
Cosmetic Dermatology Column
飲むコラーゲンは肌に効く?140人RCTで見えた「測定差」と「見た目差」
2026年に公開されたランダム化比較試験では、コラーゲン5,000mg、グルタチオン250mg、ビタミンE 11.5mgを含む特定の粉末飲料を12週間続けたところ、目尻のしわを測る一部の機器指標でプラセボとの差が出ました。一方、写真を5人が評価したしわの見た目、12週時点の弾力、うるおいには群間差がありませんでした。この研究だけから「飲むコラーゲン全般で、見て分かるほどしわが減る」とは言えません。何が確認でき、何がまだ分からないのかを数値で読み解きます。
Key Points
まず押さえたい3つの要点
12週後、うるおいと弾力の主要な機器指標はプラセボとの有意差がなく、写真によるしわ評価にも差がありませんでした
目尻の微細な凹凸を測るR3zだけは4週・12週で群間差がありましたが、変化は測定機器で捉えた小さな差です
コラーゲン5,000mgにグルタチオンとビタミンEを加えた製品の試験で、コラーゲン単独や他商品へはそのまま当てはめられません
このRCTは、特定の複合サプリで目尻の表面形状を示す一部指標が改善する可能性を示しました。しかし、12週時点の写真評価ではプラセボとの差がなく、弾力と水分量にも群間差はありませんでした。効果が出たのは複数ある測定項目の一部で、片側検定が用いられ、コラーゲン以外の成分も含みます。「飲むコラーゲンは誰にでも見て分かるほど効く」と結論するには不十分です。購入する場合も治療の代わりにせず、成分量、費用、併用薬、体調変化を確認してください。
- 機器が検出した差と、写真・鏡で分かる差を分けて読む
- この複合配合の結果をコラーゲン単独や別の商品へ広げない
- 薬の代わりにせず、使った商品名・成分量・期間・体調を記録する
健康食品は、医薬品や診断・治療の代わりにはなりません
消費者庁は、健康食品を食事・運動・休養の補助として考え、複数製品の併用や医薬品的な効果への期待を避けるよう案内しています。不調を感じたら使用を中止し、商品と成分表示を持って医師・薬剤師へ相談してください。処方薬は自己判断で中止しません。
まず結論:一部の機器指標に差は出ましたが、見た目のしわには差がありませんでした
試験で最も注意したいのは、「統計学的な差があった」という表現だけを切り取らないことです。12週後、目尻の表面形状を3D機器で測った初期粗さR3zは、試験製品67.98、プラセボ74.38で群間差がありました(片側検定p=0.013)。値が小さいほど凹凸が少ない指標です。
一方、写真を5人の評価者が判定したしわスコアは12週後に2.67対2.62で、群間差はありませんでした(p=0.74)。弾力を示すR2、R5、R7も、4週では一部に差があったものの12週時点では差がなく、水分量も全時点で群間差がありませんでした。
したがって、この研究が示したのは「特定の複合製品で、測定機器が拾う目尻の小さな変化が生じた可能性」です。「鏡や写真で誰にでも分かるほど、しわ・弾力・うるおいが改善した」と読むのは行き過ぎです。
何を比べた研究?タイの健康成人140人を12週間追った二重盲検RCTです
対象は、目尻に軽度から中等度のしわがある30〜60歳の健康なタイ人140人です。70人ずつ無作為に割り付け、研究参加者と評価者の双方にどちらを飲んでいるか分からないようにしました。試験は単施設で行われ、135人(試験製品66人、プラセボ69人)が12週間を完了しました。
試験製品は1日1袋で、加水分解コラーゲン5,000mg、グルタチオン250mg、ビタミンE 11.5mgを含む合計6.5gの粉末です。プラセボはマルトデキストリン、クエン酸、香料、ステビアなどを含み、見た目や味を似せています。いずれも150〜200mLの水に溶かして毎日飲みました。
有効性は、完了して必要データがそろった人だけを解析するper-protocol解析で、欠測値の補完はありませんでした。安全性は少なくとも1回摂取した全員を対象にしました。脱落は少ないものの、効果を厳密にみるうえでは解析集団の違いも確認点です。
- 140人を無作為化し、135人が完了した単施設・二重盲検・プラセボ対照試験
- 対象は軽度〜中等度の目尻じわがある健康なタイ人30〜60歳
- 有効性は完了例解析、安全性は少なくとも1回摂取した全員で解析
なぜ「測定差」と「見た目差」を分ける?機器は肉眼で分からない小さな凹凸も拾います
3D機器PRIMOSで測った目尻の粗さは、Ra、Rmax、Rt、R3zという複数の指標に分かれています。12週時点でプラセボとの有意差が出たのはR3zで、Ra、Rmax、Rtには群間差がありませんでした。論文自身も、機器で捉えたしわ関連指標の変化をおよそ4〜5%と説明しています。
写真評価では、5人の訓練された評価者が0〜7の尺度を使いました。両群とも開始時からわずかに低下しましたが、12週後の差はありません。機器はマイクロメートル単位の表面変化を拾える一方、見た目の尺度が変わるにはより大きな変化が必要です。
「有意差がある」は、差が大きい、本人が実感できる、価格に見合う、長く続くという意味ではありません。何を、いつ、どの方法で測った差かを確かめると、広告の表現に引っ張られにくくなります。
コラーゲン単独の効果とは言えません:グルタチオンとビタミンEを含む特定配合です
試験製品には加水分解コラーゲンだけでなく、グルタチオンとビタミンEが入っています。試験は配合全体とプラセボを比べたため、どの成分がどれだけ寄与したか、成分同士の組み合わせが必要かは分かりません。
コラーゲンの原料、ペプチドの分子量や配列、1日量、他の成分、品質管理が異なる商品に同じ結果を期待することもできません。粉末を水に溶かす条件で、プラセボ群も毎日150〜200mLの水を飲み、水分量は両群で改善しました。
この1試験は、塗る化粧品、美容医療、紫外線対策、食事と直接比較していません。しわ・弾力が気になるときは、目的と希望する変化を整理し、より確立した対策と費用・負担を含めて選びます。
- 加水分解コラーゲン5,000mg+グルタチオン250mg+ビタミンE 11.5mgの複合製品
- コラーゲン単独、別用量、別原料、別商品に同じ結果を保証しない
- 美容医療や紫外線対策との優劣を比較した研究ではない
結果を控えめに読む理由:片側検定、多数の評価、遅い試験登録、企業資金があります
論文では複数の皮膚指標を4つの時点で評価し、方向を仮定する片側検定を多く用いています。多数の比較を行うと偶然の有意差が増えますが、多重比較を補正した記載は確認できませんでした。事前に定めた主要評価項目も本文から明確に読み取りにくく、R3zだけに差が出た結果は再現性の確認が必要です。
研究は2022年7月から2025年7月に行われ、タイ臨床試験登録は2025年6月19日です。少なくとも研究開始後の登録であり、結果を見る前に評価項目や解析計画が固定されていたかを外部から検証しにくい点は注意が必要です。
製品と資金はBlackmores Instituteが提供しました。論文は、スポンサーがデータ解析、解釈、投稿判断には関与しなかったと説明し、著者は利益相反なしと申告しています。それでも企業資金で特定商品を評価した研究として、独立した追試が望まれます。
研究対象は健康なタイ人、期間は12週間、用量は1種類です。日本人、より深いしわ、長期使用、摂取をやめた後、別用量や他製品については分かりません。個人データは公開されておらず、倫理・プライバシー上の理由から合理的な依頼に応じて提供されると記載されています。
12週間は概ね忍容されましたが、「誰にでも長期に安全」とは確認されていません
研究者は製品に関連すると判断した有害事象はなかったと報告しました。血液・尿検査も行われ、尿アルブミン/クレアチニン比が基準上限30mg/gを超えた人は試験製品群9人、プラセボ群7人でした。肝酵素上昇も両群の少数にみられましたが、一貫した製品との関連はないと判断されています。
ただし、12週間の健康成人を対象にした試験は、年単位の摂取、妊娠・授乳中、肝臓・腎臓の病気がある人、アレルギーがある人、薬を服用している人の安全性を保証しません。原料由来のアレルゲンや、併用する他成分も商品ごとに確認が必要です。
使用する場合は、商品名、原材料、1日量、開始日、体調を記録します。発疹、息苦しさ、強い胃腸症状などがあれば使用を中止し、緊急性に応じて医療機関へ相談してください。処方薬をサプリに置き換えたり、自己判断で中止したりしません。
- 研究期間は12週間で、長期安全性は未確認
- 治療中、妊娠・授乳中、持病やアレルギーがある場合は事前に相談
- 複数製品を重ねず、商品・成分・量・期間・体調を記録する
日本で選ぶ前の確認:健康食品を治療の代わりにせず、成分量と総費用を比べます
消費者庁は、健康の基本を栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養とし、健康食品は補助的に利用するよう案内しています。体験談や広告だけで決めず、個別成分の含有量、製造者、問い合わせ先、注意事項を確認します。
今回の研究と比べるなら、「コラーゲン配合」という表示だけでなく、加水分解コラーゲン、グルタチオン、ビタミンEの量と原料、1日費用を見ます。ただし同じ数字でも製品の同等性は保証されません。高価な商品ほど効果が高いとは限らず、12週間続けた総額と、期待する変化の大きさを照らし合わせます。
しわ・たるみには、紫外線対策、保湿、禁煙などの基礎と、外用、注入、機器治療など異なる選択肢があります。サプリを選ぶかどうかも含め、診察、効果の確かさ、限界、ダウンタイム、総費用を比較し、受けない・買わない選択も残して決めましょう。
池袋でしわ・たるみや美容サプリを相談する方へ
池袋駅周辺や東池袋でしわ・たるみを相談する際は、サプリだけでなく、紫外線対策、保湿、喫煙、睡眠、これまでの美容施術、希望する変化、予算を一緒に伝えてください。見た目の悩みと、機器で測れる小さな変化は同じではありません。
使用中の健康食品がある場合は、商品名、成分表示、1日量、開始日、併用薬、感じた変化を分かる範囲で記録します。皮膚症状や体調不良がある、治療中・妊娠中・授乳中、複数製品を併用している場合は、自己判断で治療を置き換えず医師・薬剤師へ相談してください。
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よくある質問
飲むコラーゲンで、目に見えてしわが減った研究ですか?
いいえ。このRCTでは目尻の3D機器指標R3zに群間差がありましたが、5人が写真で評価した12週後のしわスコアは試験製品2.67、プラセボ2.62で差がありませんでした。機器が拾う小さな表面変化の可能性はありますが、見て分かる改善が確認されたとは言えません。
肌の弾力やうるおいには効果がありましたか?
弾力R2とR5は4週時点で群間差がありましたが、12週時点のR2、R5、R7には群間差がありませんでした。水分量は両群で増えましたが、どの時点も群間差はありません。水に溶かして毎日飲む行動など、両群に共通する要因も考えられます。
この研究はコラーゲン単独の効果を示していますか?
示していません。試験製品は加水分解コラーゲン5,000mg、グルタチオン250mg、ビタミンE 11.5mgを含む複合製品です。どの成分が差に寄与したかは分からず、他のコラーゲン商品へ同じ結果を当てはめることもできません。
12週間飲めば安全ですか?
この健康なタイ人140人の試験では、製品に関連すると判断された有害事象はありませんでした。しかし、少数の検査値異常は両群にあり、長期使用、持病、妊娠・授乳、薬との併用は十分に検討されていません。商品ごとの原材料と注意事項を確認し、不調時は中止して相談してください。
飲むコラーゲンは美容医療やスキンケアの代わりになりますか?
この研究は美容医療、外用、紫外線対策と直接比較しておらず、代わりになることを示していません。健康食品は診断・治療の代替にせず、紫外線対策や保湿などの基礎、希望する変化、費用、リスクを含めて選択肢を比較してください。
コラーゲンサプリを皮膚科で相談するとき、何を持参しますか?
商品名、原材料・成分量が分かる表示、1日量、開始日、費用、感じた変化、併用する薬・健康食品をまとめてください。発疹や胃腸症状などがあれば開始時期と経過も記録します。処方薬を自己判断で中止せず、お薬手帳も持参してください。
監修医師メッセージ
吉井恭平 池袋サンシャイン通り皮膚科 院長
- Wisutthathum S, et al. Safety and Efficacy of a Hydrolyzed Collagen Formulation (HYCOS) for Facial Skin Elasticity and Wrinkles: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(9):e71121.
- Thai Clinical Trials Registry. TCTR20250619006: HYCOS hydrolyzed collagen formulation trial.
- 消費者庁. 健康食品(一般の方向け). 最終更新 2026年5月18日.
- 厚生労働省. いわゆる『健康食品』のホームページ.