災害時のアトピー性皮膚炎の薬と保湿について皮膚科で相談する診療イメージ

Atopic Dermatitis Column

災害時のアトピー対策避難先で薬と保湿を続ける準備

災害時のアトピー対策は、まず身の安全を確保したうえで、普段の外用薬と保湿剤を続ける準備、処方内容を伝える記録、入浴できないときの刺激を減らす方法をそろえることが基本です。避難先では乾燥、汗、ほこり、寝具、睡眠不足が重なり、いつものケアが難しくなります。 この記事では、持ち出し袋へ入れる物、薬の保管と補充、濡れタオルでの押し拭き、避難所で相談したいこと、痛み・発熱・急な広がりなど受診を急ぐ変化を順に整理します。薬の量や強さは自己判断で変えず、平時に処方元へ非常時の対応を確認しましょう。

監修: 吉井恭平 災害・避難時のアトピー性皮膚炎ケア 最終更新 2026-07-21

まず押さえたい、3つのポイント

01

外用薬・保湿剤、お薬手帳や処方内容の写真、連絡先を一つのポーチへまとめる

02

使用期限と残量を定期確認し、必要な予備量や特殊な保管条件は処方元・薬局へ相談する

03

入浴できないときは熱い湯や強い清拭を避け、ぬるい濡れタオルでやさしく押し拭きする

まず安全を確保し、薬の強さや回数を自己判断で変えないでください

避難が必要な場面では命を守る行動を最優先にします。薬を持ち出せなかった、足りなくなった、保管状態が分からない場合は、自己判断で別の薬へ置き換えたり、外用回数を増減したりせず、避難所の担当者、救護所、医療機関、薬局へ相談してください。急な痛み、発熱、広がる赤み、膿や黄色いかさぶた、目の周囲を含む水疱がある場合は早めの医療評価が必要です。

01 / Overview

結論:薬・情報・代替ケア・相談先を4点セットで準備します

災害時のアトピー対策は、普段使う外用薬と保湿剤、処方内容が分かる記録、入浴できないときのケア用品、悪化時の相談先を一つの組み合わせとして準備します。薬だけあっても塗る場所や回数が分からなければ、避難先の医療者へ正確に伝えにくくなります。

持ち出し用ポーチには、使用中の薬、保湿剤、お薬手帳または電子版の記録、薬袋・容器の写真、かかりつけ医と薬局の連絡先をまとめます。家族の薬が複数ある場合は、氏名や用途を取り違えないよう分け、定期的に中身を確認します。

避難生活では、乾燥、汗、ほこり、寝具、衣類の摩擦、睡眠不足などが同時に変わります。原因を一つに決めつけず、いつもの治療を続けられたか、どの部位がいつ悪化したか、痛みや発熱がないかを順に確認しましょう。

  • 持ち出す:普段の外用薬・保湿剤と最小限の清拭用品
  • 伝える:薬名、塗る部位、回数、アレルギー歴、連絡先
  • 相談する:薬の不足、保管不明、感染を疑う変化は医療者へ
02 / Medicine Information

薬の情報:名前だけでなく、塗る場所・回数・使い分けを残します

外用薬は、同じ人でも顔、首、体、手足で種類や強さを使い分けることがあります。薬の名前だけでなく、どの部位へ、1日何回、症状が落ち着いた後はどうするかを、処方時の説明に沿って短く記録しておきます。

紙のお薬手帳、電子版お薬手帳、薬袋、外用薬チューブの表裏写真など、複数の方法で記録すると、どれか一つを持ち出せない場合にも説明しやすくなります。スマートフォンだけに頼る場合は、停電や通信障害、充電切れも考え、紙のメモも一緒に用意します。

内服薬、注射薬、生物学的製剤などを使用している方は、常温でよいか、冷蔵が必要か、停電時にどう扱うかが製品ごとに異なります。保冷剤へ直接当てる、凍結させるなどの自己流の保管は避け、平時に医師・薬剤師へ具体的な方法を確認してください。

  • 薬名・剤形・塗る部位・回数をセットで記録する
  • 紙、電子、容器写真のうち複数を用意する
  • 冷蔵や遮光が必要な薬は製品ごとの指示を確認する
03 / Packing & Rotation

持ち出し方:日常用と非常用を分け、期限と残量を入れ替えます

持ち出し用は、防水性のあるポーチへ薬と保湿剤をまとめ、清潔な柔らかいタオル、無香料で使い慣れたケア用品、爪切り、記録メモも無理のない範囲で加えます。液漏れを防ぐため容器のふたを確認し、薬袋や説明書は別の小袋へ入れます。

非常用の薬を長期間入れっぱなしにすると、使用期限切れ、分離、変色、容器破損に気づきにくくなります。防災用品を見直す日を決め、日常で使う薬と入れ替えながら、残量、期限、外観、保管条件を確認します。異常がある薬は自己判断で使わず薬局へ相談します。

必要な予備量は、症状の範囲、使用量、次回受診までの期間、薬の種類で異なります。災害対策を理由に多量処方を求めるのではなく、受診間隔や保管可能期間も含めて処方元へ相談し、避難先で不足した場合の連絡方法を確認しておきましょう。

  • 薬・保湿剤:普段使っている物を、薬袋や説明と一緒にまとめる
  • 清拭用品:清潔な柔らかいタオルと使い慣れた低刺激の用品に絞る
  • 記録:お薬手帳、容器写真、塗る部位、連絡先を紙と電子で残す
  • 定期確認:残量、使用期限、外観、保管条件を見直して入れ替える
04 / When Medicine Is Missing

薬を持ち出せない・足りない:現物と記録を示し、早めに相談します

薬を持ち出せなかった場合は、避難所の担当者、救護所、巡回医療班、近隣の医療機関や薬局へ、アトピー性皮膚炎で治療中であることを伝えます。記憶だけで説明しにくいときは、お薬手帳、電子記録、薬袋や容器の写真、かかりつけ医・薬局名を示します。

別の家族の外用薬を借りる、似た色のチューブを使う、市販薬を複数重ねることは避けます。処方薬が見つからない場合も、急に中止する、回数を増やす、強い薬だけを広範囲へ塗るといった変更はせず、今の皮膚症状と最後に使った時刻を医療者へ伝えて判断を受けます。

災害時の医療・薬の提供方法は、地域、被災状況、避難所の体制で変わります。平時と同じ場所ですぐ処方を受けられるとは限らないため、残りが少なくなってからではなく、数日分ある段階で担当者へ相談してください。

  • 病名と治療中であること
  • 薬名、剤形、塗る部位、回数、最後に使った時刻
  • 残量と今の症状、痛み・発熱・急な広がりの有無
  • お薬手帳、薬袋・容器写真、処方元・薬局の連絡先
05 / Without Bathing

入浴できないとき:こすり落とさず、押し拭きと保湿で刺激を減らします

入浴やシャワーが難しいときは、皮膚を清潔にしようとして強くこすらないことが大切です。熱すぎない湯で濡らした清潔な柔らかいタオルを使い、汗や汚れが気になる場所をやさしく押し拭きします。濡れタオルを長時間当て続けると体が冷えるため、短時間で行います。

市販のウエットティッシュや清拭用品には、アルコール、香料、防腐成分などが含まれ、刺激になることがあります。使い慣れていない製品を広い範囲へ一度に使わず、成分表示を確認し、可能なら狭い範囲で刺激がないか見ます。しみる、赤みが増える場合は使用を中止します。

押し拭き後は水分をそっと押さえ、普段使っている保湿剤や処方外用薬を、説明された順番・量・範囲で使用します。水や清潔なタオルが確保できない場合は無理に清拭せず、避難所や行政の担当者へシャワー、清拭場所、物資について相談しましょう。

避難先で入浴できないときに軽い乾燥と赤みがある前腕を濡れタオルでやさしく押し拭きするケア
症例写真風イメージです。実在患者さんの症例写真ではありません。入浴できないときは、熱すぎない湯で濡らした清潔なタオルを使い、こすらずにやさしく押し拭きします。
  • 熱い湯、硬いタオル、強いこすり洗いを避ける
  • 使い慣れない清拭用品は成分と刺激を確認する
  • ケア用品や清潔な場所が不足したら担当者へ具体的に相談する
06 / Shelter Environment

避難先の環境:乾燥・汗・ほこり・寝具・睡眠を一つずつ見ます

避難所や一時滞在先では、空調による乾燥、汗、ほこり、煙、慣れない寝具、衣類の重ね着、洗剤の変更、睡眠不足などが重なります。アトピーの悪化を一つの原因に決めつけず、症状が出た時刻と、その前に変わった条件を短く記録します。

ほこりや煙で悪化すると感じる場合は、可能な範囲で発生源から離れ、換気や寝る場所の変更を担当者へ相談します。寝具が肌へ直接触れて刺激になるときは、清潔な綿の衣類やシーツを間に入れ、汗で湿った衣類を長時間着続けないようにします。

かゆみで眠れない状態が続くと、掻き壊しや治療の中断につながります。夜のかゆみ、眠れた時間、薬を使えたかを記録し、本人だけで我慢せず家族や避難所スタッフへ伝えます。ストレスだけを原因と断定せず、皮膚の炎症と生活条件を合わせて評価することが大切です。

07 / Warning Signs

受診を急ぐ変化:痛み・熱感・急な広がり・膿・発熱を見逃しません

避難生活で乾燥やかゆみが増えても、すべてをいつものアトピーと考えないでください。急に痛みが強くなる、赤みや腫れが短時間で広がる、触ると熱い、膿や黄色いかさぶたが増える、発熱や強いだるさがある場合は、細菌感染などの評価が必要です。

小さな水疱やただれがまとまって増える、強い痛みを伴う、目の周囲へ広がる、発熱を伴う場合も早めに医療者へ伝えます。写真を撮れる状況なら、全体像と近接像を同じ時刻に残しますが、撮影のために避難や受診を遅らせないでください。

息苦しさ、意識がもうろうとする、唇や舌の腫れなど皮膚だけではない緊急症状がある場合は、アトピーの外用ケアより救急対応を優先します。避難所では、医療スペースが分からなくても近くのスタッフへ症状と発症時刻を伝えてください。

  • 皮膚:急な痛み、熱感、広がる赤み、膿、黄色いかさぶた
  • 全身:発熱、強いだるさ、目の周囲へ広がる水疱やただれ
  • 救急:息苦しさ、意識障害、唇・舌の腫れは安全確保と救急要請を優先
08 / Visit & Checklist

平時の受診で確認すること:予備量、保管、悪化時の計画を相談します

平時の診察では、どの薬をどの部位へ使うか、次回受診までの必要量、持ち出し用の準備、使用期限、避難中に薬が足りなくなった場合の相談先を確認します。注射薬や保管条件のある薬は、停電や移動時の扱いを製品ごとに聞いてください。

持参するとよい情報は、お薬手帳、実際の薬、薬袋や容器の写真、塗る部位を示した簡単な図、過去に感染した部位、薬や清拭用品でしみた経験、かかりつけ薬局の連絡先です。家族が代わりに説明する場合も同じ情報が使えます。

災害時のためだけに治療を変えるのではなく、普段の症状を安定させ、継続できる方法を一緒に作ることが基本です。備蓄内容は季節や治療変更で変わるため、防災用品の見直し日に薬の記録も更新しましょう。

  • 必要量と予備の考え方を、次回受診日と使用量から確認する
  • 注射薬など保管条件のある薬は、移動・停電・保管不明時の対応を聞く
  • 感染を疑う変化と、避難先で相談する順序を家族とも共有する

池袋でアトピーの災害時の薬・保湿を相談したい方へ

池袋で皮膚科受診をご検討の方へ

池袋駅周辺や東池袋でアトピー性皮膚炎の治療を続けている方は、災害が起きてから薬を集めるのではなく、平時の診察で非常時に持ち出す外用薬・保湿剤の種類、塗る場所、回数、保管方法を確認しておくと安心です。予備の処方が可能かどうかは治療内容や受診時期で異なるため、自己判断でため込まず医師・薬剤師へ相談してください。

池袋サンシャイン通り皮膚科では、一般皮膚科(保険診療)としてアトピー性皮膚炎や湿疹を診療しています。受診時に、使用中の薬、お薬手帳、薬袋やチューブの写真、悪化しやすい部位、過去の感染歴、注射薬を含む保管条件のある治療の有無を伝えると、非常時の準備を具体的に確認しやすくなります。

FAQ

よくある質問

災害用にアトピーの塗り薬は何日分備えるべきですか?

一律の日数は決められません。症状の範囲、塗る量、治療内容、受診間隔、薬の使用期限や保管条件で異なります。多量にため込むのではなく、次回受診までに必要な量と持ち出し用の考え方を平時に医師・薬剤師へ相談し、期限と残量を定期的に入れ替えてください。

避難所でアトピーの薬がなくなったら、どう伝えればよいですか?

避難所スタッフ、救護所、巡回医療班、近隣の医療機関や薬局へ、アトピーで治療中であること、薬名、塗る部位、回数、最後に使った時刻、今の症状を伝えます。お薬手帳、電子記録、薬袋や容器の写真、かかりつけ医・薬局の連絡先があると確認に役立ちます。

避難先で入浴できないとき、ウエットティッシュで拭いてよいですか?

アルコールや香料などが刺激になることがあります。可能なら熱すぎない湯で濡らした清潔な柔らかいタオルを使い、こすらず押し拭きします。使い慣れない製品は広い範囲へ一度に使わず、しみる、赤みが増える場合は中止し、清拭やシャワーの確保を担当者へ相談してください。

冷蔵が必要なアトピーの注射薬は避難時に保冷剤へ当てればよいですか?

薬によって許容温度、遮光、持ち運び時間が異なり、保冷剤へ直接当てると凍結するおそれもあります。自己流で冷やさず、平時に処方元や薬局へ製品ごとの移動・停電時の対応を確認してください。保管状態が分からなくなった薬は、使用前に医療者へ相談します。

避難生活でアトピーが悪化したら、どの症状で受診を急ぎますか?

急な痛みや熱感、短時間で広がる赤み、膿、黄色いかさぶた、まとまって増える水疱やただれ、目の周囲への広がり、発熱や強いだるさがある場合は早めに医療者へ伝えてください。息苦しさ、意識障害、唇や舌の腫れがあれば救急対応を優先します。

参考文献
  1. 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024.
  2. アレルギーポータル. 災害時におけるアレルギー疾患への対応.
  3. アレルギーポータル. アレルギー疾患の災害対応Q&A集.
  4. 厚生労働省. 電子版お薬手帳.
  5. 厚生労働省. 薬局・薬剤師の災害対応.
  6. American Academy of Dermatology. Atopic dermatitis: Diagnosis and treatment.