池袋サンシャイン通り皮膚科の日々の診療コラムを表す院内イメージ

Daily Clinic Notes

モーラステープを貼った脚に日差しの後で赤みが出た光接触皮膚炎の診療メモ

30代の男性が、ふくらはぎの赤みで来院されました。お話を伺うと、モーラステープを貼ったあとに陽射しを浴びており、紅斑は貼付剤の輪郭を写したような形でした。経過と分布から、モーラステープの有効成分ケトプロフェンによる光接触皮膚炎を考えました。湿布は、はがした時点で注意が終わるわけではありません。診察後に電子添文と接触皮膚炎診療ガイドラインを読み直すと、使用後もしばらく紫外線を避けること、数日から数カ月たって症状が出ることがある点を、もっと具体的に伝える必要があると感じました。

監修: 吉井恭平ケトプロフェンによる光接触皮膚炎(湿布と紫外線によるかぶれ)最終更新 2026-07-22

まず押さえたい3つの要点

01

モーラステープの有効成分ケトプロフェンは、紫外線、特にUVAが加わることで光接触皮膚炎を起こすことがあります。貼付部と日光が当たった範囲に強い赤みが出るのが手がかりです。

02

湿布をはがした後も注意が必要です。現在の電子添文は使用後も『当分の間』遮光し、数日から数カ月後に発症することがあると注意しています。患者向け安全資材では、少なくとも4週間が具体的な目安です。

03

赤みやかゆみなどが出たら、原因が疑われる貼付剤を中止し、貼付部を衣類やサポーターで遮光して受診します。白色や薄手の生地は紫外線を通すことがあるため、色のある厚手またはUV対策素材が向きます。

この記事の結論

モーラステープを貼った場所が、日光を浴びたあと貼付剤の形に沿って赤くなった場合、ケトプロフェンによる光接触皮膚炎が重要な候補です。ケトプロフェンが皮膚に残った状態で主にUVAを浴びると、光アレルギー性の炎症が起こることがあります。まず貼付を中止し、日焼け止めだけに頼らず、色のある厚手の衣類やUV対策素材で患部を覆ってください。現在の電子添文は使用中と使用後『当分の間』の遮光を求め、数日から数カ月後の発症も注意しています。患者向け安全資材の具体的な目安は、はがした後も少なくとも4週間です。治療は重症度に応じたステロイド外用が中心で、広範囲、水疱・びらん、強い腫れ、顔面症状、発熱や息苦しさがあれば早めの評価が必要です。

  • 原因が疑われる湿布は中止し、同じ製品を貼り直したり、日光に当てて反応を確かめたりしないでください。
  • 製品名、貼った日、はがした日、日光を浴びた日、発疹が出た日をメモし、湿布の袋やお薬手帳を持参してください。
  • 遮光は日焼け止めだけで済ませず、色のある厚手の衣類やUV対策素材で患部を覆うことを基本にします。

水疱・ただれ、急速な拡大、顔の腫れ、発熱や息苦しさがある時は早めに受診してください

強い腫れ、水疱、びらん、貼付部を越えて広がる発疹、顔や目の周囲の腫れ、息苦しさ、発熱、強い痛み、熱感を伴う場合は、重い光接触皮膚炎、全身化した接触皮膚炎、細菌感染、別の薬疹などを含めて速やかな評価が必要です。原因が疑われる貼付剤を再使用せず、使った製品名と経過を医療機関へ伝えてください。

01 / Clinic Note

30代男性のふくらはぎに、モーラステープの輪郭に沿う赤みが出ていました

今回来院されたのは30代の男性です。モーラステープを貼ったあとに陽射しを浴び、その後、ふくらはぎに紅斑が出現しました。診察でまず目に入ったのは、赤みの境界がはっきりしていて、貼付剤の形を残していたことです。

薬剤を塗ったり貼ったりした場所と、日光が当たった場所が重なって炎症が起きるのが光接触皮膚炎です。今回の経過と分布は、モーラステープの有効成分であるケトプロフェンによる光接触皮膚炎に合うものでした。ただし、写真だけで診断を確定することはできません。使った製品、時間経過、日光曝露、診察所見を合わせて判断します。

この症例について確認できているのは、年齢、貼付剤名、日光を浴びたこと、ふくらはぎの紅斑です。かゆみや痛み、水疱、治療反応など、伺っていない情報は補っていません。症例写真は個人が特定されない範囲で掲載し、公開用ファイルから撮影位置情報を削除しました。

  • 貼付剤の商品名と有効成分
  • 貼った日、はがした日、発疹が出た日
  • 屋外活動、窓際、曇天を含む日光曝露
  • かゆみ、痛み、熱感、水疱、発熱の有無
  • 赤みが貼付部だけか、周囲や全身へ広がったか
30代男性のふくらはぎにモーラステープの形に一致した境界明瞭な紅斑が見える光接触皮膚炎の症例写真
症例写真:30代男性。モーラステープ貼付後に日光を浴び、ふくらはぎの貼付部へ境界明瞭な紅斑が出現しました。個人が特定されない範囲で掲載し、撮影位置情報は削除しています。写真だけで診断を確定することはできません。
02 / Ketoprofen And UVA

ケトプロフェンは、主にUVAが加わることで光アレルギー性の皮膚炎を起こすことがあります

モーラステープは、痛みや炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬のケトプロフェンを含む貼付剤です。日本皮膚科学会の接触皮膚炎診療ガイドラインは、ケトプロフェンを光接触皮膚炎の代表的な原因の一つとして挙げています。作用波長は主にUVAです。

光接触皮膚炎には、光毒性と光アレルギー性があります。光毒性は、一定量の物質と紫外線が重なって日焼けのような炎症を起こす反応です。光アレルギー性は、光で変化した物質を免疫が異物として認識して起こる遅延型の反応で、ケトプロフェンではこちらがよく問題になります。

一度感作されると、少量の薬剤と紫外線でも再発する可能性があります。『前は使えていた』『一度しか貼っていない』だけでは否定できません。貼った場所と日光が当たった場所の重なりを、時間軸と一緒に確認することが大切です。

03 / Look Alikes

貼付剤の形は大きな手がかりですが、日光なしのかぶれや細菌感染も見分けます

貼付剤の輪郭に沿う紅斑では、まず接触皮膚炎を考えます。ただし、粘着剤や薬剤による通常の接触皮膚炎は、日光を浴びなくても起こります。日光との時間的な関係がはっきりし、貼付部のうち露光した範囲へ強く出ている時は、光接触皮膚炎をより疑います。

赤みが熱を持って急速に広がる、強く痛む、発熱を伴う場合は、蜂窩織炎などの細菌感染も考えます。植物や柑橘の汁が皮膚についたあとに日光を浴びると、線状・しずく状の光毒性皮膚炎が出ることもあります。

形だけで確定せず、何を貼ったか、日光を浴びたか、いつ発症したか、症状がどこまで広がったかを組み合わせます。薬の袋や写真が残っていると、診察で原因を絞りやすくなります。

候補
主な手がかり
確認すること
ケトプロフェンの光接触皮膚炎
貼付部と日光曝露部が重なり、境界明瞭な紅斑
商品名、貼付・剥離日、日光、使用後の期間
通常の接触皮膚炎
粘着剤や薬剤に接した範囲へ赤み・湿疹
日光なしでも出たか、テープ全般で反応するか
蜂窩織炎などの感染
痛み、熱感、腫れ、拡大、発熱
傷、全身症状、広がる速さ
植物光線皮膚炎
植物・柑橘との接触後、線状やしずく状の発疹
屋外活動、植物・果汁、日光
04 / After Removing The Patch

湿布をはがしても、ケトプロフェンによる光線過敏の注意は終わりません

今回、私が改めて伝え方を見直したのが、湿布をはがした後の期間です。現在の電子添文は、使用中は天候にかかわらず戸外活動を避け、使用後も『当分の間』、貼付部を衣服やサポーターで覆うよう求めています。症状は使用後、数日から数カ月たって発現することもあると記載されています。

患者向けの安全資材では、具体的な目安として、はがした後も少なくとも4週間は紫外線を避けるよう案内されています。『4週間たてば誰でも絶対に安全』という意味ではなく、電子添文の『当分の間』を日常で実行するための最低限の目安と考えます。皮膚症状が残っている場合や、以前に強い反応があった場合は、医師・薬剤師の指示を優先してください。

白色や薄手の生地は紫外線を通すことがあります。色のある厚手の衣類、またはUV対策素材のサポーターで覆い、ずれないようにします。日焼け止めは補助にはなりますが、塗りむらや摩擦があるため、物理的な遮光の代わりにはしません。

  • 使用中は天候にかかわらず貼付部へ日光を当てない
  • はがした後も少なくとも4週間を目安に遮光を続ける
  • 症状が残る、過去に強く反応した場合はさらに慎重にする
  • 白色・薄手だけに頼らず、色のある厚手またはUV対策素材で覆う
05 / Treatment

治療の出発点は、原因が疑われる貼付剤を止め、紫外線を避けることです

赤みやかゆみなどが出たら、原因が疑われるモーラステープを中止し、貼付部を遮光します。同じ場所へ貼り直すことや、別の日に日光へ当てて反応を見ることは避けてください。皮膚に残った薬剤を落とそうとして、強くこすったり、アルコールで拭いたりするのも炎症を悪化させます。

接触皮膚炎の炎症には、部位と重症度に応じたステロイド外用が中心です。かゆみがあれば抗ヒスタミン薬を補助的に使うことがありますが、原因除去と遮光の代わりにはなりません。広い範囲へ強く出た場合や、水疱・びらんを伴う場合は、医師の管理下で内服ステロイドを検討することがあります。

強い痛みや熱感、発熱、膿、急速な拡大があれば、細菌感染などを同時に評価します。顔面、目の周囲、広範囲の水疱、息苦しさがある場合は、通常の予約日まで待たずに相談してください。

  • 原因が疑われる貼付剤を中止する
  • こすらず、色のある厚手の衣類などで遮光する
  • 処方された外用薬は指示された量・期間で使う
  • 水疱、ただれ、急速な拡大、全身症状は早めに受診する
06 / Photopatch Testing

光アレルギーの原因を詳しく調べる時は、専門施設で光パッチテストを検討します

光接触皮膚炎の原因を確かめる検査の一つが光パッチテストです。原因候補を同じ条件で2組貼付し、一方だけに規定量のUVAを照射して、照射側と非照射側の反応を比較します。通常のパッチテストだけでは分からない、光が加わって初めて起こる反応を評価します。

典型的な貼付形状、薬剤名、日光との時間関係がそろっていれば、臨床経過から診断を考えることもあります。一方、原因が複数考えられる、再発を繰り返す、仕事や生活上どうしても原因同定が必要な場合は、光パッチテストを実施できる専門施設での評価が役立ちます。

当院ではパッチテストおよび光パッチテストは行っていません。診断の確定や原因成分の同定が必要な場合は、検査を実施できる専門医療機関へご紹介します。検査のために自宅で貼り直したり、日光に当てたりする自己試験は危険です。

07 / Prevent Recurrence

同じ反応を避けるため、ケトプロフェンによる光接触皮膚炎の疑いを医師・薬剤師へ伝えてください

一度、ケトプロフェンによる光アレルギーが疑われた場合、同じ成分を自己判断で使い直さないことが大切です。処方薬だけでなく市販の外用鎮痛消炎薬にも成分が含まれることがあるため、商品名ではなく有効成分を確認します。家族の湿布を分けてもらうことも避けてください。

ケトプロフェンでは、チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラートのほか、日焼け止めなどに使われるオキシベンゾンやオクトクリレンとの交差反応が電子添文で注意されています。ただし、すべての日焼け止めを自己判断で中止する必要はありません。今回の反応歴を医師・薬剤師へ伝え、成分を確認して代替品を選びます。

スマートフォンのお薬メモやお薬手帳に、『モーラステープ貼付後、日光で貼付部に紅斑。ケトプロフェン光接触皮膚炎の疑い』と残しておくと、整形外科、皮膚科、薬局のどこでも共有しやすくなります。

  • 同じケトプロフェン貼付剤を再使用しない
  • 市販薬も有効成分を確認し、家族の湿布を使わない
  • 医師・薬剤師へ反応歴を伝え、お薬手帳へ記録する
  • 関連成分を含む薬・日焼け止めは専門家と代替品を選ぶ
08 / Learning

今日の学びは、『はがした日』を聞き、そこから先の遮光まで伝えることでした

今回の症例では、貼付剤の形に沿う紅斑が診断の大きな手がかりでした。ただ、形を見るだけでは足りません。何を貼ったか、いつはがしたか、その後いつ日光を浴びたかを一本の時間軸にすると、ケトプロフェンと紫外線の関係が見えてきます。

電子添文を読み直して印象に残ったのは、使用後数日から数カ月たって発症することがある、という注意です。患者さんに『湿布を貼っている間だけ日光を避けてください』と伝えるだけでは不十分です。少なくとも4週間という具体的な目安と、症状や既往によってはさらに慎重にする必要をセットで説明したいと思います。

湿布は身近な薬ですが、身近であることと、副作用が軽いことは同じではありません。薬の名前を残し、皮膚を遮光し、異常が出たら早めに相談する。この三つを、処方する側も使う側も覚えておく必要があります。

  • 貼付剤の形、商品名、日光、時間経過を一緒に見る
  • 湿布をはがした後も遮光が必要だと具体的に伝える
  • 同じ成分の再使用と、自宅での日光による再現試験を避ける
  • 重症例と原因同定が必要な例は、適切な医療機関へつなぐ
Clinic View

池袋で湿布を貼った場所が日光後に赤くなった方へ

池袋駅・東池袋周辺で、モーラステープやケトプロフェン貼付剤を使った場所が日光のあと四角く赤くなった場合は、製品名、貼った日、はがした日、日光を浴びた日、発疹が出た日をメモしてご相談ください。

池袋サンシャイン通り皮膚科では、一般皮膚科(保険診療)として光接触皮膚炎、通常の接触皮膚炎、薬疹、細菌感染などを診察します。当院ではパッチテスト・光パッチテストは実施しておらず、原因同定が必要な場合は検査可能な専門医療機関へ紹介します。

FAQ

よくある質問

モーラステープの有効成分は何ですか?

有効成分は非ステロイド性抗炎症薬のケトプロフェンです。痛みや炎症を抑える一方、貼付部へ紫外線が当たると光接触皮膚炎を起こすことがあります。商品名だけでなく、有効成分名をお薬手帳へ残すと再発予防に役立ちます。

モーラステープを貼った場所が日光で赤くなるのはなぜですか?

皮膚に残ったケトプロフェンへ主にUVAが当たり、光で変化した物質に対して免疫反応が起こるためです。貼付剤と日光が重なった範囲へ、境界明瞭な赤みや湿疹が出ることがあります。見た目だけで確定せず、薬剤名と時間経過を合わせます。

モーラステープをはがした後でも光接触皮膚炎になりますか?

なります。現在の電子添文は、使用後数日から数カ月たって発症することがあると注意しています。はがした時点で終わりと考えず、使用後もしばらく貼付部を衣類やサポーターで遮光してください。

モーラステープをはがした後、いつまで日光を避けますか?

現在の電子添文は使用後も『当分の間』の遮光を求めています。患者向け安全資材では、少なくとも4週間が具体的な目安です。4週間で絶対に安全という意味ではないため、症状が残る場合や強い反応歴がある場合は医師・薬剤師の指示を優先します。

日焼け止めを塗れば、湿布の上から日光に当たっても大丈夫ですか?

日焼け止めだけでは十分とはいえません。塗りむらや摩擦があり、成分によっては交差反応も問題になります。色のある厚手の衣類やUV対策素材で貼付部を覆うことを基本にし、使用中は天候にかかわらず日光曝露を避けてください。

湿布の接着剤によるかぶれとの違いは何ですか?

接着剤や薬剤による通常の接触皮膚炎は、日光がなくても貼付部に起こります。光接触皮膚炎は、原因物質と紫外線の両方が重なって発症します。貼付日、日光を浴びた日、発症日、露光部との一致を確認して見分けます。

光接触皮膚炎はどのように診断しますか?

薬剤名、貼付部位、日光曝露、発症時期、皮疹の分布から臨床的に判断します。原因同定が必要な場合は光パッチテストを検討します。当院ではパッチテスト・光パッチテストを実施しておらず、必要時は検査可能な専門医療機関へ紹介します。

湿布後の赤みで、すぐ受診した方がよい症状はありますか?

水疱・びらん、強い腫れ、急速な拡大、顔や目の周囲の腫れ、息苦しさ、発熱、強い痛み、熱感、膿がある時は早めに受診してください。強い光接触皮膚炎、全身化した接触皮膚炎、細菌感染、別の薬疹を含めて評価します。

Doctor

監修医師メッセージ

池袋サンシャイン通り皮膚科 院長 吉井恭平

吉井恭平 池袋サンシャイン通り皮膚科 院長

今回の30代男性では、モーラステープを貼ったあとに日光を浴び、ふくらはぎへ貼付剤の形に沿う紅斑が出ていました。四角い形は重要な手がかりですが、それだけで決めず、商品名、貼った日、はがした日、日光を浴びた日を順に確認します。

診察後に資料を読み直し、改めて大切だと感じたのは、はがした後の説明です。ケトプロフェンは使用後もしばらく光線過敏を起こす可能性があります。少なくとも4週間という具体的な目安を伝え、同じ成分を試し直さないよう、お薬手帳に反応歴を残していただきたいと思います。