向上します。
- 水分保持能力の向上: 特に非架橋ヒアルロン酸を主成分とするスキンブースターは、肌の内部に水分を保持し、乾燥による小じわの改善や肌のバリア機能強化に寄与します[2]。
- 抗酸化作用と炎症抑制: ビタミンCなどの抗酸化成分や、特定のペプチドは、紫外線などによる活性酸素のダメージを軽減し、肌の老化を抑制する効果が期待されます。また、炎症を抑えることで肌荒れの改善にもつながります。
- 組織再生の促進: ポリヌクレオチド(PN)やポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)は、DNAの断片からなる成分で、細胞の増殖や組織の修復を促進する作用があるとされています。これにより、肌の再生能力が高まり、傷跡やニキビ跡の改善にも寄与する可能性があります。
これらのメカニズムにより、スキンブースターは肌の根本的な健康状態を改善し、若々しく健やかな肌へと導くことを目指します。
- 非架橋ヒアルロン酸
- 架橋されていない(分子同士が結合していない)ヒアルロン酸で、主に肌の水分補給やハリ改善を目的として使用されます。肌に自然になじみやすく、肌質改善に効果が期待されます。
- ポリヌクレオチド(PN)
- DNAの構成要素であるヌクレオチドが複数結合した高分子で、細胞の再生や組織修復を促進する作用が報告されています。肌の弾力性向上や小じわ改善に用いられます。
スキンブースターにはどのような種類がある?
スキンブースターには様々な種類があり、それぞれ主成分や作用機序が異なります。患者さまの肌の状態や悩みに合わせて最適な製剤を選択することが重要です。当院では、初診時に患者さまの肌質や具体的なお悩みを詳しく伺い、最適なスキンブースターの種類を提案するようにしています。
主要なスキンブースターの種類と特徴
- ヒアルロン酸ベースのスキンブースター:
- ポリヌクレオチド(PN)/ポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN):
- DNAの断片からなる成分で、線維芽細胞の増殖を促進し、コラーゲンやエラスチンの生成をサポートします。肌の弾力性向上、小じわ改善、ニキビ跡や傷跡の修復に寄与すると考えられています。
- カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHA):
- もともとボリュームアップ目的で使われることが多いですが、希釈して注入することで、コラーゲン生成を刺激し、肌のハリや弾力を改善する効果も報告されています[1]。
- PDLLA(ポリ-D,L-乳酸):
- 生体分解性のポリマーで、体内で徐々に分解されながらコラーゲン生成を刺激します。非架橋ヒアルロン酸と組み合わせることで、肌の再生効果が期待されるという予備的な研究も報告されています[4]。
- 複合成分製剤:
- ヒアルロン酸に加えて、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、抗酸化成分などを配合した製剤もあります。これらは複数の肌悩みに同時にアプローチし、より包括的な肌質改善を目指します。
実際の診療では、患者さまの「肌の乾燥がひどくて小じわが気になる」「全体的にハリがなくなってきた」といった具体的な訴えを丁寧に聞き取り、どの成分がその悩みに最も効果的かを判断します。例えば、乾燥と小じわが主訴であればヒアルロン酸ベースの製剤を、肌の根本的な再生力を高めたい場合はポリヌクレオチド製剤を検討するなど、個々のニーズに合わせたカスタマイズが重要です。
| スキンブースターの種類 | 主な成分 | 期待される効果 | 主な適用部位 |
|---|---|---|---|
| ヒアルロン酸ベース | 非架橋ヒアルロン酸 | 肌の潤い、ハリ、小じわ改善、キメ | 顔全体、首、手の甲 |
| ポリヌクレオチド(PN) | DNA断片 | 肌の弾力、小じわ、ニキビ跡、肌再生 | 顔全体、目の周り、首 |
| カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHA) | CaHA微粒子 | コラーゲン生成促進、ハリ、弾力 | 顔全体、特に頬、フェイスライン |
| PDLLA | ポリ-D,L-乳酸 | コラーゲン生成促進、肌のボリューム、ハリ | 顔全体、たるみのある部位 |
| 複合成分製剤 | ヒアルロン酸、アミノ酸、ビタミンなど | 総合的な肌質改善、抗酸化、栄養補給 | 顔全体 |
スキンブースターの効果は?どのような肌悩みに有効?

スキンブースターは、肌の深層に作用することで、様々な肌悩みの改善に寄与することが期待されています。その効果は、使用する製剤や個人の肌質、生活習慣によって異なりますが、多くの患者さまが治療後に肌質の変化を実感されています。
スキンブースターで期待できる具体的な効果
- 肌の潤いとハリの向上: ヒアルロン酸を主成分とするスキンブースターは、肌の水分量を増加させ、乾燥による小じわを目立たなくする効果が期待されます。肌に潤いが満ちることで、全体的なハリ感や弾力も改善される傾向があります[2]。
- 小じわ・ちりめんじわの改善: 特に目の周りや口元の細かな小じわに対して、肌の水分保持能力を高め、コラーゲン生成を促すことで、目立ちにくくする効果が期待できます。
- 毛穴の開きの改善: 肌の弾力性が向上し、キメが整うことで、毛穴が引き締まり目立ちにくくなる効果が期待されます。コヒーシブ・ポリデンシファイド・マトリックス・ヒアルロン酸を用いた研究では、毛穴の改善が報告されています[3]。
- 肌のトーンアップと透明感: 肌のターンオーバーが促進され、健康な細胞が生まれることで、くすみが改善され、肌全体が明るく透明感のある印象になることが期待されます。
- 肌のバリア機能強化: 乾燥や外部刺激に弱い敏感肌の方にとって、肌のバリア機能を高めることで、肌荒れしにくい健やかな肌へと導く効果が期待できます。
- ニキビ跡・傷跡の改善: ポリヌクレオチドなどの肌再生を促す成分は、ニキビ跡の凹凸や軽度の傷跡の修復をサポートし、肌の滑らかさを改善する可能性があります。
臨床の現場では、治療を始めて2〜3ヶ月ほどで「肌がもっちりするようになった」「ファンデーションのノリが良くなった」とおっしゃる方が多いです。特に、乾燥による小じわに悩んでいた患者さまからは、「肌のつっぱり感が減って、一日中潤いが続くようになった」という声もよく聞かれます。PDLLAと非架橋ヒアルロン酸の併用に関する予備的な研究では、肌の若返り効果が示唆されています[4]。
スキンブースターの効果は個人差が大きく、一度の施術で劇的な変化を期待するよりも、複数回の継続的な治療によって徐々に肌質が改善されることが多いです。また、効果の持続期間も製剤の種類や個人の代謝によって異なります。
スキンブースターの注意点と副作用とは?
スキンブースター治療は、肌質改善に有効な選択肢ですが、医療行為であるため、いくつかの注意点と副作用が存在します。患者さまが安心して治療を受けられるよう、事前にこれらの情報を十分に理解しておくことが重要です。
スキンブースター治療における主な注意点
- ダウンタイム: 注入部位に赤み、腫れ、内出血、針跡が生じることがあります。これらは通常数日から1週間程度で自然に引いていきますが、重要な予定がある場合は避けて施術を受けることを推奨します。特に水光注射のように広範囲に多数の針を刺す場合、点状の内出血が目立つことがあります。
- アレルギー反応: ごく稀に、注入成分に対するアレルギー反応(発疹、かゆみ、腫れなど)が生じることがあります。既往歴やアレルギー体質がある場合は、事前に医師に必ず申告してください。
- 感染症のリスク: 針を使用する治療であるため、清潔な環境下で施術が行われない場合や、施術後のケアが不十分な場合に感染症のリスクがあります。当院では、徹底した衛生管理のもと施術を行っていますが、患者さまご自身も施術後の指示を厳守することが大切です。
- 効果の個人差と持続期間: 効果の現れ方や持続期間には個人差があります。一般的には複数回の施術を推奨されることが多く、効果を維持するためには定期的なメンテナンスが必要となる場合があります。
- 妊娠中・授乳中の施術: 妊娠中や授乳中の安全性は確立されていないため、これらの期間中の施術は推奨されません。
- 特定の疾患を持つ方: 自己免疫疾患、出血性疾患、ケロイド体質の方などは、治療を受けられない場合があります。必ず事前に医師に相談してください。
実際の臨床で経験する副作用と対処法
診察の中で「内出血が思ったより長引いて心配」と相談される患者さまも少なくありません。特に目の周りなど皮膚が薄い部位は内出血が出やすく、完全に引くまでに1〜2週間かかることもあります。このような場合、当院では内出血を早く引かせるためのクリームを処方したり、メイクでカバーする方法についてアドバイスしたりしています。また、腫れや赤みに対しては、冷却や抗炎症作用のある外用薬の使用を検討することもあります。
処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。もし異常を感じた場合は、すぐにクリニックに連絡し、適切な指示を受けることが重要です。
スキンブースター治療は、医師の診察と適切なカウンセリングのもとで行われるべき医療行為です。自己判断での施術や、無資格者による施術は大変危険であり、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。必ず信頼できる医療機関で、経験豊富な医師による施術を受けてください。
スキンブースター治療の選び方とクリニック選定のポイント

スキンブースター治療は多種多様であり、どの製剤を選び、どのクリニックで受けるかは、治療効果と安全性を大きく左右します。患者さま一人ひとりの肌質、悩み、予算に合わせた最適な選択をするためには、いくつかの重要なポイントがあります。
最適なスキンブースターを選ぶためのポイント
- 肌の悩みを明確にする: 乾燥、小じわ、ハリの低下、毛穴の開き、ニキビ跡など、ご自身の最も気になる肌悩みを具体的に把握することが第一歩です。これにより、目的に合った成分(ヒアルロン酸、PN、CaHAなど)を選ぶことができます。
- 期待する効果とダウンタイムの許容範囲: どの程度の効果を期待し、どの程度のダウンタイムなら許容できるかを考慮します。即効性を求めるのか、長期的な肌質改善を目指すのかによっても選択肢は変わります。
- 予算と継続性: スキンブースターは複数回の施術が推奨されることが多いため、治療費用だけでなく、継続して通える予算であるかどうかも重要な判断基準です。
信頼できるクリニックを選定するポイント
- 医師の専門性と経験: 美容皮膚科医としての十分な知識と経験を持つ医師が在籍しているかを確認しましょう。スキンブースターは注入手技が重要であり、解剖学的知識と経験が安全な施術につながります。
- 丁寧なカウンセリング: 患者さまの肌の状態や悩みを丁寧に聞き取り、適切な製剤や治療計画を提案してくれるクリニックを選びましょう。メリットだけでなく、デメリットやリスクについてもきちんと説明してくれることが重要です。当院では、問診の際に患者さまの既往歴やアレルギー、現在服用中の薬などを詳しく伺い、禁忌事項がないかを徹底的に確認しています。
- 衛生管理とアフターケア: 感染症のリスクを避けるため、衛生管理が徹底されているクリニックを選びましょう。また、施術後のダウンタイムや副作用に対するアフターケアが充実しているかどうかも確認が必要です。
- 豊富な製剤の選択肢: 一つの製剤に偏らず、様々な種類のスキンブースターを取り扱っているクリニックであれば、より患者さまのニーズに合った治療法が見つかりやすいでしょう。
実際の診療では、患者さまが「どのスキンブースターが良いのか全く分からない」という状態で来院されることも珍しくありません。そのような場合でも、当院ではまず患者さまのライフスタイルや肌の目標をじっくり伺い、科学的根拠に基づいた製剤の選択肢を複数提示し、それぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明することで、患者さまご自身が納得して治療を選べるようサポートしています。例えば、長期的なコラーゲン生成を重視する方にはCaHAやPDLLAを、即効性の潤いを求める方にはヒアルロン酸製剤を提案するなど、患者さまの具体的な希望に合わせた提案を心がけています。
まとめ
スキンブースターは、肌の深層に美容成分を直接注入することで、肌本来の再生能力を高め、様々な肌悩みの改善を目指す治療法です。ヒアルロン酸、ポリヌクレオチド、カルシウムハイドロキシアパタイト、PDLLAなど多岐にわたる種類があり、それぞれ肌の潤い、ハリ、弾力、小じわ、毛穴、ニキビ跡などの改善に効果が期待されます。しかし、内出血、腫れ、アレルギー反応などの副作用や、ダウンタイムが存在するため、治療を受ける際は、医師との十分なカウンセリングを通じて、自身の肌の状態や目的に合った製剤を選択し、リスクを理解した上で、経験豊富な医師が在籍する信頼できる医療機関で施術を受けることが重要です。
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よくある質問(FAQ)
- Ji Yeon Hong, Kui Young Park. Dual Benefits of Calcium Hydroxyapatite Filler: A Prospective Study on Midface Volume Restoration and Skin Quality Enhancement.. Journal of cosmetic dermatology. 2025. PMID: 40439277. DOI: 10.1111/jocd.70265
- Joo Hee Lee, Jemin Kim, Yun Na Lee et al.. The efficacy of intradermal hyaluronic acid filler as a skin quality booster: A prospective, single-center, single-arm pilot study.. Journal of cosmetic dermatology. 2024. PMID: 37705328. DOI: 10.1111/jocd.15944
- Thanachat Rutnumnoi, Pasita Palakornkitti, Tanaporn Anuntrangsee et al.. Superficial Intradermal Injections of Cohesive Polydensified Matrix Hyaluronic Acid Fillers for the Improvement of Facial Pores and Skin Quality: A Split-Face Randomized Study.. Journal of cosmetic dermatology. 2025. PMID: 40304039. DOI: 10.1111/jocd.70209
- Suk Bae Seo, Hyunwoo Park, Ju Young Jo et al.. Skin rejuvenation effect of the combined PDLLA and non cross-linked hyaluronic acid: A preliminary study.. Journal of cosmetic dermatology. 2024. PMID: 37969055. DOI: 10.1111/jocd.16085
- アルツディスポ(ヒアルロン)添付文書(JAPIC)
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