アレルギー・アトピーコラム|医師が解説する対策
- ✓ アトピー性皮膚炎はストレスやアレルゲン、生活習慣が複雑に絡み合って悪化することがあります。
- ✓ 最新の治療法や検査は進化しており、個々の症状に合わせた適切な選択が重要です。
- ✓ 症状の改善には、正しい知識に基づいたスキンケアと専門医との連携が不可欠です。
アレルギーやアトピー性皮膚炎は、私たちの日常生活に大きな影響を与える疾患です。これらの疾患は、免疫システムの過剰な反応によって引き起こされ、皮膚症状から呼吸器症状、消化器症状まで多岐にわたる症状を呈します。本コラムでは、アレルギーとアトピーに関する様々な側面について、最新の知見と具体的な対策を専門的な視点から解説します。
アトピーとストレスの関係|悪化を防ぐ方法とは?

アトピー性皮膚炎とストレスは密接な関係があり、ストレスがアトピーの症状を悪化させる一因となることが知られています。ここでは、そのメカニズムと対策について解説します。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下と免疫系の異常が組み合わさって発症する慢性的な炎症性皮膚疾患です。ストレスは、この免疫系に影響を与え、炎症反応を増強する可能性があります。具体的には、ストレスによって副腎皮質刺激ホルモンやカテコールアミンといったストレスホルモンが分泌され、これらが免疫細胞の活動を変化させ、かゆみや炎症を悪化させると考えられています。
当院では、初診時に「仕事の忙しさでアトピーが悪化した」「人間関係のストレスで夜も眠れないほどかゆい」と相談される患者さまも少なくありません。問診の際には、患者さまの生活環境やストレス要因を詳しく伺い、症状との関連性を慎重に評価するようにしています。
ストレスがアトピーに与える影響
- かゆみの増強: ストレスは神経系を刺激し、かゆみを感じやすくさせます。これにより、かきむしる行為が増え、皮膚の損傷が悪化します。
- 皮膚バリア機能の低下: ストレスは皮膚のターンオーバーを乱し、バリア機能をさらに低下させる可能性があります。
- 免疫バランスの乱れ: 免疫細胞のサイトカインバランスが崩れ、炎症が持続しやすくなります。
悪化を防ぐための具体的な対策
ストレスによるアトピーの悪化を防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- ストレスマネジメント: 適度な運動、十分な睡眠、リラクゼーション、趣味の時間などを通じてストレスを軽減することが重要です。
- 規則正しい生活: 生活リズムを整えることで、体の免疫機能が安定しやすくなります。
- スキンケアの徹底: ストレスがあっても、保湿剤や外用薬の適切な使用は継続し、皮膚のバリア機能を維持することが不可欠です。
実際の診療では、患者さまがストレスを感じやすい状況を特定し、それに対する具体的な対処法を一緒に考えるようにしています。例えば、仕事が忙しい方には、短時間でできるリフレッシュ方法や、睡眠の質を高める工夫などを提案しています。
アトピー性皮膚炎の生物学的製剤(デュピクセント等)とは?
アトピー性皮膚炎の治療は近年大きく進歩しており、その中でも生物学的製剤は重症患者さまにとって画期的な選択肢となっています。
生物学的製剤とは、生物が産生する物質(抗体など)を利用して、特定の免疫反応を抑制することで病気を治療する薬剤です。アトピー性皮膚炎においては、炎症反応を引き起こす特定のサイトカイン(細胞間の情報伝達物質)の働きを阻害することで、かゆみや皮膚の炎症を抑えることを目的としています。
- サイトカイン
- 免疫細胞から分泌されるタンパク質で、細胞間の情報伝達を担い、免疫反応や炎症反応の調節に重要な役割を果たします。
デュピクセント(デュピルマブ)について
デュピクセントは、アトピー性皮膚炎の治療に用いられる代表的な生物学的製剤の一つです。アトピー性皮膚炎の炎症に関わるIL-4とIL-13という2種類のサイトカインの働きを特異的に抑制することで、かゆみや皮膚症状を改善します。注射薬として使用され、通常は2週間に1回の頻度で投与されます。
当院でデュピクセントの治療を始めた患者さまの中には、治療を始めて2〜3ヶ月ほどで「長年悩んでいたかゆみが劇的に減った」「夜ぐっすり眠れるようになった」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。特に、これまでの治療で十分な効果が得られなかった重症の患者さまにとって、生活の質(QOL)を大きく改善する可能性を秘めています。
その他の生物学的製剤と今後の展望
デュピクセント以外にも、アトピー性皮膚炎の治療薬として、JAK阻害薬(経口薬)など、様々な作用機序を持つ薬剤が開発・承認されています。これらの薬剤は、患者さまの症状の重症度、既存疾患、治療歴などを考慮して、医師と相談しながら選択されます。
生物学的製剤は、従来のステロイド外用薬や免疫抑制剤とは異なるアプローチで炎症を抑えるため、重症アトピー性皮膚炎の治療に新たな光をもたらしています。ただし、費用や副作用の可能性も考慮し、医師との十分な相談の上で治療方針を決定することが重要です。
花粉症と肌荒れの関係|花粉皮膚炎とは?
花粉症は鼻や目の症状が一般的ですが、花粉が原因で肌荒れを引き起こす「花粉皮膚炎」も少なくありません。ここでは、花粉皮膚炎のメカニズムと対策について解説します。
花粉皮膚炎とは、花粉が皮膚に付着することで、アレルギー反応を引き起こし、かゆみ、赤み、乾燥、湿疹などの皮膚症状が現れる状態を指します。花粉症の人が、花粉が飛散する時期に顔や首など露出部分の肌荒れが悪化する場合に疑われます。
診察の中で、「花粉の時期になると、いつも顔がカサカサして赤くなる」「目がかゆくてこすっていたら、まぶたまで荒れてしまった」といった訴えをよく経験します。特に、もともとアトピー性皮膚炎をお持ちの患者さまは、花粉皮膚炎を発症しやすい傾向にあります。
花粉皮膚炎のメカニズム
花粉が皮膚に付着すると、花粉に含まれるアレルゲンが皮膚のバリア機能が低下した部分から侵入します。これにより、皮膚の免疫細胞が過剰に反応し、ヒスタミンなどの炎症物質が放出され、かゆみや炎症が引き起こされます。特に、乾燥肌や敏感肌の人は、皮膚のバリア機能が弱いため、花粉の影響を受けやすいとされています。
花粉皮膚炎の対策
- 花粉との接触を避ける: 花粉飛散量の多い日は外出を控えたり、外出時にはマスクや眼鏡、帽子を着用したりして、花粉が皮膚に付着するのを防ぎます。
- 帰宅後のケア: 帰宅後は、顔や首などを優しく洗い流し、花粉を洗い落とします。
- 保湿ケアの徹底: 皮膚のバリア機能を保つために、保湿剤をこまめに塗布し、皮膚の乾燥を防ぎます。
- 内服薬・外用薬: 症状が強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服やステロイド外用薬の使用が検討されます。
当院では、花粉皮膚炎の患者さまには、花粉シーズン前から保湿ケアを徹底するよう指導し、症状が悪化する前に適切な処置を行うことで、重症化を防ぐことに努めています。
食物アレルギーと皮膚症状の関係とは?
食物アレルギーは、特定の食物を摂取することで免疫反応が起こり、様々な症状を引き起こす疾患です。特に皮膚症状は、食物アレルギーの初期症状としてよく見られます。
食物アレルギーによる皮膚症状は、蕁麻疹(じんましん)、湿疹、アトピー性皮膚炎の悪化など多岐にわたります。乳幼児期に発症することが多く、鶏卵、牛乳、小麦などが主な原因食物として知られています[4]。
「この前、エビを食べたら全身にじんましんが出た」「牛乳を飲むといつも口の周りが赤くなる」といった訴えで来院される患者さまは少なくありません。特に乳幼児の場合、親御さんが食物アレルギーを疑い、皮膚症状をきっかけに受診されるケースが非常に多いです。
食物アレルギーによる皮膚症状の種類
- 蕁麻疹: 食物摂取後、数分から数時間以内に現れる、かゆみを伴う赤く膨らんだ発疹です。最も一般的な食物アレルギーの皮膚症状です[1]。
- 血管性浮腫: 唇、まぶた、顔などが腫れ上がる症状です。
- アトピー性皮膚炎の悪化: 慢性的なアトピー性皮膚炎の患者さまが、特定の食物を摂取することで症状が悪化することがあります[2]。
診断と対策
食物アレルギーの診断には、詳細な問診、血液検査(特異的IgE抗体検査)、皮膚プリックテスト、食物経口負荷試験などが行われます。原因食物が特定された場合は、その食物を避ける「除去食」が基本となりますが、自己判断での除去は栄養不足を招く可能性があるため、必ず医師や管理栄養士の指導のもとで行う必要があります。
当院では、食物アレルギーが疑われる患者さまには、まず詳細な食事記録をつけていただき、症状と食物摂取の関連性を確認します。その上で、必要に応じてアレルギー検査を行い、診断と治療計画を立てています。特に乳幼児の食物アレルギーでは、成長に伴って食べられるようになるケースも多いため、定期的な再評価が重要です。
金属アレルギーの検査と対策とは?

金属アレルギーは、特定の金属が皮膚に接触することでアレルギー反応を引き起こし、かゆみや湿疹などの皮膚症状が現れる疾患です。ここでは、金属アレルギーの検査方法と具体的な対策について解説します。
金属アレルギーは、ピアス、ネックレス、腕時計などのアクセサリーだけでなく、歯科治療で使われる金属、化粧品、食品などに含まれる微量の金属によっても引き起こされることがあります。一度感作されると、その金属に触れるたびにアレルギー反応が起こるようになります。
当院では、「ピアスをつけたら耳たぶがただれてしまった」「スマートフォンのケースに触れる部分が荒れる」といった訴えで受診される患者さまが多くいらっしゃいます。特に、夏場に汗をかきやすい時期は、金属イオンが溶け出しやすくなるため、症状が悪化しやすい傾向にあります。
金属アレルギーの検査方法
金属アレルギーの診断には、主に以下の検査が行われます。
- パッチテスト: 最も一般的な検査方法です。アレルギーが疑われる金属の試薬を貼付し、48時間後、72時間後などに皮膚の反応を観察します。赤みや腫れ、水疱などが現れた場合に陽性と判断されます。
- 血液検査: 特異的IgE抗体検査では、金属アレルギーの原因となる抗体を検出することはできませんが、リンパ球刺激試験など、一部の特殊な血液検査で金属への反応性を評価することもあります。
金属アレルギーの対策
金属アレルギーと診断された場合、最も重要な対策は原因となる金属との接触を避けることです。
- アクセサリーの選択: ニッケル、コバルト、クロムなど、アレルギーを起こしやすい金属を避け、チタン、サージカルステンレス、プラチナ、ゴールド(純度の高いもの)などのアレルギーを起こしにくい素材を選びます。
- 歯科治療: 歯科金属が原因の場合は、セラミックやレジンなどの非金属素材への変更を検討します。
- 生活用品の見直し: 化粧品、シャンプー、洗剤などに含まれる金属成分にも注意が必要です。
実際の診療では、患者さまの日常生活で接触する可能性のある金属製品について詳しくヒアリングし、具体的な代替品や対策を提案しています。例えば、ボタンやバックルが原因の場合には、肌に直接触れないように布で覆うなどの工夫も有効です。
じんましんが繰り返す原因と対処法とは?
じんましんは、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、強いかゆみを伴う発疹で、数時間以内に消えるのが特徴です。しかし、これが繰り返し起こる場合、その原因と対処法を知ることが重要です。
じんましんは、皮膚の肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されることで起こります。このヒスタミンが、血管を拡張させたり、神経を刺激したりすることで、赤み、膨疹(ぼうしん)、かゆみを引き起こします。じんましんが6週間以上続く場合を「慢性じんましん」と呼び、原因が特定できないことも少なくありません。
「毎晩、決まった時間になるとじんましんが出る」「ストレスを感じると全身に広がる」といった訴えで、繰り返すじんましんに悩む患者さまは非常に多いです。特に、原因がはっきりしない慢性じんましんは、患者さまの生活の質を著しく低下させることがあります。
繰り返すじんましんの主な原因
- アレルギー性じんましん: 食物、薬剤、昆虫刺傷、植物などが原因で起こります。
- 物理性じんましん: 寒冷、温熱、日光、圧迫、摩擦、水など物理的な刺激が原因で起こります。
- コリン性じんましん: 発汗を伴う運動、入浴、精神的ストレスなどで体温が上昇した際に起こります。
- 特発性じんましん(慢性じんましん): 原因が特定できないじんましんで、じんましん全体の多くを占めます。自己免疫が関与している場合もあります。
- 内臓疾患や感染症: 稀に、肝炎、甲状腺疾患、膠原病、感染症などがじんましんの原因となることがあります。
対処法と治療
じんましんの治療の基本は、原因が特定できればその原因を避けることですが、慢性じんましんでは原因特定が難しいことが多いため、対症療法が中心となります。
- 抗ヒスタミン薬の内服: じんましんの治療の中心となる薬剤です。症状に応じて、複数の抗ヒスタミン薬を組み合わせたり、増量したりすることもあります。
- ステロイド薬: 症状が非常に強い場合や、抗ヒスタミン薬で効果が不十分な場合に、短期間使用することがあります。
- 生物学的製剤: 難治性の慢性じんましんに対して、オマリズマブなどの生物学的製剤が有効な場合があります。
実際の診療では、患者さまのじんましんがどのような状況で出現するか、詳細な問診を行い、原因の手がかりを探します。また、治療開始後も定期的に効果と副作用を確認し、患者さまの生活の質が向上するよう、きめ細やかなフォローアップを心がけています。
アトピー性皮膚炎の最新治療ガイドラインとは?
アトピー性皮膚炎の治療は、国内外の研究に基づいて常に進化しており、最新の治療ガイドラインは、効果的かつ安全な治療を提供するための重要な指針となります。
アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインは、医師が患者さま一人ひとりの症状や重症度に合わせて最適な治療を選択できるよう、科学的根拠に基づいた推奨事項をまとめたものです。日本皮膚科学会が定期的に改訂しており、最新の知見や新薬の情報を反映しています。
当院では、ガイドラインに沿った標準治療を基本としつつ、患者さまのライフスタイルや希望を考慮した個別化医療を実践しています。特に、ガイドラインの改訂時には、新しい治療選択肢について患者さまに丁寧に説明し、最適な治療法を一緒に検討するようにしています。
治療の基本方針
最新のガイドラインでは、アトピー性皮膚炎の治療は以下の3つの柱を基本としています。
- スキンケア: 皮膚のバリア機能を改善・維持するための保湿剤の塗布や、皮膚を清潔に保つことが基本です。
- 薬物療法: 炎症やかゆみを抑えるためのステロイド外用薬、タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏、コレクチム軟膏などの外用薬、抗ヒスタミン薬の内服などが含まれます。重症例では、免疫抑制剤の内服やアトピー性皮膚炎の生物学的製剤(デュピクセント等)の使用も検討されます。
- 悪化因子の除去・回避: アレルゲンや刺激物質、ストレスなどを特定し、可能な限り避けることが重要です。
最新治療の動向
近年では、IL-4/IL-13を標的とする生物学的製剤(デュピルマブ)や、JAK阻害剤(ウパダシチニブ、アブロシチニブ、バリシチニブ)といった新しい作用機序を持つ内服薬が登場し、これまでの治療で効果が不十分だった重症のアトピー性皮膚炎患者さまに新たな治療選択肢を提供しています。これらの薬剤は、炎症の根本原因にアプローチすることで、高い治療効果が期待されています。
処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。特に、新しい薬剤を使用する際には、患者さまの不安を軽減し、安心して治療を続けられるよう、丁寧な説明とサポートを心がけています。
子どものアトピー|親ができるケアと治療とは?
子どものアトピー性皮膚炎は、乳幼児期に発症することが多く、親御さんにとっては大きな悩みとなることがあります。ここでは、親ができるケアと治療のポイントについて解説します。
子どものアトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が未熟であることや、免疫系の発達段階にあることが関係しています。かゆみが強く、夜泣きや睡眠不足につながることもあり、成長や発達にも影響を与える可能性があります。適切なケアと治療を早期から行うことが、症状の改善と長期的なコントロールにつながります。
初診時に「子どもが夜中にかゆがって眠れない」「何を塗っても良くならない」と、心配そうに相談される親御さんは少なくありません。当院では、親御さんの不安に寄り添い、お子さまの症状だけでなく、ご家族全体の生活の質も考慮した治療計画を立てるようにしています。
親ができる日常のケア
- スキンケアの徹底: 毎日のお風呂で優しく洗い、入浴後5分以内に保湿剤を全身に塗布します。乾燥が強い場合は、日中もこまめに保湿剤を塗りましょう。
- 清潔な環境の維持: 室内のダニやホコリを減らすため、こまめな掃除や換気を心がけます。寝具も清潔に保ちましょう。
- 衣類の工夫: 肌に優しい綿素材の衣類を選び、汗をかいたらすぐに着替えさせます。爪は短く切り、かきむしりによる皮膚の損傷を防ぎます。
- アレルゲンの特定と回避: 食物アレルギーが疑われる場合は、医師の指導のもとで原因食物を特定し、除去食を行います。
治療のポイント
- 外用薬の適切な使用: 医師の指示に従い、ステロイド外用薬や非ステロイド性抗炎症薬を適切に使用します。特にステロイド外用薬は、ステロイド外用薬の正しい使い方と誤解を理解し、自己判断で中断しないことが重要です。
- 定期的な受診: 症状の変化に合わせて、定期的に医師の診察を受け、治療計画を見直します。
実際の診療では、お子さまの成長段階に応じたスキンケアの方法や、外用薬の塗り方について、親御さんと一緒に実践しながら丁寧に指導しています。特に、乳幼児期は症状が変動しやすいため、きめ細やかなサポートが不可欠です。
ステロイド外用薬の正しい使い方と誤解とは?

ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎をはじめとする多くの皮膚疾患の治療に不可欠な薬剤ですが、その使い方には多くの誤解があります。ここでは、正しい使い方とよくある誤解について解説します。
ステロイド外用薬は、強力な抗炎症作用を持つ合成副腎皮質ホルモンを主成分とする薬剤です。皮膚の炎症やかゆみを迅速に抑える効果があり、適切に使用すれば非常に有効な治療薬です。しかし、「怖い薬」「副作用が強い」といった誤解から、自己判断で塗るのをやめてしまったり、少量しか塗らなかったりするケースが散見されます。
ステロイド外用薬は医師の指示に従い、用法・用量を守って使用することが重要です。自己判断での使用中止や過度な使用は、症状の悪化や副作用のリスクを高める可能性があります。
当院では、ステロイド外用薬を処方する際に、「副作用が心配で使いたくない」という患者さまの声をよく聞きます。そのため、薬剤の効果だけでなく、適切な使用方法や副作用のリスクについて、時間をかけて丁寧に説明することを心がけています。
正しい使い方
- 適量を塗る: 塗布量の目安は、人差し指の先端から第一関節まで出した量(フィンガーチップユニット:FTU)で、大人の手のひら2枚分の面積に塗れます。薄く伸ばしすぎず、皮膚がテカる程度にしっかり塗布しましょう。
- 指示された期間塗る: 症状が改善しても、自己判断で急に中止せず、医師の指示に従って徐々に減量していくことが重要です。
- 保湿剤と併用する: ステロイド外用薬を塗る前に保湿剤を塗ると、皮膚のバリア機能が整い、ステロイドの浸透を助ける効果も期待できます。
よくある誤解
- 「ステロイドは怖い薬だから使いたくない」: 適切な強さのステロイドを、適切な量と期間で使えば、副作用のリスクは最小限に抑えられます。炎症を放置する方が、皮膚の損傷や色素沈着など、より大きな問題につながる可能性があります。
- 「症状が良くなったらすぐにやめる」: 症状が改善しても、皮膚の下ではまだ炎症が残っていることがあります。自己判断で中止すると、すぐに再燃してしまうことがあります。
- 「顔には使えない」: 顔は皮膚が薄いため、弱いランクのステロイドを使用したり、短期間の使用にとどめたりしますが、医師の指示のもとで適切に使用すれば問題ありません。
実際の診療では、患者さまに外用薬の塗り方を実演して見せたり、塗り方のパンフレットをお渡ししたりして、正しい使い方を習得していただけるよう努めています。これにより、「塗るのが上手になったら症状が落ち着いてきた」とおっしゃる方が多いです。
アレルギー検査の種類と費用とは?
アレルギーの原因を特定することは、適切な治療や対策を行う上で非常に重要です。ここでは、アレルギー検査の種類と、それぞれの検査にかかる費用について解説します。
アレルギー検査は、アレルギー症状を引き起こす原因物質(アレルゲン)を特定するために行われます。原因が分かれば、そのアレルゲンを避ける(回避する)ことで症状の悪化を防ぎ、より効果的な治療計画を立てることが可能になります。
「何のアレルギーがあるのか知りたい」「子どものアトピーの原因を調べたい」といった理由で、アレルギー検査の種類と費用について相談される患者さまは非常に多いです。当院では、患者さまの症状や生活背景を詳しく伺い、本当に必要な検査を提案するようにしています。
主なアレルギー検査の種類
| 検査名 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| 血液検査(特異的IgE抗体検査) | 血液中の特定のアレルゲンに対するIgE抗体の量を測定します。 | 一度に複数のアレルゲンを調べることが可能。採血のみで簡便。 |
| 皮膚プリックテスト | アレルゲンエキスを皮膚に滴下し、針で軽く傷をつけて反応を観察します。 | 短時間で結果がわかる。即時型アレルギーの診断に有用。 |
| パッチテスト | アレルゲン試薬を皮膚に貼り付け、数日後の反応を観察します。 | 遅延型アレルギー(接触皮膚炎、金属アレルギーの検査と対策など)の診断に有用。 |
| 食物経口負荷試験 | 原因が疑われる食物を少量ずつ摂取し、症状の出現を観察します。 | 食物アレルギーの確定診断に最も確実な方法。医療機関での実施が必須。 |
検査の費用
アレルギー検査は、保険診療の対象となるものがほとんどです。費用は検査の種類や項目数によって異なりますが、3割負担の場合、数千円から1万円程度が目安となります。
- 血液検査(View39など): 一度に39項目を検査できるセットもあり、数千円程度(3割負担)。
- 皮膚プリックテスト: 調べるアレルゲン数に応じて費用が変わりますが、数百円〜数千円程度(3割負担)。
- パッチテスト: 調べる金属の種類によって費用が変わりますが、数千円程度(3割負担)。
当院では、検査前に費用についても詳しく説明し、患者さまが安心して検査を受けられるように配慮しています。また、検査結果が出た際には、単に数値だけを伝えるのではなく、それぞれの数値が患者さまの症状にどう関連しているのか、今後の生活でどのような点に注意すべきかなど、具体的なアドバイスをさせていただいています。
まとめ
アレルギーとアトピー性皮膚炎は、多くの人々が悩む身近な疾患です。ストレス、花粉、食物、金属など、様々な要因が症状の悪化に関与することがありますが、最新の医療技術と正しい知識に基づいたケアによって、症状を効果的に管理し、生活の質を向上させることが可能です。生物学的製剤のような新しい治療選択肢も登場し、これまで治療が難しかった重症例にも希望がもたらされています。また、ステロイド外用薬の正しい使い方と誤解を理解し、子どものアトピー|親ができるケアと治療を適切に行うことは、症状のコントロールにおいて非常に重要です。アレルギー検査を通じて原因を特定し、専門医と連携しながら、ご自身に合った最適な治療法を見つけることが大切です。定期的な受診と日々のスキンケアを継続し、アレルギー・アトピーと上手に付き合っていきましょう。
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よくある質問(FAQ)
- A Verlinden, M Hesta, S Millet et al.. Food allergy in dogs and cats: a review.. Critical reviews in food science and nutrition. 2006. PMID: 16527756. DOI: 10.1080/10408390591001117
- Barbara Cuomo, Caterina Anania, Enza D’Auria et al.. The role of the atopy patch test in the diagnostic work-up of non-IgE gastrointestinal food allergy in children: a systematic review.. European journal of pediatrics. 2023. PMID: 37249680. DOI: 10.1007/s00431-023-04994-2
- I Dávila, J Domínguez-Ortega, A Navarro-Pulido et al.. Consensus document on dog and cat allergy.. Allergy. 2019. PMID: 29318625. DOI: 10.1111/all.13391
- Scott H Sicherer, Hugh A Sampson. Food allergy: Epidemiology, pathogenesis, diagnosis, and treatment.. The Journal of allergy and clinical immunology. 2014. PMID: 24388012. DOI: 10.1016/j.jaci.2013.11.020
- コレクチム(デルゴシチニブ)添付文書(JAPIC)
- サイバインコ(アブロシチニブ)添付文書(JAPIC)
- オルミエント(バリシチニブ)添付文書(JAPIC)
- デュピクセント(デュピルマブ)添付文書(JAPIC)
- オマリズマブBS(オマリズマブ)添付文書(JAPIC)