
Skin Disease Basics
しいたけ皮膚炎とは?原因・症状・治療法
しいたけを食べたあと、体幹や腕に線状の赤みとかゆみが出ることがあります。特徴的な症状、原因として考えられている成分、治療と予防の考え方を皮膚科医の視点で整理します。
この記事でわかること
- しいたけ皮膚炎で見られる鞭状の赤みとかゆみ
- 原因として考えられるレンティナンと加熱不足の関係
- 皮膚科での診断、治療、受診の目安
- 再発を防ぐための調理と食べ方のポイント
01
Overview
しいたけ皮膚炎とは
しいたけ皮膚炎は、しいたけを食べたあとに体幹や腕、首などへ線状の赤みとかゆみが出る皮膚炎です。まるで引っかいたような細い赤みが複数並ぶため、鞭状紅斑と表現されます。
典型的には摂取後しばらくしてから発疹が目立ちます。すべての赤い発疹がしいたけ皮膚炎というわけではないため、食事内容、発症までの時間、発疹の出方、かゆみの強さを合わせて確認します。
海外では shiitake flagellate dermatitis と呼ばれ、生または加熱が不十分なしいたけを食べたあとに起こる特徴的な発疹として整理されています。見た目にインパクトがあるため不安になりやすい症状ですが、経過や食事歴を丁寧に確認することで診断の手がかりを得やすい疾患です。
ただし、線状の赤みは掻き壊し、薬剤による皮疹、膠原病に関連する発疹などでも見られることがあります。しいたけを食べた記憶がある場合でも、発熱、痛み、水ぶくれ、粘膜症状などがあれば、別の病気が隠れていないか確認が必要です。
- 線状、網目状、引っかき傷のような赤みが出る
- 強いかゆみを伴うことがある
- 体幹、腕、首など広い範囲に出ることがある
02
Cause
原因:レンティナンと加熱不足の関係
原因としてよく挙げられるのが、しいたけに含まれる多糖類のレンティナンです。十分に加熱されていないしいたけを摂取したあとに症状が出た報告があり、加熱調理が予防の重要なポイントになります。
一方で、体質や摂取量、調理状態、他の食材や薬剤などが関係することもあります。食事の記録があると診察時に判断しやすくなります。
レンティナンは熱の影響を受けやすい成分とされ、十分に加熱されたしいたけでは発症しにくいと考えられています。特に鍋、炒め物、焼きしいたけなどで、表面は火が通っているように見えても中心が生に近い場合は注意が必要です。
乾燥しいたけでも、戻したあとに加熱が不十分であればリスクが残る可能性があります。食べた量が少なくても症状が出ることがあるため、過去に同じような発疹を経験した方は、調理方法と症状の出方を控えておくと再発予防に役立ちます。
- 生焼け、加熱不足のしいたけで起こりやすいとされる
- 乾燥しいたけでも戻し方や加熱状態に注意する
- 同じ食事をした人全員に起こるとは限らない
03
Symptoms
症状:鞭状の赤みとかゆみ
典型的な症状は、細い線が何本も走るような赤い発疹です。かゆくて掻いたあとにさらに目立つこともあり、湿疹、薬疹、接触皮膚炎、帯状疱疹などと迷うことがあります。
発疹の範囲が広い、かゆみが強い、睡眠に影響する、痛みや水ぶくれを伴う場合は、自己判断で様子を見すぎず皮膚科で確認しましょう。
発症時期は食後24時間前後が典型とされますが、数時間後から数日後まで幅があります。食事直後ではなく翌日に目立つこともあるため、前日から数日前に食べたものを思い出すことが診断の助けになります。
発疹は体幹に多く、腕、首、頭部などに広がることもあります。粘膜に出にくいとされますが、局所の腫れ、だるさ、発熱、下痢、しびれ感などを伴う報告もあります。全身症状がある場合は、しいたけ皮膚炎だけと決めつけず受診してください。
- 食後数時間から数日後に発疹が目立つことがある
- 体幹、腕、首などに線状の赤みが出やすい
- かゆみが強く、掻くことで赤みがさらに目立つことがある
04
Treatment
診断と皮膚科での治療
診察では、発疹の形、出現した部位、食事歴、発症までの時間、使用中の薬やサプリメントなどを確認します。食べたものや発疹が出たタイミングをメモしておくと役立ちます。
治療は症状の強さに応じて、かゆみや炎症を抑える外用薬、内服薬などを検討します。掻き壊すと色素沈着や二次感染につながることがあるため、かゆみを我慢し続けないことも大切です。
しいたけ皮膚炎に特異的な血液検査はなく、診断は主に問診と発疹の見た目から行います。必要に応じて、薬疹、感染症、じんましん、接触皮膚炎、帯状疱疹などを除外するための確認を行います。
軽症であれば自然に落ち着くこともありますが、かゆみが強い場合は外用薬や抗ヒスタミン薬などで症状を和らげることがあります。治療で必ず早く治るとは限りませんが、掻き壊しや睡眠障害を防ぐ意味で、症状に合わせた対応が大切です。
発疹が消えるまでの期間には個人差があります。数日で改善傾向が出ることもありますが、完全に落ち着くまで数週間かかることもあるため、広がり方やかゆみの変化を見ながら経過を確認します。
- 発疹が出た日の食事内容を記録する
- 症状が強い時の写真を残す
- 市販薬で改善しない場合は診察で確認する
05
Prevention
予防:しいたけは中心まで十分に加熱する
予防で最も大切なのは、しいたけを中心までしっかり加熱することです。表面だけ焼けていて中が生っぽい状態、低温で短時間の調理、戻した乾燥しいたけの加熱不足には注意しましょう。
過去にしいたけ皮膚炎が疑われた方は、再び食べる前に体調や調理方法を確認し、不安が強い場合は医師へ相談してください。
焼きしいたけでは表面に焼き色がついても、厚みのある部分に火が通りきっていないことがあります。鍋料理や汁物では、最後に加えたしいたけが十分に加熱されないまま食べられることもあるため、中心まで加熱されているかを意識しましょう。
再発が心配な方は、しばらくしいたけを避ける、少量からにする、十分な加熱を徹底するなど、症状の強さに応じて対応を考えます。飲食店で食べる場合は調理状態を確認しにくいため、過去に強い症状が出た方は慎重に判断してください。
- 表面だけでなく中心まで火が通っているか確認する
- 乾燥しいたけは戻したあとも十分に加熱する
- 過去に強い症状が出た場合は再摂取前に医師へ相談する
06
When To Visit
皮膚科を受診したい目安
しいたけを食べたあとに特徴的な発疹が出た場合でも、他の皮膚疾患や薬剤、感染症が隠れていることがあります。特に初めての症状、範囲が広い症状、痛みや水ぶくれを伴う症状は診察をおすすめします。
池袋サンシャイン通り皮膚科では、一般皮膚科で湿疹、じんましん、かぶれ、感染症など幅広い皮膚症状を診療しています。
受診時は、発疹が一番強かった時の写真、食べたしいたけの調理方法、同じ食事をした人に症状があったか、使用した市販薬やサプリメントを伝えてください。時間が経つと発疹の形が変わることがあるため、写真は診察の参考になります。
食後の発疹に加えて息苦しさ、唇やまぶたの腫れ、強い腹痛、ふらつきがある場合は、アレルギー反応など別の緊急性も考えます。そうした症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
- 強いかゆみで眠れない
- 発疹が広がる、長引く
- 痛み、水ぶくれ、発熱を伴う
- 原因がしいたけかどうか判断に迷う
07
Summary
まとめ
しいたけ皮膚炎は、しいたけ摂取後に鞭状の赤みとかゆみが出る特徴的な皮膚炎です。加熱不足との関連が知られており、予防には十分な加熱が重要です。
ただし、見た目だけで断定できない発疹もあります。症状が強い、長引く、原因がはっきりしない場合は、食事内容や発疹の写真を持参して皮膚科でご相談ください。
ポイントは、食事歴、発疹の形、発症までの時間、症状の強さをセットで見ることです。しいたけを食べたことに心当たりがある場合でも、薬や感染症、別の皮膚疾患が関係していないかを確認することが安心につながります。
再発予防では、しいたけを生または加熱不十分な状態で食べないことが基本です。自宅で調理する場合も外食の場合も、中心までしっかり火が通っているかを意識しましょう。
FAQ
よくある質問
しいたけ皮膚炎はアレルギーですか?
典型的には、しいたけに含まれる成分や加熱不足との関連が考えられています。ただし食後の症状にはアレルギー反応が関係することもあるため、息苦しさやむくみなど全身症状がある場合は早めに医療機関へ相談してください。
症状はどのくらいで治りますか?
経過には個人差があります。軽い場合は数日から1週間程度で落ち着くこともありますが、かゆみが強い、範囲が広い、長引く場合は治療で症状を抑えた方がよいことがあります。
またしいたけを食べても大丈夫ですか?
再発予防には十分な加熱が重要です。過去に強い症状が出た方、再び食べるのが不安な方は、体調や症状の程度を踏まえて医師へ相談してください。
受診時に何を伝えるとよいですか?
いつ何を食べたか、発疹が出た時間、部位、かゆみの強さ、使った薬、症状の写真があると診察の参考になります。
Doctor’s Message
監修医師メッセージ
吉井恭平|池袋サンシャイン通り皮膚科 院長
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References
参考文献
- Nguyen AH, Gonzaga MI, Lim VM, Adler MJ, Mitkov MV, Cappel MA. Clinical features of shiitake dermatitis: a systematic review. Int J Dermatol. 2017.
- Scheiba N, Andrulis M, Helmbold P. Treatment of shiitake dermatitis by balneo PUVA therapy. J Am Acad Dermatol. 2011.
- DermNet. Shiitake flagellate dermatitis.