池袋サンシャイン通り皮膚科の診療スペース
HIDRADENITIS SUPPURATIVA GUIDE

化膿性汗腺炎の治療|抗菌薬・ヒュミラ・ビンゼレックス・手術

脇・鼠径部・おしり・胸の下などに、痛いしこりや膿を繰り返す化膿性汗腺炎。単発のおできとして処置を続けるだけでなく、再発・瘻孔・瘢痕の程度に合わせて、外用・抗菌薬・生物学的製剤・手術を組み合わせます。

繰り返す痛いしこりHurley分類ヒュミラビンゼレックス
患者さん・ご家族向け

ここからは患者さん向けの解説です

症状・受診の目安・治療の流れを、日常の言葉を先にして説明します。処方や診療実務の専門情報は、ページ後半に分けています。

01

まず押さえたい3つの結論

再発の仕方と皮膚の下の変化まで確認すると、治療の選択肢が変わります。

01不潔さだけが原因ではない

毛包を中心とした慢性炎症性疾患です。汗や細菌だけで説明せず、繰り返し方と部位を確認します。

02膿を出すだけでは再発することがある

切開排膿は急性の痛みを軽くしますが、瘻孔・瘢痕には薬物療法や外科治療の組み合わせが必要です。

03成人には承認注射薬が2剤ある

ヒュミラとビンゼレックスは標的、用法、固有リスクが異なり、一律の優劣では選びません。

早めの受診:発熱、急速に広がる赤み、強い痛み、歩けないほどの腫れ、妊娠中・免疫抑制中の悪化は早めに医療機関へ。同じ部位に繰り返す、排膿が続く、皮膚の下に通り道を感じる場合も皮膚科で確認します。

02

化膿性汗腺炎を疑う症状と診断

典型部位・病変の種類・反復性の3点を軸に、似た疾患を除外します。

表は左右に動かして確認できます

確認軸典型的な所見診察で区別するもの
部位脇、鼠径部、陰部、肛囲・臀部、胸の下など粉瘤、毛嚢炎、せつ、毛巣洞、リンパ節病変
病変痛い結節、膿瘍、排膿、瘻孔、索状硬結、瘢痕単発の感染か、慢性炎症と構造変化か
経過同じ場所または間擦部に繰り返す6か月内の反復、治療後の再燃、家族歴
全身・併存痛み・におい・滲出による生活の質低下炎症性腸疾患、関節症状、代謝疾患、抑うつ等

診断は写真だけで確定しません。
症状が引いた時期でも、発症部位を示せる写真、再発日、膿・出血・痛み、使った薬、切開歴を持参すると経過を把握しやすくなります。

03

重症度は炎症と傷あとを分けて見る

Hurley分類は構造変化、病変数・疼痛・排膿は今の活動性を捉えます。

Hurley I

孤立した膿瘍・結節が中心で、瘻孔や広い瘢痕が目立たない段階。

Hurley II

再発する膿瘍に瘻孔・瘢痕を伴うが、病変同士が広範囲に連続していない段階。

Hurley III

複数の瘻孔・瘢痕が広くつながり、慢性的な炎症や排膿が続く段階。

活動性と生活への影響

炎症性結節・膿瘍・排膿性瘻孔、痛み、排膿回数、睡眠・仕事・通学への影響を記録します。

04

治療は1本の階段ではなく組み合わせ

急性炎症、二次感染、慢性炎症、瘻孔・瘢痕に対して役割の違う治療を組み合わせます。

STEP 1局所ケア・外用

摩擦・蒸れ・被覆を調整し、病変や二次感染に応じて外用治療を選びます。

STEP 2内服治療

症状・範囲・感染の有無に応じ、国内適応と個別状態に沿って抗菌薬などを検討します。

STEP 3生物学的製剤

局所療法・抗菌薬後も症状が残る成人では、ヒュミラまたはビンゼレックスを検討します。

STEP 4外科治療

瘻孔・瘢痕・広範囲病変ではderoofingや切除を検討し、薬物療法と時期を調整します。

抗菌薬は「細菌だけを治す薬」とは限りません。
化膿性汗腺炎では抗炎症作用を期待して使う場面と、二次感染を治療する場面を区別します。薬の種類・期間は病変と安全性を診察して決めます。

05

ヒュミラとビンゼレックスを比較

国内承認用法を簡略化しています。実際の投与は電子添文と処方指示を優先してください。

表は左右に動かして確認できます

薬剤標的成人化膿性汗腺炎の主な投与自己注射特に確認すること
ヒュミラTNFα初回160mg、2週後80mg、4週後以降40mg毎週または80mg隔週適切な教育後に可結核・B型肝炎、感染症、脱髄疾患、うっ血性心不全
ビンゼレックスIL-17A/IL-17F320mgを16週まで2週間隔、以後4週間隔。状態により2週/4週を選択4週間隔以内で教育後に可カンジダ症、炎症性腸疾患、結核・感染症

直接の優劣表ではありません。日本皮膚科学会資料でも両剤の使い分け・優先順位は明確でないとされ、併存症と安全性を含めて選びます。

06

池袋で相談するときの流れ

当院での評価と、生物学的製剤の実際の導入体制を区別して案内します。

01経過を整理

部位、再発回数、写真、痛み、排膿、治療歴を確認。

02診断・重症度

似た疾患を除外し、Hurley分類と活動性を評価。

03治療を最適化

局所・内服・外科・生物学的製剤の役割を整理。

04必要なら紹介

承認・届出、検査、緊急連携体制に応じて紹介。

受診時にあると役立つもの:お薬手帳、病変の写真、過去の検査結果、手術・切開歴、症状が出た日と部位のメモ。生物学的製剤を検討する場合は、開始施設・検査・紹介の流れを個別に確認します。

08

よくある質問

化膿性汗腺炎は抗菌薬だけで治りますか?

軽症や二次感染では外用・内服抗菌薬を使うことがありますが、慢性炎症、瘻孔、瘢痕がある場合は生物学的製剤や手術を含めて検討します。

日本で承認されている生物学的製剤は?

成人の化膿性汗腺炎にはヒュミラ(アダリムマブ)とビンゼレックス(ビメキズマブ)が承認されています。適応条件・投与間隔・注意点が異なります。

ヒュミラとビンゼレックスはどちらが強いですか?

一律の優劣では選べません。既治療、病変、感染症、炎症性腸疾患、脱髄疾患、心不全、カンジダ症、自己注射、施設体制を合わせて判断します。

切開して膿を出せば治りますか?

急性の痛い膿瘍には切開排膿が役立つことがありますが、慢性的な炎症や瘻孔の再発予防には別の治療が必要なことがあります。

どこで注射を始められますか?

対象薬に対応する承認・届出、導入前検査、緊急対応体制を確認します。当院で重症度と治療歴を整理し、必要に応じて適切な医療機関へ紹介します。

07

監修医師

診断名だけでなく、重症度・治療歴・安全性・連携方法まで確認しています。

池袋サンシャイン通り皮膚科 院長 吉井恭平

MEDICAL SUPERVISOR

吉井 恭平

池袋サンシャイン通り皮膚科 院長

院長紹介を見る →

監修医からのメッセージ

化膿性汗腺炎は、単発のおできとして繰り返し処置するだけでは、皮膚の下の瘻孔や瘢痕が進むことがあります。部位、再発回数、痛み、排膿、傷あとを一緒に評価し、外用・内服・注射・手術のどこが必要かを整理することが大切です。本ページは、患者さんが受診のタイミングを理解でき、処方医が重症度・既治療・安全管理まで確認できる構成で監修しました。

01国内適応・用法

PMDA電子添文と患者向医薬品ガイドで照合。

02患者・処方医を分離

受診判断と処方実務を読み分けやすく整理。

03紹介範囲を明確化

当院での評価と導入・連携体制を区別。

最終医学レビュー:2026年8月13日一次資料:PMDA・日本皮膚科学会
ここで情報が切り替わります

ここからは医療従事者・処方医向けです

適応判断、承認用法、モニタリング、安全管理、エビデンスを専門用語で整理しています。

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医療従事者・処方医向けここからは処方・診療実務の専門情報です。患者さん・ご家族は、上の欄だけで治療の概要を確認できます。患者さん向け情報へ戻る ↑

FOR PRESCRIBERS / MEDICAL PROFESSIONALS

処方医向け:化膿性汗腺炎の診断・治療・生物学的製剤

診断・重症度、局所・全身・外科治療、ヒュミラとビンゼレックスの差、安全管理、紹介体制を一続きで確認します。

最新の電子添文、患者向医薬品ガイド、適正使用資料、日本皮膚科学会の施設要件を優先し、患者背景と連携体制に応じて判断してください。

診断・重症度1. 診断、表現型、重症度を分ける
領域確認判断への反映
診断典型部位、結節・膿瘍・瘻孔・瘢痕、6か月以内の反復せつ・粉瘤・毛巣洞・Crohn肛囲病変・腫瘍等を鑑別
損傷Hurley I〜III、瘻孔・瘢痕の範囲外科治療を含む構造的対応
活動性IHS4、病変数、疼痛、排膿、DLQI薬物療法の強度と効果判定
治療設計2. 局所・全身・外科を組み合わせる
候補確認
局所摩擦・被覆調整、外用、急性膿瘍への切開排膿切開排膿だけでは長期再発予防にならない
全身国内適応と個別状態に沿った抗菌薬等抗炎症目的と二次感染治療を区別
生物学的製剤アダリムマブ、ビメキズマブ既治療、併存症、薬剤固有リスク、施設体制
外科deroofing、局所切除、広範囲切除瘻孔・瘢痕・臀部広範囲病変、SCCリスク
2剤比較3. ヒュミラとビンゼレックスの処方差
薬剤標的・用法固有の確認
ヒュミラTNFα。0週160mg、2週80mg、4週以降40mg毎週または80mg隔週結核/HBV、脱髄疾患、心不全、感染、悪性腫瘍
ビンゼレックスIL-17A/F。320mgを16週までq2w、以後q4w。状態によりq2w/q4w口腔・外陰部カンジダ、IBD、結核、感染
共通成人、局所療法・抗菌薬後も症状が残る場合に検討軽度での有効性・安全性は未確立。自己注射は教育後
導入前検査4. 共通スクリーニング
領域確認項目対応
重症度・活動性Hurley分類、炎症性結節・膿瘍・排膿性瘻孔、IHS4、疼痛NRS、DLQI解剖学的損傷と炎症活動性を分けて記録
感染症二次感染、結核歴・接触歴、胸部画像、IGRA/TST、必要時CT活動性感染・活動性結核を先に治療
肝炎等HBs抗原、HBc抗体、HBs抗体、HCV抗体、必要時HBV-DNA・HIV陽性時は専門医と再活性化対策
一般検査CBC、CRP、肝腎機能、妊娠可能性、ワクチン歴薬剤固有リスクと比較できるベースライン
併存症IBD、脊椎関節炎、代謝疾患、喫煙、抑うつ、悪性腫瘍歴治療選択・支援・連携先に反映
効果判定5. HiSCR、IHS4、疼痛、排膿、QOL
  • 病変数だけでなく、排膿性瘻孔、疼痛、排膿頻度、DLQI、就労・睡眠への影響を追跡します。
  • ビメキズマブは通常16週以内に反応を評価し、反応がない場合は継続を慎重に再考します。
  • アダリムマブは一定時点の一項目だけでなく、炎症性病変・排膿・疼痛・安全性を統合し、漫然投与を避けます。
  • 長期臀部・肛囲病変ではSCC徴候を監視し、非典型的な潰瘍・腫瘤・出血・疼痛変化では生検を検討します。
施設・連携6. 開始施設、自己注射、紹介

アダリムマブの学会資料は承認施設での使用を示し、ビメキズマブの学会資料は乾癬生物学的製剤の医師・施設条件に準じるとしています。対象薬・適応に応じ、承認・届出、検査、緊急対応、外科・感染症連携を確認します。IL-17阻害薬の届出施設は公開承認施設一覧に掲載されない場合があるため、一覧だけで導入可否を断定しません。

一次資料7. 一次資料・学会資料

本節は医療従事者の情報確認を目的とした一般的な整理です。実際の診断・処方・紹介は診察時点の最新資料、検査結果、施設体制に基づいて判断してください。

09

参考文献・一次資料

  1. 日本皮膚科学会 化膿性汗腺炎診療の手引き2020
  2. PMDA ヒュミラ医療用医薬品情報
  3. PMDA ビンゼレックス医療用医薬品情報
  4. 日本皮膚科学会 ビメキズマブ使用上の注意
  5. 日本皮膚科学会 乾癬分子標的薬使用承認施設

最終医学レビュー:2026年8月13日。掲載内容は一般的な医療情報です。実際の診断・処方・紹介は診察時点の最新資料と個々の状態をもとに判断します。