
リットフーロ(リトレシチニブ)とは|円形脱毛症への効果・飲み方・副作用
リットフーロは、広範囲で難治の円形脱毛症に用いる内服JAK阻害薬です。使える条件、50mgを1日1回の飲み方、48週までの効果判定、必要な検査を患者さん向けと処方医向けに分けて解説します。
ここからは患者さん向けの解説です
症状・受診の目安・治療の流れを、日常の言葉を先にして説明します。処方や診療実務の専門情報は、ページ後半に分けています。
リットフーロの位置づけ
円形脱毛症のすべてに使う薬ではなく、一定の重症度と経過を満たす場合に検討する全身治療です。
1日1回の内服JAK阻害薬
免疫反応に関わるJAK3とTECファミリーキナーゼの働きを抑え、毛包への免疫反応を調整します。AGAの発毛薬ではありません。
円形脱毛症の診断、頭部の脱毛範囲、直近約6か月の発毛、これまでの治療、感染症や予防接種、併用薬を確認して適応を判断します。
12歳未満は対象外です。
1日1回内服します。
開始時の目安です。
反応を確認します。
どのような人が対象になりますか
年齢だけでなく、脱毛の広さ、自然な発毛の有無、診断と既治療をまとめて確認します。
診察では脱毛範囲の指標(SALT)などを用いて頭部の脱毛範囲を評価します。
産毛や太い毛が戻っている範囲、経過写真も判断材料です。
既治療の内容と反応、眉毛・まつ毛・爪、生活への影響も確認します。
飲み方と通院の流れ
50mgを1日1回服用し、開始前と治療中の検査、発毛の記録を続けます。
感染症・結核・B型肝炎、血球、肝機能、脂質、ワクチン、妊娠、持病と併用薬を確認します。
処方された方法で服用します。飲み忘れで2回分をまとめず、対応は医師・薬剤師に確認します。
発毛だけでなく感染症の症状、血球、肝機能、脂質などを確認します。
通常48週までに反応がなければ中止を検討します。改善しても自己判断で中止しません。
効果は「毛が生えたか」だけで判断しません
同じ角度・明るさの写真と脱毛範囲を使い、時間をかけて変化を確認します。
SALTは頭部全体の脱毛割合を評価する尺度です。数値だけでなく眉毛・まつ毛・爪、進行の止まり方も確認します。
見た目への不安、学校・仕事、ウィッグ、通院・検査の負担を含め、続ける利益と負担を定期的に話し合います。
反応には個人差があり、治癒を保証する薬ではありません。中止後に再び脱毛が進むこともあります。
髪の回復の進み方には個人差があります ― 12〜17歳の研究
治療を続ける中で、時間をかけて髪が回復した人もいます。ただし、長く続ければ必ず効く、という意味ではありません。
2026年10月に公表された研究は、重症の円形脱毛症がある12〜17歳の57人の治療経過を調べたものです。「頭の脱毛している範囲が20%以下になる」という目安に達した人の中には、1年以上かかった人もいました。これは、最初に毛が生えるまでの時間を調べた結果ではありません4。
国内の効果判定の目安は変わりません。
日本の電子添文では、通常48週までに治療への反応が得られない場合は、中止を検討します。髪の変化、副作用、学校生活などで困っていることを主治医に伝え、続けるかを相談しましょう。今回の研究を理由に、自己判断で服用を長く続けたり、量を増やしたりしないでください1。
研究の数字と、まだ分からないこと
この研究は、過去の臨床試験から長期試験へ進んだ57人について、最長24か月までの記録を後から詳しく調べた解析です。脱毛範囲が20%以下になる反応のグループに24人が分類され、そのうち4人は、この目安に達するまでに1年以上かかりました。全員が24か月まで通院した結果ではなく、最後に確認できた記録も使っています4。
十分な改善がみられず、研究を続けるための条件を満たせなかった14人は長期試験を中止しています。人数が少なく、長期の経過を薬を使わない人と比べた解析でもありません。まだ脱毛が少ないうちに使えば必ず効く、とは判断できません。
57人のうち30人は、試験の最初の4週間に200mgを飲んだ後、50mgへ変更しています。この飲み方は国内の承認用量とは異なります。日本では12歳以上に50mgを1日1回使います。試験の量をまねして増量しないでください5・1。
解析に使ったデータは2022年12月時点のものです。この論文だけでは、子どもが長く使った場合の副作用の頻度は判断できません。長期の安全性については、対象や集計方法が異なる別の研究の解説もご覧ください。
研究と企業の関係:研究費・出版費・論文作成の支援費はファイザーが負担しています。著者には同社の社員で株式等を保有する4人が含まれ、ほかの著者も企業との関係を開示しています。
この研究の補足・資料確認:2026年10月2日
副作用と必要な検査
免疫反応を調整する薬のため、開始前と治療中の感染症・血球などの確認が欠かせません。
発熱、強いだるさ、長引く咳、片側の痛みや水ぶくれがあれば早めに連絡します。
好中球、リンパ球、ヘモグロビン、血小板、肝機能、脂質などを確認します。
突然の息切れ・胸痛・片脚の腫れ、麻痺や言葉の障害などは直ちに受診します。
オルミエントとの違い
どちらも重症の円形脱毛症で検討される内服JAK阻害薬ですが、作用する分子、年齢・体重、用量、評価時期が異なります。
対象年齢・体重、用量、評価時期、安全管理を同じ表で比較します。
比較を見る →BARICITINIBオルミエントの薬剤解説アトピー性皮膚炎と円形脱毛症で異なる適応・用量を確認します。
薬剤ページを見る →基本的な薬の説明とは別に、約5年の統合安全性解析の数字と研究の限界を解説しています。
本文に出てくる医療用語
池袋で円形脱毛症を相談したい方へ
診断、脱毛範囲と経過、既治療、安全性を確認し、全身治療の適応と受診先を一緒に整理します。
AGAなど別の脱毛症と区別します。
年齢、範囲、自然再生、既治療をみます。
感染症、検査、併用薬を確認します。
診察や予約は処方を保証するものではありません。治療に施設要件がある場合は、適切な医療機関をご案内することがあります。
よくある質問
リットフーロは円形脱毛症なら誰でも使えますか?
いいえ。国内では、頭部全体のおおむね50%以上に脱毛があり、過去約6か月に自然な発毛がみられない広範囲で難治の円形脱毛症が対象です。12歳以上で、診断・既治療・安全性を確認して検討します。
リットフーロは何歳から使えますか?
成人と12歳以上の小児が対象です。12歳未満では有効性・安全性が確立していません。
どのくらいで効果を判断しますか?
発毛の経過には個人差があります。ただし、長く続ければ必ず効くわけではありません。日本の電子添文では、通常48週までに反応が得られなければ中止を検討します。写真や診察で変化を確かめ、続けるかを主治医と相談してください。
AGAや一般的な薄毛にも使えますか?
使いません。国内での適応は条件を満たす円形脱毛症です。AGA、女性型脱毛症、感染症、瘢痕性脱毛症などは治療が異なるため診断が必要です。
体調がよければ自分で中止できますか?
自己判断で中止・再開しないでください。中止後に再び脱毛が進むことがあり、感染症などで一時中断した場合の再開時期も個別に判断します。
監修医師
薬の基本情報だけでなく、選ぶ条件・避ける条件・改善後の出口まで確認しています。
監修医からのメッセージ
診断、重症度、既治療と開始前確認
感染症、検査、併用薬と有害事象
効果目標、中止・変更条件
処方・鑑別・安全管理を確認するための情報です。患者さんは上部の患者向け説明をご覧いただき、薬の開始・変更・中止は自己判断せず診察時にご相談ください。
患者さん向け情報へ戻る ↑FOR PRESCRIBERS / MEDICAL PROFESSIONALS
処方医向け:リトレシチニブの適応判定・投与設計・安全管理
現行電子添文と円形脱毛症診療ガイドライン2024に基づき、重症度・既治療、12歳以上、50mg 1日1回、48週評価、感染症・血球系を中心とした安全管理を整理します。
円形脱毛症の診断、頭部脱毛範囲、直近約6か月の自然再生、既治療と施設要件を確認してから導入します。
最初の要点を開いています。必要な項目だけを順に確認できます。
適応判定1. 診断・重症度・既治療・施設要件
効能又は効果は円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)です。開始時は頭部全体のおおむね50%以上に脱毛が認められ、過去約6か月間に毛髪の自然再生が認められないことを確認します。
診断
AA以外の非瘢痕性・瘢痕性脱毛症を鑑別し、SALT、眉毛・睫毛、爪、活動性所見、写真を記録します。
既治療
外用・局所注射・局所免疫療法などの実施歴、反応、有害事象、治療負担を確認します。
共同意思決定
発毛まで時間を要し得ること、寛解維持薬ではなく中止後再燃があり得ること、費用と通院検査を説明します。
用法用量2. 12歳以上・50mg 1日1回・48週での反応確認
成人および12歳以上の小児にリトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与します。食事条件による服用タイミングは電子添文を確認し、飲み忘れ時の対応を個別に指導します。
| 項目 | 実務上の確認 |
|---|---|
| 年齢 | 12歳以上。12歳未満の有効性・安全性は確立していません。 |
| 用量 | 50mg 1日1回。自己判断の増減量は行いません。 |
| 評価 | 通常48週までに反応を確認し、反応が得られない場合は中止を検討します。 |
開始前3. 感染症・血球・肝機能・ワクチンの確認
活動性感染症、結核、B型肝炎を含むウイルス再活性化リスク、重篤な肝障害、血球減少、妊娠を確認します。
- 結核:問診、画像、IGRA等。活動性結核は禁忌です。
- 感染症:HBs抗原・抗体/HBc抗体等を患者背景に応じて確認し、必要時は専門科と連携します。
- 血球:好中球、リンパ球、ヘモグロビン、血小板を確認し、電子添文の開始不可基準を満たさないことを確認します。
- その他:肝機能、脂質、妊娠可能性、悪性腫瘍・心血管・血栓塞栓症リスク、予防接種歴を確認します。
安全管理4. 治療中モニタリングと休薬・中止判断
血球、肝機能、脂質を定期的に評価し、感染症徴候、帯状疱疹、血栓塞栓症を疑う症状、神経学的症状、悪性腫瘍を含む有害事象を確認します。
感染症
重篤な感染症では投与を中断し、適切な治療と再開判断を行います。
血球
好中球・リンパ球・Hb・血小板の推移をみて、規定値を下回る場合は中断等を検討します。
ワクチン
投与直前・投与中の生ワクチンは避け、開始前に年齢相応の接種状況を確認します。
併用・妊娠5. 免疫調整薬との併用、相互作用、妊娠・授乳
生物学的製剤、他の経口JAK阻害薬、シクロスポリン等の強力な免疫抑制薬との併用は行いません。CYP3AまたはCYP1A2で代謝され治療域の狭い併用薬は相互作用に注意します。
妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しません。妊娠可能な女性には投与中および最終投与後1か月間の適切な避妊を指導します。授乳は治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して判断します。
一次資料6. 電子添文・適正使用資料・診療ガイドライン
本節は医療従事者の情報確認を目的とした一般的な整理です。実際の処方は診察時点の最新電子添文、適正使用資料、学会ガイドライン、患者背景および施設要件に基づいて判断してください。
参考文献
- PMDA リットフーロ電子添文・医薬品情報
- 日本皮膚科学会 リトレシチニブ安全使用マニュアル
- 日本皮膚科学会 円形脱毛症診療ガイドライン2024
- Blume-Peytavi U, et al. Patterns of Clinical Response in Rollover Adolescent Patients with Alopecia Areata Treated with Ritlecitinib in the Ongoing Long-Term, Open-Label, Phase 3 ALLEGRO-LT Study. Dermatology and Therapy. 2026. DOI: 10.1007/s13555-026-01911-x(2026年10月1日公表)
- 同論文の補足資料:試験設計と投与群(図S1、PDF)
掲載内容は一般的な医療情報です。診断・処方・検査の要否は診察で判断します。
