池袋サンシャイン通り皮膚科の診療スペース
ULCER DIAGNOSIS / REFERRAL

壊疽性膿皮症の検査・生検・紹介|治らない皮膚潰瘍の鑑別

壊疽性膿皮症には一つで確定できる検査がありません。感染症など緊急性の高い病気を除外しながら、潰瘍の形・拡大速度、培養、生検、血流、基礎疾患、治療反応を合わせて診断します。

治らない潰瘍培養皮膚生検病院紹介
患者さん・ご家族向け

ここからは患者さん向けの解説です

症状・受診の目安・治療の流れを、日常の言葉を先にして説明します。処方や診療実務の専門情報は、ページ後半に分けています。

01

治らない潰瘍で早めに受診するサイン

壊疽性膿皮症に限らず、重症感染症や血流障害を含めて評価します。

01強い痛みと急速な拡大

数日単位で潰瘍が広がる、赤紫色の辺縁、見た目以上の強い痛み。

02処置・手術後に悪化

切開、デブリードマン、生検、手術創の周囲に新しい潰瘍が出る。

03抗菌薬で改善しない

感染評価と治療をしても拡大する場合は炎症性潰瘍を再評価。

救急評価が必要:発熱、血圧低下、意識変容、急速に広がる発赤・水疱・壊死、強い全身倦怠感は壊死性軟部組織感染症なども否定できません。

02

似ている病気を順番に除外

『培養が陰性だから壊疽性膿皮症』という診断ではなく、複数の情報を統合します。

表は左右に動かして確認できます

領域主な鑑別検査・確認
感染細菌、深在性真菌、抗酸菌、壊死性軟部組織感染培養・組織検査、画像、全身状態
血管動脈性・静脈性潰瘍、血管炎、血栓性疾患脈拍・血流、静脈、自己抗体・凝固
腫瘍有棘細胞癌、皮膚リンパ腫等潰瘍底を含む病理
代謝・圧迫糖尿病性、褥瘡、薬剤性、自己損傷病歴、部位、神経・循環、薬歴
炎症性壊疽性膿皮症、血管炎性潰瘍、他の好中球性皮膚症臨床・病理・基礎疾患・治療反応
03

皮膚生検で分かること・分からないこと

病理所見は診断の一部であり、除外診断としての役割が重要です。

分かる可能性があること

好中球浸潤、血管炎、感染を示す所見、悪性腫瘍など。

生検だけでは分からないこと

壊疽性膿皮症に特異的な所見は乏しく、臨床経過なしに確定はできません。

採取する位置

所見が残る潰瘍辺縁を含め、腫瘍除外では潰瘍底も検討します。

パテルギー

生検刺激で悪化する可能性があり、必要性とリスクを説明します。

検査を怖がって避けるだけでも、無計画に繰り返すだけでも不十分です。
感染症や腫瘍を見逃す危険と、刺激で悪化する危険の両方を比較して決めます。

04

基礎疾患を探す問診と検査

皮膚症状が炎症性腸疾患・関節疾患・血液疾患の手がかりになることがあります。

消化器症状

長引く下痢、血便、腹痛、体重減少。必要時に消化器内科へ。

関節・血管症状

関節の腫れ・こわばり、背部痛、脈の左右差など。

血液異常

貧血、白血球・血小板異常、蛋白異常。必要時に血液内科へ。

皮膚・自己炎症

化膿性汗腺炎、重症ざ瘡、発熱、家族歴などを確認。

05

皮膚科受診から専門施設への紹介

緊急性、必要な検査、治療範囲を明確にして連携します。

01緊急評価

感染、血流障害、急速な壊死を先に評価。

02検査計画

培養・生検・血液・血管検査を選択。

03初期治療

愛護的創傷管理、疼痛、炎症・感染を調整。

04紹介・併診

入院、関連科、生物学的製剤の体制に応じ連携。

紹介先は一つとは限りません。 皮膚科を軸に、消化器内科、膠原病・リウマチ科、血液内科、感染症科、形成外科、疼痛診療などを病状に応じて組み合わせます。

06

受診・紹介時に持参するとよいもの

傷の変化を時系列で再現できると、診断と治療判断に役立ちます。

表は左右に動かして確認できます

持参物内容
写真発症前、小さな膿疱、潰瘍化、拡大後を日付付きで
治療歴抗菌薬、外用薬、ステロイド・免疫抑制薬、処置・手術と反応
検査結果培養、病理、採血、画像、血流検査
症状メモ痛み0~10、発熱、拡大速度、腹痛・血便、関節症状
基本情報お薬手帳、アレルギー、感染症歴、ワクチン、妊娠可能性
08

よくある質問

壊疽性膿皮症は生検だけで診断できますか?

生検だけで確定する病気ではありません。潰瘍辺縁の好中球浸潤などを確認しつつ、感染症・血管炎・腫瘍などを除外して総合判断します。

生検で悪化しませんか?

刺激で悪化するパテルギーの可能性があります。必要性、採取部位、悪化リスクを説明したうえで個別に判断します。

何科を受診すればよいですか?

まず皮膚科で潰瘍を評価します。炎症性腸疾患、関節症状、血液異常などがあれば消化器内科・膠原病内科・血液内科等と連携します。

手術後の傷が急に広がった場合も疑いますか?

術後創の急速な拡大、強い痛み、紫紅色の辺縁、抗菌薬や処置で改善しない場合は鑑別に入ります。感染症の緊急評価も必要です。

紹介状に何を書いてもらうとよいですか?

発症と拡大速度、治療歴、培養・病理・血液検査、写真、疼痛、基礎疾患、手術歴、使用薬と反応を整理すると役立ちます。

07

監修医師

診断・処方だけでなく、除外診断、創傷管理、基礎疾患連携まで確認しています。

池袋サンシャイン通り皮膚科 院長 吉井恭平

MEDICAL SUPERVISOR

吉井 恭平

池袋サンシャイン通り皮膚科 院長

院長紹介を見る →

監修医からのメッセージ

生検は壊疽性膿皮症を一枚の病理標本だけで確定する検査ではありません。感染症、血管炎、血流障害、腫瘍などを除外するために、採取部位と培養を計画し、刺激による悪化の可能性も説明します。紹介先で診療が途切れないよう、写真・拡大速度・治療反応・基礎疾患を整理する構成にしました。

01鑑別を優先

感染・血管・腫瘍などを除外。

02疾患別用法

壊疽性膿皮症の承認用法を電子添文で照合。

03処置悪化を回避

パテルギーと紹介時期を明確化。

最終医学レビュー:2026年8月13日一次資料:PMDA・日本皮膚科学会
ここで情報が切り替わります

ここからは医療従事者・処方医向けです

適応判断、承認用法、モニタリング、安全管理、エビデンスを専門用語で整理しています。

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FOR PRESCRIBERS / MEDICAL PROFESSIONALS

治らない皮膚潰瘍の診断・生検・紹介

感染症の緊急評価と壊疽性膿皮症の除外診断を同時並行で進めます。

診療時点の電子添文、日本皮膚科学会「壊疽性膿皮症診療の手引き2022」「アダリムマブの使用手引き」を優先してください。

緊急度1. まず壊死性感染症・重症感染を除外
所見対応
全身毒性発熱、血圧低下、意識変容、急速な発赤・水疱・捻髪音救急・外科・感染症科へ即時連携
PG示唆強い疼痛、紫紅色穿掘性辺縁、処置後悪化、抗菌薬不応感染評価を続けながら皮膚科で並行診断
術後縫合部を越える急速拡大、両側・多発、培養陰性術後PGを鑑別し不要な再手術を回避
検査2. 培養・病理・血管評価の設計
検査目的注意
培養細菌、真菌、抗酸菌等の除外抗菌薬前採取を検討し、表面培養だけに依存しない
生検好中球性皮膚症の示唆、血管炎・腫瘍・感染の除外潰瘍辺縁を含む紡錘形、必要時潰瘍底。pathergyを説明
血管動脈・静脈性潰瘍、血栓性疾患脈拍・ABI等、静脈超音波、臨床に応じ追加
写真計測面積・炎症・治癒の再現性スケールと撮影条件を統一
全身検索3. 基礎疾患の検索
領域
消化管便通・血便・腹痛、炎症性腸疾患評価
関節・血管関節炎、関節リウマチ、大動脈炎症候群等
血液CBC、末梢血像、蛋白分画、必要時血液内科
薬剤・自己炎症薬歴、化膿性汗腺炎、ざ瘡、発熱・家族歴
紹介4. 紹介状に必要な情報
  • 発症日、拡大速度、疼痛、部位、パテルギー・手術歴、写真と面積。
  • 培養・病理・血液・血管検査、使用した抗菌薬・免疫抑制薬と反応。
  • 炎症性腸疾患、関節疾患、血液疾患、悪性腫瘍、感染症歴、妊娠可能性。
  • 入院適応、疼痛管理、創傷ケア、専門科連携、生物学的製剤導入の希望を明記します。
一次資料5. 一次資料・学会資料

本節は医療従事者の情報確認を目的とした一般的な整理です。実際の診断・処方・紹介は最新資料、検査結果、患者背景、施設体制に基づいて判断してください。

09

参考文献・一次資料

  1. 日本皮膚科学会 壊疽性膿皮症診療の手引き2022
  2. 日本皮膚科学会 壊疽性膿皮症におけるアダリムマブの使用手引き
  3. 日本皮膚科学会 一般公開ガイドライン
  4. PMDA ヒュミラ電子添文

最終医学レビュー:2026年8月13日。掲載内容は一般的な医療情報です。実際の診断・処方・紹介は診察時点の最新資料と個々の状態をもとに判断します。