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口唇の静脈湖を炭酸ガスレーザーで治療する前に
最近、口唇の血管腫、いわゆる静脈湖が疑われる患者さんを診察しました。唇に青紫色のできものがあると、鏡を見るたびに気になりますし、「悪いものではないか」と不安にもなります。今回は炭酸ガスレーザーでの治療を予定していますが、その前に、静脈湖をどう見て、どんな点を説明しておきたいかを診療メモとして残します。
Key Points
まず押さえたい3つの要点
静脈湖は、口唇や耳などに見られる青紫色のやわらかい血管性病変で、良性のことが多いです。
圧迫で色が薄くなる、やわらかい、ゆっくりした経過などが手がかりですが、黒色病変や急に変わる病変は慎重に確認します。
治療は必須ではありませんが、見た目、出血、食事や会話で引っかかる、不安が強い場合はレーザーなどを検討します。
口唇の静脈湖は、唇にできる青紫色のやわらかい血管性病変で、良性のことが多く、症状がなければ経過を見る選択もあります。ただし、黒色病変、青色母斑、悪性黒色腫、外傷後の血腫などと紛らわしいことがあるため、色、圧迫で薄くなるか、硬さ、増大速度、出血や潰瘍の有無を診察で確認します。炭酸ガスレーザー治療を行う場合は、かさぶたや赤み、色素変化、瘢痕、再発の可能性を理解したうえで予定を組むことが大切です。
- 静脈湖は良性のことが多いが、口唇の青紫色病変は鑑別を確認する。
- 急に大きくなる、黒色が不規則、硬い、出血や潰瘍が続く場合は自己判断しない。
- 炭酸ガスレーザー後は、かさぶたを触らず、摩擦・熱い飲食・強い刺激を避けて経過を見る。
黒っぽい、急に大きくなる、出血が続く口唇病変は早めに確認してください
口唇のできものが急に大きくなる、色が黒く不規則、圧迫しても薄くならない、硬い、痛みが強い、出血やただれが続く、短期間で形が変わる場合は、静脈湖と決めつけず皮膚科で確認してください。悪性黒色腫など、別の病変との鑑別が必要になることがあります。
唇の青紫色のできものは、小さくても本人にとっては気になる存在です
今回診察したのは、口唇に青紫色のできものがある方でした。いわゆる血管腫と表現されることもありますが、診察では静脈湖を考えました。唇は人と話す時にも、自分で鏡を見る時にも目に入りやすい場所です。小さな変化でも、患者さんの不安は意外と大きいものです。
静脈湖は良性の血管性病変として扱われることが多いですが、口唇の青紫色、黒色、赤黒いできものを見た時に、最初から「これは大丈夫」と言い切るより、圧迫で色が薄くなるか、硬くないか、急に変化していないか、出血しやすくないかを一つずつ確認します。
今回は炭酸ガスレーザーでの治療を予定しています。治療そのものより前に大切なのは、まず診断の見立てを丁寧にすること、そして治療後のかさぶたや赤み、再発の可能性まで含めて共有しておくことだと感じました。
静脈湖は、唇にできる青紫色のやわらかい血管性病変です
DermNetでは、静脈湖は血管の拡張によってできる青みを帯びたやわらかい斑点や丘疹で、下口唇に多いと説明されています。中高年以降で見つかることが多く、耳や顔にも見られます。
診察でわかりやすい手がかりは、圧迫すると色が薄くなることです。血液がたまって青紫に見えているため、ガラス板やダーモスコピーで押すと一時的に色が抜けるように見えることがあります。
ただし、写真だけ、遠目だけで判断するのは避けたいところです。口唇には色素性病変、外傷後の血腫、粘液嚢胞、血管角化腫なども出るため、経過と診察所見を合わせて見ます。
青紫色だから血管だけ、とは決めつけません
静脈湖は良性のことが多い一方で、口唇の色のついた病変では鑑別が大切です。DermNetでも、静脈湖は青色母斑、老人性血管腫、クモ状血管腫などと紛らわしいことがあるとされています。実際の診療では、色素性病変や悪性黒色腫との見分けも意識します。
特に、黒色が混じる、境界が不規則、急に大きくなる、出血やただれが続く、硬い、圧迫で色が抜けない病変は、静脈湖としてすぐ治療に進むより、ダーモスコピーや必要に応じた病理検査を考えます。
患者さんにとっては、血管腫、ほくろ、シミ、血豆の違いは分かりにくいものです。だからこそ、見た目の名前を急いでつけるより、危ないサインがないかを一緒に確認する時間が大事になります。
静脈湖は、治療しない選択と治療する選択を分けて考えます
静脈湖は良性のことが多いため、必ず取らなければいけないものではありません。DermNetでも、無害で治療不要なことがあり、見た目が気になる場合には病変を破壊する治療が選択肢になるとされています。
治療を考えるきっかけは、見た目が気になる、食事や会話で引っかかる、時々出血する、口紅や髭剃りで触れてしまう、悪いものではないかという不安が強い、などです。小さい病変でも、唇という場所では生活の中で存在感があります。
治療法には、冷凍凝固、電気凝固、硬化療法、IPL、血管レーザー、炭酸ガスレーザーなどがあります。レーザーや光治療に関するレビューでは、静脈湖に対して複数の機器で有効性が報告されていますが、病変の大きさ、深さ、場所、出血しやすさ、瘢痕リスクを見て選びます。
炭酸ガスレーザーでは、蒸散と止血を意識して治療します
炭酸ガスレーザーは、水分に吸収されやすい波長のレーザーで、皮膚や粘膜表面の組織を精密に蒸散する治療に使われます。DermNetでは、炭酸ガスレーザーは高エネルギーの光で熱を発生させ、対象組織を破壊すると説明されています。
静脈湖の治療では、病変を蒸散しつつ、出血を抑えるように凝固させるイメージです。炭酸ガスレーザーによる静脈湖治療の報告では、注意して行えば美容的に良い結果が得られるとされていますが、治療後の傷がゼロになるわけではありません。
唇は動く場所で、食事、会話、歯磨き、マスク、リップクリームなどの刺激が重なります。治療後はかさぶたを無理に剥がさないこと、熱い飲食や強い香辛料、摩擦を避けること、出血や強い痛みがあれば早めに相談することを説明します。
- 局所麻酔を使うか、痛みの見込みを事前に確認する
- 治療後はかさぶたや赤みが出ることがある
- 唇の動きや食事で刺激を受けやすい
- 色素沈着、色抜け、瘢痕、再発の可能性を説明する
- 口唇ヘルペスの既往、ケロイド体質、内服薬は事前に確認する
治療前には、変化の経過と内服薬、ヘルペス歴を確認します
炭酸ガスレーザーの前には、まず病変の経過を確認します。いつからあるのか、最近大きくなったのか、出血したことがあるか、噛んだり触ったりしていないか、写真で変化が分かるかを聞きます。
次に、治療のリスクに関わる情報です。血液をさらさらにする薬、出血しやすい体質、口唇ヘルペスの既往、ケロイドや肥厚性瘢痕ができやすい体質、妊娠や授乳、過去のレーザー治療で困った反応がなかったかを確認します。
治療後は、見た目の変化を焦って触りたくなる時期があります。唇はどうしても動く場所なので、数日は刺激を減らし、かさぶたが自然に落ちるのを待つことが大切です。
- いつからあるか、最近の変化、出血の有無
- 噛んだ・ぶつけた・血豆ができた記憶
- 抗凝固薬、抗血小板薬、サプリ、漢方
- 口唇ヘルペス、ケロイド体質、過去のレーザー反応
- 治療後に人前に出る予定、写真撮影、旅行、会食
今日の学びは、小さな唇のできものほど説明を丁寧にすることです
静脈湖は、皮膚科医から見ると良性の血管性病変として説明しやすいものです。でも患者さんから見ると、唇に青紫色のできものがある、というだけで毎日気になります。そこには、見た目の問題だけでなく、悪いものではないかという不安も混じっています。
治療をするかどうかは、病変の性質だけで決まりません。気になり方、出血のしやすさ、食事や会話への影響、治療後の予定、瘢痕をどこまで許容できるかも含めて決めます。
今日のメモとしては、静脈湖は「取れば終わり」の病変ではなく、取る前に安心材料と注意材料を分けて伝えることが大切だということです。炭酸ガスレーザーを予定する時ほど、治療後の数日間の見た目や過ごし方まで、最初に共有しておきたいと思いました。
- 静脈湖は良性のことが多いが、青紫・黒色病変の鑑別を確認する
- 治療しない選択も、レーザーで治療する選択もあり得る
- 炭酸ガスレーザー後はかさぶた、赤み、色の変化、瘢痕、再発を説明する
- 唇はよく動く場所なので、術後の摩擦や食事の刺激まで考える
池袋で口唇の静脈湖・血管腫のレーザー治療を相談したい方へ
池袋駅・東池袋周辺で、唇の青紫色のできもの、口唇の血管腫、静脈湖、出血しやすい口元の病変が気になる場合は、いつからあるか、最近の変化、出血の有無、写真を整理して相談すると診察が進めやすくなります。
池袋サンシャイン通り皮膚科では、一般皮膚科と美容皮膚科の両方の視点から、口唇や顔のできもの、血管性病変、レーザー治療の適応を診察しています。診断に迷う病変では、治療前に検査や経過観察を優先することがあります。
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よくある質問
口唇の静脈湖とは何ですか?
静脈湖は、唇などにできる青紫色のやわらかい血管性病変です。良性のことが多く、圧迫で色が薄くなることがあります。ただし、口唇の黒っぽい病変は他の病気と紛らわしいことがあるため、診察で確認することが大切です。
静脈湖は必ず治療が必要ですか?
必ず治療が必要な病変ではありません。見た目が気になる、出血する、食事や会話で引っかかる、不安が強い場合に、レーザーや凝固治療などを検討します。診断に迷う場合は治療より検査を優先することもあります。
炭酸ガスレーザーで静脈湖は治療できますか?
病変の大きさや深さ、場所によりますが、炭酸ガスレーザーで蒸散・凝固して治療することがあります。治療後はかさぶた、赤み、色素変化、瘢痕、再発の可能性があるため、事前に経過を確認してから行います。
治療後に気をつけることはありますか?
かさぶたを無理に剥がさず、強い摩擦、熱い飲食、香辛料、長時間の入浴や飲酒など、赤みや出血を増やしやすい刺激を避けます。出血が止まらない、痛みが強い、膿や強い腫れがある場合は早めに相談してください。
静脈湖と悪いできものはどう見分けますか?
圧迫で色が薄くなる、やわらかい、ゆっくりした経過は静脈湖を考える手がかりです。一方、黒色が不規則、硬い、急に大きくなる、出血や潰瘍が続く、圧迫しても変化しない場合は、悪性黒色腫など別の病変との鑑別が必要です。
受診時に何を伝えるとよいですか?
いつからあるか、最近大きくなったか、出血したか、噛んだりぶつけたりしたか、過去の写真、内服薬、口唇ヘルペスの既往、ケロイド体質、治療後の予定を伝えてください。
監修医師メッセージ
吉井恭平 池袋サンシャイン通り皮膚科 院長
- DermNet. Venous lake.
- DermNet. Carbon dioxide laser treatment.
- Lee JS, Mun JH. Dermoscopy of venous lake on the lips: A comparative study with labial melanotic macule. PLoS One. 2018.
- Migliari DA, et al. Venous lakes: a report of 32 cases treated by carbon dioxide laser vaporization. Dermatol Surg. 2003.
- Del Pozo J, et al. Laser and light-based treatments of venous lakes: a literature review. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2016.
- Azevedo LH, et al. Venous lake of the lips treated using photocoagulation with high-intensity diode laser. Photomed Laser Surg. 2010.