
Tick Bite Guide & Clinical Case
マダニに噛まれたら?噛まれた跡の症例写真・取り方と皮膚科の受診目安
マダニに噛まれた跡を見つけた、皮膚にまだ付いている、口が残ったように見える、自分で取ってしまった――状況によって次の行動は異なります。実際に背中へ3日間付着したまま来院された症例写真をもとに、皮膚科での取り方、噛み跡の見方、除去後数週間の受診サインを解説します。
Key Points
最初に確認する
3つの状況
まだ皮膚に付いている
虫体を潰さず、見えにくい部位・数日経過・除去困難なら付着したまま皮膚科へ。
自分で取ってしまった
傷を掘らず、日時・場所・写真を記録。虫体があれば潰さず保管します。
噛み跡だけ残っている
跡の画像だけで感染症は判定できません。数週間は皮膚と体調を観察します。
マダニに噛まれたら、まず「まだ付いているか」「自分で取ったか」「跡だけ残っているか」を確認します。全例で感染症になるわけではありませんが、虫体を強くつまむ・潰す・針で傷を掘る行為は避けてください。
背中・頭皮など見えにくい、吸血して膨らんでいる、付着期間が不明または3日以上なら、無理に取らず皮膚科へ。
石けんと流水でやさしく洗い、写真と日時・場所を記録。虫体があれば密閉容器などに保管します。
数週間は発熱、だるさ、発疹、嘔吐・下痢、広がる赤みを確認。症状が出たら早めに受診します。
検索で「マダニに噛まれた跡」「マダニ 噛み跡」「マダニに刺された跡の画像」を見比べても、虫体の種類や感染症の有無は確定できません。このページの症例写真は、付着中の実例を知り、受診時の判断に役立てるためのものです。
当日中〜速やかに医療機関へ相談するサイン
発熱、強い倦怠感、食欲低下、嘔吐・下痢、全身へ広がる発疹、意識がぼんやりする、麻痺、出血しやすい、刺し口の赤み・腫れ・痛みが急に増える場合は、通常の予約日を待たず相談してください。受診時は野外活動の日付・場所と、マダニに噛まれた可能性を伝えます。
マダニに噛まれた跡の症例写真:背中に3日間付着
日々診察を行う皮膚科医として、このページで最も伝えたいのは「痛くないから大丈夫とは限らない」という点です。今回診察した60代男性は、山へ行った3日後に背中の異物へ気づきました。診察では、背部に吸血中のマダニがしっかり付着していました。
背中は自分で見えにくく、マダニ咬傷は痛みやかゆみが乏しいことがあります。吸血して大きくなってから気づく患者さんも少なくありません。診察では、虫体の大きさと付着部位、推定される付着時間、周囲の赤み、発熱や倦怠感の有無を確認します。[1][8]
この写真は「噛まれた跡だけ」の写真ではなく、マダニがまだ付着している状態です。除去後の黒い点・かさぶた・赤みだけから、口器が残ったか、感染症があるかを自己判断することはできません。
皮膚科での取り方:口器を残さないため皮膚ごと切除した症例
日本皮膚科学会は、付着早期であれば先の尖ったピンセットで口器付近をつまみ、ゆっくり引き抜ける場合がある一方、吸着後3日以上では皮膚組織と固く接着し、除去が難しくなると説明しています。腹部を指で強くつまむ方法、火・油・薬剤で無理に外そうとする方法は避けます。[1][9][10]
今回の症例では、推定3日間付着し、背中で口器付近を正確に把持することも難しい状態でした。そのため局所麻酔を行い、生検用の器具で虫体と周囲の皮膚を一塊として切除しました。すべてのマダニ咬傷で皮膚切除が必要なわけではなく、付着時間、部位、食い込み方、除去時の抵抗を見て判断します。
私は「何日前に山・草むらへ入ったか」「誰がどのように取ろうとしたか」「虫体が膨らんでいるか」「発熱やだるさが始まっていないか」を先に確認します。取り方だけでなく、その後に注意する症状まで一緒に説明して初めて処置が完結します。
マダニを自分で取った・自分で取ってしまった時の対処
すでにマダニを自分で取った場合、慌てて刺し口を針・爪・毛抜きで掘らないでください。まず手を洗い、刺し口を石けんと流水でやさしく洗います。取った日、野外活動の日と場所、取る前後の写真を記録し、虫体が残っていれば潰さず密閉できる容器などに保管します。日本皮膚科学会も、除去した虫体は後に症状が出た場合の参考資料になるとしています。[1][5]
「マダニ 自分で取った」「マダニ 自分で取ってしまった」と検索する方の多くは、口器が残ったかを心配されています。黒い点は口器とは限らず、乾いた血やかさぶたのこともあります。写真だけで確定せず、症状と診察で判断します。
マダニの噛み跡・刺された跡はどう見る?画像だけで決めない
除去直後には小さな赤み、出血、黒いかさぶたが見えることがあります。局所反応だけで落ち着くこともありますが、「赤みの形がこの写真と同じだから安全」「黒い点があるから必ず口器が残った」とは判断できません。
日本紅斑熱では刺咬後およそ2〜8日に高熱・発疹・黒い刺し口が見られることがあり、ライム病では数日〜14日後に刺された部位から拡大する紅斑が現れることがあります。ただし典型像がすべてそろうとは限りません。[3][4][13]
刺された跡の治し方について:小さな傷は医療機関から指示された方法で清潔に保護します。赤み・腫れ・痛み・膿が増える、しこりが続く、発熱や発疹を伴う場合は、市販薬を重ねる前に受診してください。
除去後数週間に注意する症状:発熱・発疹・消化器症状
すべてのマダニが病原体を持つわけではなく、噛まれた人全員が感染症になるわけでもありません。一方、厚生労働省は除去後数週間程度の体調観察を案内しています。SFTSは刺咬後6日〜2週間程度で発熱や食欲不振、嘔吐、下痢などが現れることがあり、明確な発疹や刺し口がない場合もあります。[2][6][7]
高い発熱、強いだるさ、食欲低下、嘔吐・下痢、全身の発疹、意識の変化、出血しやすさがあれば速やかに医療機関へ。刺された日、山や草むらへ入った場所、自分で取ったか、虫体や写真があるかを伝えてください。
2025年には関東や北海道で感染したSFTS症例も報告され、厚生労働省は全国的に注意が必要としています。西日本の病気と決めつけず、症状と野外活動歴を合わせて医師へ伝えることが重要です。[6][11][12]
山・草むらの前後にできるマダニ対策
予防は、肌の露出を減らす服装、ディートまたはイカリジンを含む虫よけ剤、帰宅後の確認を組み合わせます。長袖・長ズボン、足を覆う靴を使い、シャツの裾とズボンの裾から侵入しにくくします。虫よけ剤は製品表示に従って使用してください。[5][6][15]
今回の患者さんも、自分では見えない背中に3日間付着していました。山や草むらへ入った日は、入浴時に背中・頭皮・わき・足の付け根を一度確認する。その小さな習慣が早期発見につながります。
池袋でマダニ咬傷・噛み跡を皮膚科に相談したい方へ
池袋サンシャイン通り皮膚科では、皮膚に付着したマダニ、除去後に口器が残った疑い、刺し口の赤み・痛み・しこりなどを一般皮膚科で診察します。付着中の場合は無理に外さず、可能であればそのままご相談ください。
受診時は、野外活動の日付と場所、マダニに気づいた日時、自分で取ろうとしたか、発熱・だるさ・発疹・消化器症状の有無をお伝えください。全身症状が強い場合は、通常の予約を待たず内科・救急医療機関を含め速やかに相談してください。
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状況に合わせて次に読むページ
このページはマダニに特化しています。蚊・ブユ・ハチなど一般的な虫刺されは専用ページで確認できます。
マダニに噛まれた時によくある質問
マダニに噛まれたら、まず何をすればよいですか?
皮膚に付着中なら、虫体を指でつまむ・潰す・火や薬剤を使う対応は避けます。背中や頭皮など口器を見ながら操作できない、吸血して大きい、付着期間が不明または数日経っている場合は、付いたまま皮膚科などへ相談してください。
マダニを自分で取った場合はどうしますか?
刺し口を石けんと流水でやさしく洗い、取った日時・場所と皮膚の写真を残します。虫体があれば潰さず密閉できる容器などに保管してください。口器を探して針や爪で傷を掘ることは避け、違和感やしこり、赤みが続く場合は皮膚科で確認します。
マダニを自分で取ってしまった後、口が残ったか分かりますか?
黒い点や硬いものが見えても、乾いた血やかさぶたとの区別は写真だけでは困難です。口器が残った疑い、チクチクする違和感、しこり、赤み・痛みの増加がある場合は、自分で掘り出さず受診してください。
マダニに噛まれた跡の画像だけで感染症か分かりますか?
分かりません。局所の小さな赤みだけのこともあれば、日本紅斑熱の刺し口、ライム病の広がる紅斑などが見られることもあります。一方、SFTSでは明確な刺し口や発疹がない場合もあります。画像だけでなく発熱・だるさ・消化器症状と経過を確認します。
マダニに刺された跡の治し方は?
除去後の小さな傷は、医療機関から指示された方法で清潔に保護します。赤み・腫れ・痛み・膿が増える場合や、黒いかさぶたを伴う発熱、広がる紅斑がある場合は、単なる傷跡と考えず受診してください。自己判断で抗菌薬やステロイドを重ねないでください。
マダニに噛まれたら必ず感染症になりますか?
必ず感染症になるわけではなく、すべてのマダニが病原体を持つわけでもありません。ただし、日本紅斑熱、ライム病、SFTSなどは早期評価が重要なため、除去後数週間は体調の変化に注意します。
皮膚科ではどのようにマダニを取りますか?
付着時間、吸血の程度、部位を確認して方法を選びます。器具で口器付近を把持して除去できる場合もあれば、強固に付着して口器が残る可能性が高い場合には、局所麻酔下で周囲の皮膚ごと小さく切除することがあります。
マダニの除去後、どんな症状があれば早く受診しますか?
発熱、強いだるさ、食欲低下、嘔吐・下痢、全身の発疹、意識がぼんやりする、刺し口の赤みや痛みが急に増える場合は早めに医療機関へ相談してください。マダニに噛まれた日と場所を必ず伝えます。
マダニは何科を受診しますか?
皮膚に付着している、口器が残った可能性、刺し口の赤み・しこりは皮膚科が基本です。発熱、強い倦怠感、消化器症状、広い発疹、意識の変化など全身症状がある場合は、内科や救急医療機関を含め速やかに相談してください。
山や草むらの後はどこを確認しますか?
首、耳、わきの下、手首、足の付け根、膝の裏、頭皮、背中などを確認します。背中や頭皮は鏡・スマートフォン・ご家族の協力を使い、衣服を脱いだ後も確認してください。
監修医師メッセージ

吉井恭平 池袋サンシャイン通り皮膚科 院長
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A:マダニ類に刺されたらどうすればよいですか?
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- 厚生労働省:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A
- 厚生労働省:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き2025
- Natsuaki M. Tick bites in Japan. J Dermatol. 2021. PMID: 33586799
- Huygelen V, et al. Effective methods for tick removal: A systematic review. 2017. PMID: 28464468
- Owen A, et al. A systematic review of tick removal techniques. 2025. PMID: 41341672
- Charoensakulchai S, et al. Epidemiological Characteristics of SFTS. 2025. PMID: 39965218
- Trends in the incidence of SFTS in Japan, 2013–2022. PMID: 40596258
- Clinical Differentiation of SFTS from Japanese Spotted Fever. PMID: 36016429
- Kodama K, et al. Clinical study of Japanese spotted fever and its aggravating factors. PMID: 12673413
- Interventions to prevent Lyme disease in humans: A systematic review. PMID: 30456054
- Clinical Presentation and Mortality of SFTS in Japan: A Systematic Review. PMID: 35206459