池袋サンシャイン通り皮膚科の院内
INSURANCE DERMATOLOGY / GENITAL SKIN CONCERNS

性器・陰部にできものがあるとき性病と皮膚疾患の違い・受診目安を整理

性器や陰部のぶつぶつは、尖圭コンジローマなどの性感染症だけでなく、正常な皮脂腺、毛穴の炎症、湿疹などでも生じます。写真だけで自己診断せず、形・症状・経過から受診の必要性を判断できるよう、皮膚科医が整理します。

形と症状性病との違い危険なサイン何科を選ぶか
先に結論
  • 性器のできものは、見た目だけでは性感染症かどうか判断できません。
  • 痛みがない病変にも治療や検査が必要なものがあります。
  • 潰す、削る、市販のいぼ薬を塗るなどの自己処置は避けてください。
  • 出血、潰瘍、硬さ、急な増大、強い痛み、発熱、排尿困難がある場合は早めの診察が必要です。
監修: 吉井 恭平 院長最終医学レビュー: 2026年9月11日最終更新日: 2026年9月11日池袋駅東口 徒歩3分

本記事は一般的な医療情報の提供を目的とし、画像や文章だけで個別の診断はできません。

FIRST CHECK

性器のできものは、形・症状・経過を分けて確認します

病名を当てる前に、診察で役立つ情報を整理します。

性器のできものとは、外性器や陰部の皮膚・粘膜にみられる隆起、しこり、水疱、膿疱などの総称です。まず確認したいのは「表面が滑らかか、ざらざらか」「痛みやかゆみがあるか」「水疱や潰瘍か」「増えているか」です。ただし、同じ病気でも見え方には幅があり、複数の病気が同時に存在することもあります145。

SHAPE

表面と並び方

滑らか、中央がへこんでいる、ざらざらしている、左右対称に並ぶなどを確認します。

SYMPTOMS

痛み・かゆみ・熱感

強い痛みを伴う水疱、毛穴を中心とした痛み、かゆみ主体の赤みなどを分けます。

COURSE

いつから、どう変化したか

急に多発したか、数週間かけて増えたか、同じ場所で繰り返すかが診断の手がかりです。

DISTRIBUTION

できている場所

毛のある皮膚、亀頭や外陰部の粘膜、肛門周囲・肛門内など、部位で候補と受診科が変わります。

日々診察を行う皮膚科医として確認していること

診察では、一つのぶつぶつだけでなく、周囲に同じ病変がないか、左右対称に規則正しく並んでいないか、毛穴の中心と一致するか、触れたときに硬さがあるかを確認します。スマートフォンの写真は経過の比較には役立ちますが、立体感や硬さ、表面の細かな質感が分からないため、写真だけで感染症と断定しません。

STI DIFFERENTIAL

性感染症が原因となる代表的なできものは?

典型像は参考になりますが、実際の診断は診察と必要な検査で行います。

性器のできものを生じる主な性感染症には、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、梅毒、伝染性軟属腫などがあります。できものが痛くないことや、一度消えたことだけでは性感染症を否定できません234。

HPV

尖圭コンジローマ

白色、淡いピンク色、褐色などのいぼが単発または複数みられ、表面が乳頭状・カリフラワー状になることがあります。典型例は痛みが少ない一方、増える場合があります67。症状と治療の詳しい解説

HSV

性器ヘルペス

不快感やかゆみに続き、小さな水疱、びらん、浅い潰瘍が複数出ることがあります。初発では強い痛み、発熱、リンパ節の腫れ、排尿しづらさを伴うことがあります38。水ぶくれ・ただれ・潰瘍の受診目安もご覧ください。再発を繰り返す場合の治療

TREPONEMA

梅毒

感染部位に痛みの少ないしこりや潰瘍が生じ、自然に軽快することがあります。進行すると全身の発疹や扁平コンジローマを生じることがあり、症状が消えても治癒したとは限りません24。

MOLLUSCUM

伝染性軟属腫(水いぼ)

表面が滑らかな半球状の小丘疹で、中央に小さなくぼみがみられることがあります。成人の性器周辺では性的接触による伝播も考慮し、ほかの性感染症の評価を相談します9。

AI生成・形態イメージ
尖圭コンジローマにみられる乳頭状のいぼの形態を示すAI生成の医学イメージ
ざらざらした乳頭状病変の参考イメージ部位を特定しない皮膚上に、尖圭コンジローマでみられることがある凹凸を再現したAI生成画像です。実在する患者さんの症例写真ではありません。実際の色・形・数には幅があり、この画像だけで自己診断はできません。

NOT ALWAYS AN STI

性病ではない正常な変化・皮膚疾患とは?

「ぶつぶつがある」というだけで感染症とは限りません。

外性器には皮脂腺や毛穴があり、正常な構造や一般的な皮膚疾患も生じます。正常変異を感染症と誤解すると不安や不要な自己処置につながるため、規則的な並び方や毛穴との関係も確認します1112。

NORMAL VARIANTS

フォアダイス・真珠様陰茎小丘疹など

フォアダイスは白色から黄白色の小さな皮脂腺です。真珠様陰茎小丘疹は亀頭冠に沿って規則的に並びます。外陰部の前庭部乳頭症も左右対称で均一にみられることがあります。いずれも性感染症ではありません111213。フォアダイスを詳しく見る

HAIR FOLLICLE

毛嚢炎・埋没毛

毛のある部分に赤いぶつぶつや膿疱が生じ、押すと痛むことがあります。剃毛、摩擦、蒸れなどをきっかけに起こりますが、深いしこりや繰り返す病変は別の疾患も考えます。

BENIGN LUMP

粉瘤などの皮下のしこり

皮膚の下に袋状の構造ができ、ゆっくり大きくなることがあります。炎症を起こすと赤く腫れて痛み、膿が出る場合があります。自分で押し出すと悪化しやすいため避けてください。

INFLAMMATION

かぶれ・カンジダ・乾癬など

かゆみ、赤み、皮むけ、小さな丘疹が混在することがあります。洗浄剤、汗、摩擦による皮膚炎のほか、カンジダ、乾癬、扁平苔癬なども候補です10。陰部乾癬の解説

見え方・症状主な候補受診の考え方
均一な小丘疹が左右対称・規則的フォアダイス、真珠様陰茎小丘疹、前庭部乳頭症変化がなく典型的なら正常変異のことがあります。不安なら確認します。
ざらざらしたいぼが増える尖圭コンジローマなど自己処置せず、視診で診断を確認します。
痛い水疱、びらん、浅い潰瘍性器ヘルペスなど抗ウイルス薬は早期開始が重要になるため、早めに相談します。
毛穴を中心とした赤い膿疱毛嚢炎、埋没毛広がる赤み、強い痛み、発熱があれば早めに受診します。
硬い、出血する、潰瘍になる、色が不均一感染症、炎症性疾患、腫瘍性病変など見た目だけで経過観察せず、早めに診察を受けます。

WHEN TO SEEK CARE

早めに受診したい変化は?

痛みの有無だけで判断せず、次の変化を確認してください。

早めの診察が必要なサイン
  • 出血、潰瘍、硬さ、皮膚の深部への固定、色の不均一がある
  • 短期間で大きくなる、数が増える、治療しても改善しない
  • 強い痛み、発熱、広がる赤み、膿、鼠径部のリンパ節腫脹がある
  • 排尿しづらい、尿道内・腟内・肛門内にも症状がある
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある、または免疫を抑える治療中である

性器や肛門周囲の潰瘍は、問診と診察だけでは原因を正確に区別できないことがあります。性器ヘルペスや梅毒などを含めて評価し、典型的でない病変や治療に反応しない病変では生検などを検討します56。

EXAMINATION

診察では何を確認し、どんな検査を考える?

すべての人に同じ検査を行うのではなく、疑う病気に合わせて選びます。

基本は、経過を確認したうえで病変を視診し、必要な場合に触診します。検査は、性器ヘルペスを疑う病変からの核酸検査、梅毒の血液検査、典型的でない病変の病理検査などが候補になります。尖圭コンジローマの診断目的にHPV検査を一律に行うことは推奨されません568。

01
経過を確認

気づいた時期、増え方、痛み・かゆみ・出血、水疱の有無、自己処置、再発歴を確認します。

02
必要な範囲を診察

病変の表面、色、分布、毛穴との関係、硬さを確認します。診察範囲は症状のある場所を相談しながら決めます。

03
検査を選ぶ

疑う病気、感染機会からの時期、症状の部位に応じて、病変からの検体、血液検査、病理検査などを検討します。

04
治療または紹介

診断と部位に応じて治療を相談し、尿道内・腟内・子宮頸部・肛門内などは必要に応じて対応する診療科へ案内します。

日々の診療で問診時に伝えていただきたいこと

「いつ、どこに、最初はどのような形で出たか」が重要です。性行為の詳しい説明を無理に最初から話す必要はありません。感染機会が心配な場合は、おおよその時期と接触した部位、パートナーの診断の有無を伝えると、必要な検査と適切な時期を考えやすくなります。

WHICH DEPARTMENT

性器のできものは何科を受診する?

病変の場所と、できもの以外の症状から選びます。

DERMATOLOGY

皮膚科

外性器や陰部の皮膚表面にある、いぼ、発疹、しこり、毛穴の炎症、かゆみを伴う皮膚変化。

UROLOGY

泌尿器科

尿道内の病変、排尿時痛、尿道からの分泌物、精巣の痛みなどを伴う場合。

GYNECOLOGY

婦人科

腟内・子宮頸部の症状、おりものや不正出血、妊娠中・妊娠の可能性がある場合。

COLORECTAL / STI

肛門外科・性感染症を扱う医療機関

肛門内の病変、排便時痛や出血、複数の性感染症検査を希望する場合など。

受診前に確認したいこと

診療できる部位と検査・処置は医療機関ごとに異なります。受診前に、できものの場所と、診察・検査・処置のどこまで希望するかを伝えてください。当院の一般皮膚科の受診方法は池袋の一般皮膚科(保険診療)で案内しています。皮膚科・泌尿器科・婦人科などの選び分けは、性病は何科を受診するかの総合ガイドをご覧ください。

BEFORE YOUR VISIT

受診までに避けたい自己処置

患部を傷める処置は診断を難しくし、症状を悪化させます。

DO NOT SQUEEZE

潰す・削る・針を刺す

出血、細菌感染、傷あとにつながります。内容物が見えても押し出さないでください。

NO OTC WART ACID

手足用のいぼ薬を塗る

サリチル酸などは性器の皮膚や粘膜を傷めるおそれがあります。自己判断で使わないでください。

AVOID IRRITATION

剃毛・強い洗浄・消毒

摩擦や刺激で炎症が強くなります。ぬるま湯でやさしく洗い、こすらずに保ちます。

KEEP A RECORD

変化を記録する

気づいた日、数や大きさ、痛み・かゆみの変化をメモします。写真は診断ではなく経過確認の補助として使います。

FAQ

性器・陰部のできものについてよくある質問

受診前に迷いやすい点を短くまとめます。

性器のぶつぶつは、すべて性病ですか?

いいえ。フォアダイスや真珠様陰茎小丘疹などの正常な変化、毛嚢炎や粉瘤などの皮膚疾患もあります。一方で尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、梅毒、伝染性軟属腫なども候補になるため、見た目だけで決めつけないことが大切です。

痛くないできものなら放置しても大丈夫ですか?

痛みがない尖圭コンジローマや梅毒の病変もあります。数が増える、硬い、出血する、潰瘍になる、色が不均一などの変化があれば早めに受診してください。変化がなくても診断が分からない場合は一度確認しましょう。

性器のできものは何科を受診しますか?

皮膚表面のできものは皮膚科、尿道内や排尿症状は泌尿器科、腟内・子宮頸部や妊娠に関する相談は婦人科、肛門内の症状は肛門外科などが候補です。診療範囲は医療機関ごとに異なるため、受診前に部位を伝えて確認してください。

写真を送れば診断できますか?

写真は経過を確認する参考になりますが、立体感、硬さ、表面の質感、正確な分布は十分に分かりません。画像だけで確定せず、必要に応じて対面で視診・触診や検査を受けてください。

ニキビのようなできものを潰してもよいですか?

潰したり削ったりしないでください。炎症や細菌感染、出血、傷あとにつながり、ウイルス性の病変では周囲へ広げる可能性もあります。剃毛や強い消毒もいったん控えてください。

性器のできものがあれば性感染症検査を全部受けるべきですか?

必要な検査は病変の形、症状、経過、接触歴などで変わります。性器のできものだけでは分からない感染症もあるため、不安な感染機会がある場合はその時期と接触部位を医師に伝え、検査項目と時期を相談してください。

パートナーにも症状がなければ問題ありませんか?

性感染症には症状が目立たないものがあります。診断が確定した場合や感染機会が心配な場合は、自己判断で薬を共有せず、パートナーの検査・診察の必要性を医師に確認してください。

妊娠中や妊娠の可能性がある場合はどうしますか?

妊娠中は感染症の種類と治療薬の選択が重要です。薬や市販品を使う前に、妊娠中または妊娠の可能性があることを伝えて早めに相談してください。

REFERENCES

参考文献・公的資料

本文は公的資料とPubMed掲載の診療ガイドライン・臨床レビューを中心に確認しています。

  1. 公的資料厚生労働省「性感染症」
  2. 公的資料厚生労働省「これって、性感染症?」
  3. 公的資料国立健康危機管理研究機構「性器ヘルペスウイルス感染症(詳細版)」
  4. 公的資料国立健康危機管理研究機構「梅毒(詳細版)」
  5. 診療指針CDC. Diseases Characterized by Genital, Anal, or Perianal Ulcers.
  6. 診療指針CDC. Human Papillomavirus (HPV) Infection, STI Treatment Guidelines.
  7. 診療ガイドラインBritish association for sexual health and HIV national guideline for the management of anogenital warts in adults (2024). PMID: 38456387.
  8. 診療ガイドライン2024 European guidelines for the management of genital herpes. PMID: 39620271.
  9. 診療ガイドライン2020 European guideline on the management of genital molluscum contagiosum. PMID: 32881110.
  10. 診療ガイドライン2022 European guideline for the management of balanoposthitis. PMID: 36942977.
  11. 臨床レビューMale Genital Dermatology: A Primer for the Sexual Medicine Physician. PMID: 30458984.
  12. 鑑別レビューPenile appearance, lumps and bumps. PMID: 23781523.
  13. 臨床研究Differentiating Fordyce Spots from Their Common Simulators Using UV-induced Fluorescence Dermatoscopy. PMID: 36900129.
  14. 診療推奨2024 recommendations for the therapeutic management of anogenital warts. PMID: 42235479.

MEDICAL REVIEW

監修医師

医学情報と患者さんの受診判断を皮膚科医が確認しています。

池袋サンシャイン通り皮膚科 院長 吉井恭平
池袋サンシャイン通り皮膚科院長 吉井 恭平

日々の一般皮膚科診療で、性器・陰部のできものを含む皮膚症状の鑑別と受診相談に対応しています。

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