池袋サンシャイン通り皮膚科の日々の診療コラムを表す院内イメージ

Daily Clinic Notes

2026年、東京で手足口病が警報レベルに診察室で伝えたいこと

今年は手足口病の流行が気になりますね。東京都の2026年第28週では、小児科定点当たりの報告数が14.33まで増え、島しょを除く30保健所で警報基準を超えました。池袋を含む豊島区も10.20です。一方、全国の第26週時点の評価は『例年と同様に増加しているが、全国的な大流行とはまだいえない』という内容でした。地域と時点を分けて数字を見ることが大切です。診察室で保護者の方へ何をお伝えしたいか、今年確認されたウイルス型や登園の目安も含めて整理しました。

監修: 吉井恭平手足口病(2026年の流行状況)最終更新 2026-07-18

まず押さえたい3つの要点

01

東京都の2026年第28週は定点当たり14.33、豊島区は10.20で、都内の広い地域が警報レベルです。

02

全国では第20週から増加し、第26週は定点当たり4.61でしたが、その時点では例年と同程度の流行規模と評価されています。

03

手足口病は手・足・口だけでなく、膝、臀部、肘、顔などに出ることがあり、大人も家庭内で感染します。

この記事の結論

2026年の手足口病は、全国一律に過去最大級という状況ではありませんが、東京では明らかな流行期に入り、7月第28週の定点当たり報告数は14.33に達しています。多くは3〜7日ほどで自然に軽快しますが、口の痛みで水分がとれない乳幼児、大人の強い手足の痛み、まれな神経・心肺合併症には注意が必要です。発疹が消えるまで一律に休む病気ではなく、熱がなく、普段の食事がとれ、全身状態が安定していることが登園・登校の基本的な目安です。治った後も便には2〜4週間ほどウイルスが含まれるため、排便やおむつ交換後の石けんと流水による手洗いを続けます。

  • 東京都の数字は週ごとに動くため、記事の更新日と感染症週報の対象週を一緒に確認してください。
  • 『手・足・口に全部そろっていないから違う』とは限らず、臀部や膝の発疹、口の痛み、周囲の流行も手がかりになります。
  • 抗菌薬はウイルスには効かず、治療の中心は水分と痛み・発熱への対症療法です。

水分がとれない、尿が減る、様子がおかしい時は発疹より全身状態を優先してください

口の痛みでほとんど飲めない、半日近く尿が出ない、涙が出ない、ぐったりする、繰り返し吐く、強い頭痛、首を動かしにくい、呼びかけへの反応が鈍い、手足の力が入りにくい、けいれん、息苦しさ、顔色不良がある場合は、早めに小児科・救急医療機関へ相談してください。乳児、妊娠中の方、免疫が低下している方、基礎疾患がある方も、自己判断で長く様子を見ないでください。

01 / Clinic Note

『今年は多いですね』を、東京と全国の数字に分けて確認しました

今年は手足口病の話を耳にする機会が増えました。東京都感染症週報を確認すると、2026年第28週(7月6日〜12日)の報告は3,783例、定点当たり14.33でした。島しょを除く30保健所が警報基準を超え、豊島区も定点当たり10.20です。池袋周辺でも、流行している前提で発熱や水疱性発疹を考える時期に入っています。

ただし、全国の見え方は少し違います。国立健康危機管理研究機構の第26週のまとめでは、第20週の定点当たり0.65から第26週の4.61へ増加しているものの、流行規模は例年と同程度かそれ以下で、全国的な大流行は確認されていないと評価されました。『日本中で過去最大』と『東京では警報レベル』は同じ意味ではありません。

2026年7月1日時点で患者検体から主に検出されていたのはコクサッキーウイルスA6型(CA6)とエンテロウイルス71型(EV71)でした。検出数は流行中の全患者を代表するものではありませんが、発疹が広めに出るCA6や、まれな神経合併症と関連するEV71を念頭に、見た目と全身状態の両方を見る必要があります。

地域・時点
定点当たり報告数
読み方
全国 第20週
0.65
例年の夏季流行に向けて増加開始
全国 第26週
4.61
増加中だが、この時点では例年並みの評価
東京都 第26週
6.30
警報基準到達を東京都が公表
東京都 第28週
14.33
30保健所で警報基準超え
豊島区 第28週
10.20
池袋周辺でも流行期
02 / Not Only Hands And Feet

手・足・口に全部そろわなくても、手足口病は候補になります

手足口病は、感染からおよそ3〜5日後に、口の中、手のひら、足の裏や足の甲へ2〜3mmほどの水疱性発疹が出る感染症です。発熱はないこともあり、出ても38度以下が多いとされています。多くは3〜7日で自然に軽快します。

名前が分かりやすい一方で、その名前に引っ張られすぎることがあります。発疹は臀部や膝、肘にも出ます。口の痛みが先に強く、手足の発疹が少ないこともあれば、発疹が水痘のように広く見えることもあります。特にCA6による手足口病では、顔や体幹を含む広い分布、大きめの水疱、湿疹の部位に強く出る非典型例が報告されています。

診察では『手足口に三点セットがあるか』だけでなく、周囲の流行、発熱や喉の痛みからの時間経過、口腔内、手掌・足底、臀部、膝、肘まで見ます。写真を撮るなら、発疹のアップだけでなく、左右と分布が分かる全体像も残すと役立ちます。

  • 口の中の小さな水疱・潰瘍と、食べる時の痛み
  • 手のひら、指、足の裏、足の甲の赤い点や水疱
  • 臀部、膝、肘、口の周囲まで広がる発疹
  • 発熱が目立たない、または発疹より先に短く出る経過
  • 家族、保育園、幼稚園、学校での似た症状
03 / Look Alikes

ヘルパンギーナ、水痘、とびひとは、発疹の場所と時間経過で分けます

夏に口の痛みと発熱があれば、同じエンテロウイルスによるヘルパンギーナも候補です。ヘルパンギーナは口の奥の水疱や潰瘍が中心で、通常は手足の発疹を伴いません。ただし、症状が完全に教科書どおりに分かれるとは限りません。

水痘は体幹や顔から全身へ広がりやすく、赤い斑点、水疱、膿疱、かさぶたなど異なる段階の発疹が同時に見えることが手がかりです。とびひは細菌感染で、破れやすい水疱、じゅくじゅく、黄色いかさぶたが周囲へ広がります。抗菌薬が必要になることがありますが、手足口病には通常効きません。

強い痛み、目や陰部を含む粘膜のただれ、広範囲の皮むけ、薬を飲み始めた後の発疹は、別の重い病気も考える所見です。流行している時期でも、すべての水疱を手足口病と決めつけないようにします。

病気
発疹・口の所見
大切な手がかり
手足口病
口、手掌、足底、臀部・膝など
周囲の流行、多くは3〜7日で軽快
ヘルパンギーナ
口の奥の水疱・潰瘍が中心
手足の発疹は通常みられない
水痘
体幹中心に異なる段階の発疹が混在
新しい発疹が次々に出る
とびひ
破れやすい水疱、びらん、黄色い痂皮
細菌感染で周囲へ広がる
04 / Adults Can Catch It

子どもの病気に見えますが、大人も感染し、手足の痛みが強いことがあります

手足口病は乳幼児に多い病気ですが、大人も感染します。子どもの看病、おむつ交換、タオルや食器の扱いなどを通じた家庭内感染がきっかけになります。感染しても症状が出ない人がいるため、家族全員の完全な隔離だけで防ぐことは難しい感染症です。

大人では頻度は高くないものの、発熱、強い喉の痛み、手のひらや足の裏の圧痛、水疱が目立ち、歩いたり物を持ったりするのがつらくなる例があります。CA6に関連する成人例では、発疹が広範囲で、多形紅斑やヘルペス感染に似て診断が難しかったという報告があります。

回復した数週間後に、爪の根元に横線が入ったり、爪が一時的に浮いて剥がれたりすることもあります。これは爪の成長が一時的に止まったためと考えられ、多くは新しい爪が伸びてきます。ただし、痛み、腫れ、膿、変色が続く時は別の爪疾患や感染も確認します。

05 / Supportive Care

薬より先に、水分がとれているか、尿が出ているかを見ます

手足口病に対する特別な抗ウイルス薬はなく、治療は症状を和らげながら自然に回復するのを待つ対症療法が中心です。抗菌薬は細菌に対する薬なので、合併した細菌感染がなければ手足口病そのものには使いません。

いちばん困りやすいのは口の中の痛みです。一度にたくさん飲ませようとせず、冷たすぎない飲み物を少量ずつ、回数を分けて与えます。酸味、塩味、熱いもの、硬いものはしみやすいため、本人が食べやすい柔らかいものを選びます。食事量が一時的に減っても、水分と尿が保てているかを優先して見ます。

水疱は針でつぶさず、皮膚を清潔にして掻き壊しを避けます。発熱や痛みへの薬は年齢、体重、持病で選択が変わるため、手元の薬を自己判断で使い回さず医師や薬剤師へ確認してください。症状が強い時の写真と、飲めた量、尿の回数、熱の経過が診察の助けになります。

  • 少量ずつ、こまめに水分をとる
  • 尿の回数、涙、口の乾き、機嫌・反応を見る
  • 酸っぱい、塩辛い、熱い、硬い食べ物を避ける
  • 水疱を針でつぶさず、掻き壊しを防ぐ
  • 飲水量、尿、体温、発疹の写真を短く記録する
06 / Back To School

発疹が全部消えるまでではなく、熱・食事・全身状態が戻ったかで判断します

日本小児科学会と厚生労働省の保育所ガイドラインでは、発熱がなく、口の中の水疱や潰瘍の影響がなく普段の食事がとれ、全身状態が安定していれば登園・登校が可能とされています。発疹が残っているだけで一律に休む基準ではありません。ただし、園や学校が独自の届出や確認を求める場合があるため、施設の運用も確認してください。

これは『もう感染させない』という意味ではありません。症状が治った後も、便には2〜4週間ほどウイルスが含まれることがあります。発疹が消えるまで休んでも排泄期間すべてを覆えないため、長期の一律出席停止より日常の感染対策を続ける考え方です。

石けんと流水での手洗い、特にトイレやおむつ交換の後と食事前を丁寧に行います。タオルの共用を避け、排泄物を適切に処理します。家族の誰かが回復した後も、数週間は手洗いを意識する。地味ですが、ここがいちばん大切です。

確認項目
戻る目安
まだ休んで相談したい状態
発熱
熱がない
発熱が続く、再び上がる
口の痛み・食事
普段の食事がとれる
水分もとれない、尿が減る
全身状態
機嫌・活動性が普段に近い
ぐったり、反応が鈍い
発疹
残っていても上記を満たす
急に増える、強く痛む、化膿する
07 / Red Flags

まれな合併症より先に、毎日の観察では脱水と様子の変化を見逃さないようにします

手足口病の多くは軽症ですが、口が痛くて飲めない乳幼児では脱水が現実的な問題です。尿が明らかに減る、口が乾く、泣いても涙が出ない、ぐったりする場合は、発疹の数より先に水分状態を評価します。

まれに無菌性髄膜炎、脳炎、小脳失調、急性弛緩性麻痺、心筋炎、神経原性肺水腫などの合併症が報告されています。強い頭痛、繰り返す嘔吐、首の硬さ、ぼんやりする、異常な動き、手足の力が入りにくい、けいれん、息苦しさ、顔色不良は早めの医療評価が必要です。

手足口病が流行していると、別の発熱や発疹も手足口病に見えてしまいます。高熱が続く、いったん良くなってから悪化する、発疹が紫色で押しても消えない、目や口のただれが強い、皮膚が広くむける時は、診断名にこだわらず医療機関へ相談してください。

  • ほとんど飲めない、尿が減る、涙が出ない、ぐったりする
  • 高熱が続く、繰り返し吐く、強い頭痛、首を動かしにくい
  • 呼びかけへの反応が鈍い、けいれん、ふらつき、手足の脱力
  • 呼吸が苦しい、顔色が悪い、胸の痛みがある
  • 紫斑、広範囲の皮むけ、目・口・陰部の強いただれがある
08 / Learning

今日の学びは、『流行しています』の次に、地域・週・本人の状態まで話すことでした

『今年は手足口病が流行っていますね』。たしかに東京では警報レベルで、豊島区でも定点当たり10.20まで増えています。ただ、全国の第26週評価は例年並みでした。流行の話は、どの地域の、いつの数字なのかを一緒に伝えないと、必要以上に不安を大きくしてしまいます。

診察室で本当に役立つのは、病名を当てることだけではありません。手足口に全部そろわない発疹もあること、大人も感染すること、抗菌薬で治す病気ではないこと、登園は発疹の有無だけで決めないこと、回復後も手洗いを続けること。この順に話すと、家へ帰ってから何を見るかがはっきりします。

そして最後は、流行の数字ではなく目の前の人です。水分がとれるか、尿が出ているか、元気があるか。珍しい合併症を並べて怖がらせるのではなく、見逃したくない変化を具体的に共有する。2026年の手足口病を調べ直して、あらためてそう感じました。

  • 東京では警報レベルだが、全国の流行評価とは分けて考える
  • 手・足・口以外の発疹と、大人の家庭内感染も念頭に置く
  • 登園は熱、食事、全身状態で考え、回復後も手洗いを続ける
  • 発疹の数より、水分、尿、反応、呼吸の変化を優先して見る
Clinic View

池袋・豊島区で手足口病の発疹を相談したい方へ

池袋駅・東池袋周辺で、お子さんやご家族に口の痛み、手足・臀部の水疱性発疹が出た場合は、発症日、発熱、水分量、尿の回数、園や学校・家族内の流行、発疹の写真を整理して受診してください。感染症が疑われるため、受診前に医療機関へ症状を伝えると待機方法を確認できます。

池袋サンシャイン通り皮膚科では、一般皮膚科(保険診療)として水疱や発疹を診察し、手足口病、とびひ、水痘、湿疹などを見分けます。水分がとれない、ぐったり、けいれん、呼吸苦など全身症状がある場合は、皮膚科の通常受診を待たず、小児科・救急医療機関へ相談してください。

FAQ

よくある質問

2026年は手足口病が全国的に大流行しているのですか?

東京では2026年第28週に定点当たり14.33となり、警報レベルです。一方、全国の第26週は4.61で、国立健康危機管理研究機構はその時点の流行規模を例年と同程度かそれ以下と評価しました。地域と集計週で状況が異なるため、最新の自治体週報も確認してください。

手足口病は大人にもうつりますか?

うつります。子どもの看病やおむつ交換などを通じた家庭内感染が起こります。大人では発熱、強い喉の痛み、手のひらや足の裏の痛み、広い範囲の発疹が目立つ例があります。症状がなくてもウイルスを排出する人がいるため、家族全員で手洗いを続けます。

手・足・口のすべてに発疹がなくても手足口病ですか?

可能性はあります。発疹が少ない、口の症状が先行する、臀部・膝・肘・顔などに広がる例があります。周囲の流行と時間経過も含めて診断します。高熱や広い皮むけ、強い粘膜症状がある時は別の病気も考えて受診してください。

手足口病に抗菌薬や特別な治療薬は必要ですか?

手足口病はウイルス感染症で、通常は特別な抗ウイルス薬も抗菌薬も使わず、水分補給と痛み・発熱への対症療法で経過を見ます。とびひなど細菌感染を合併した場合は治療が異なるため、じゅくじゅくや膿、赤みの拡大がある時は診察で確認します。

手足口病はいつから登園・登校できますか?

日本小児科学会と厚生労働省の目安では、発熱がなく、口の水疱や潰瘍の影響がなく普段の食事がとれ、全身状態が安定していれば可能です。発疹が全部消えることは条件ではありませんが、園や学校の独自ルールも確認してください。

手足口病は治った後も人にうつりますか?

症状が治った後も、便には2〜4週間ほどウイルスが含まれることがあります。また、症状が出ない感染者もいます。排便・おむつ交換後と食事前の石けんと流水による手洗い、タオルを共用しないことを回復後も続けてください。

手足口病の後に爪が剥がれることはありますか?

数週間後に爪の横線や一時的な爪の脱落が起こることがあり、特にコクサッキーウイルスA6型との関連が報告されています。多くは新しい爪が伸びてきますが、痛み、腫れ、膿、強い変色、長く改善しない変形は皮膚科で確認してください。

手足口病で早めに受診した方がよい症状は何ですか?

水分がとれない、尿が減る、ぐったりする、繰り返し吐く、強い頭痛、首の硬さ、ぼんやりする、けいれん、手足の脱力、呼吸苦、顔色不良がある時は早めに小児科・救急医療機関へ相談してください。高熱が続く、いったん良くなってから悪化する場合も受診が必要です。

Doctor

監修医師メッセージ

池袋サンシャイン通り皮膚科 院長 吉井恭平

吉井恭平 池袋サンシャイン通り皮膚科 院長

今年は手足口病の流行が気になります。東京都の数字を見ると、池袋を含む豊島区でも流行期に入っていることが分かります。ただ、『警報』という言葉だけで怖がるのではなく、地域と週、そして目の前のお子さんやご家族の状態を分けて見ることが大切です。

手足口に発疹が全部そろわない例や、大人の家庭内感染もあります。診断名と同じくらい、水分がとれるか、尿が出ているか、普段の反応があるかを見てください。登園・登校は発疹だけで決めず、熱、食事、全身状態を確認し、回復後も手洗いを続けましょう。