- ✓ 抜け毛の原因はAGA、FAGAだけでなく、生活習慣や他の疾患も考えられます。
- ✓ AGAとFAGAは男性ホルモンの影響が主な原因ですが、進行パターンや治療法に違いがあります。
- ✓ 早期診断と適切な治療が、抜け毛の進行を抑え、改善へ導く鍵となります。
抜け毛は多くの方が経験する悩みであり、その原因は多岐にわたります。特に「AGA」や「FAGA」という言葉を耳にする機会が増え、ご自身の抜け毛がこれらに該当するのか不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。この記事では、抜け毛の主な原因であるAGA(男性型脱毛症)とFAGA(女性型脱毛症)に焦点を当て、それぞれの特徴、診断方法、そして最適な治療法について詳しく解説します。ご自身の抜け毛の状態をセルフチェックし、適切な対処法を見つけるための一助となれば幸いです。
抜け毛・薄毛の原因は?AGAとFAGAの基本的な理解

抜け毛や薄毛の原因は遺伝、ホルモンバランス、生活習慣など様々ですが、特に男性と女性で異なる特徴を持つ脱毛症が存在します。
抜け毛や薄毛の主な原因は、遺伝的要因、ホルモンバランスの変化、生活習慣の乱れ、ストレス、特定の疾患、薬剤の副作用など多岐にわたります。特に、男性に多く見られる「AGA(Androgenetic Alopecia)」と女性に多く見られる「FAGA(Female Androgenetic Alopecia)」は、性ホルモンが関与する代表的な脱毛症です。当院の診察では、初診時に「最近、抜け毛が増えてきて、生え際が後退している気がする」「以前より髪のボリュームが減って、地肌が透けるようになった」と相談される患者さまも少なくありません。これらの訴えは、AGAやFAGAの初期症状である可能性を考慮し、詳しく問診を進めるきっかけとなります。
AGA(男性型脱毛症)とは?
AGAは、成人男性に見られる進行性の脱毛症で、テストステロンという男性ホルモンが深く関与しています。
AGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、頭皮の5α-リダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで発症・進行します。DHTは毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体と結合し、毛母細胞の働きを抑制することで、ヘアサイクル(毛周期)を乱します。具体的には、成長期が短縮され、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまうため、細く短い毛が増え、最終的には硬毛が減少し軟毛化が進みます。AGAの進行パターンは、額の生え際が後退するM字型、頭頂部が薄くなるO字型、またはその両方が進行するU字型などがあります。日本人男性におけるAGAの有病率は高く、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降では40%以上と報告されています[1]。早期に治療を開始することで、進行を遅らせ、改善が期待できます。
FAGA(女性型脱毛症)とは?
FAGAは、女性に見られるびまん性(全体的)の薄毛で、男性ホルモンの影響だけでなく、女性ホルモンの減少や生活習慣も関与します。
FAGAは、女性の薄毛の総称として用いられることが多く、男性のAGAのように明確な進行パターンを示すことは稀です。多くの場合、頭頂部を中心に髪全体が薄くなり、地肌が透けて見える「びまん性脱毛症」として現れます。FAGAの原因は複雑で、加齢による女性ホルモン(エストロゲン)の減少、ストレス、過度なダイエット、生活習慣の乱れ、遺伝的要因などが複合的に関与すると考えられています。また、女性の体内にも微量の男性ホルモンが存在するため、相対的に男性ホルモンの影響が強まることも一因とされています。当院の診察では、特に更年期以降の女性で「分け目が目立つようになった」「髪の毛が細くなってボリュームが出ない」といった訴えが多く、これらの症状からFAGAを疑うケースをよく経験します。FAGAの治療は、AGAとは異なるアプローチが必要となるため、専門医による診断が重要です。
- ヘアサイクル(毛周期)
- 髪の毛が生え、成長し、抜け落ちるまでの周期を指します。成長期、退行期、休止期の3つの段階があり、健康な髪では成長期が最も長く、数年続きます。AGAやFAGAでは、この成長期が短縮されることで、髪の毛が十分に太く長く育つ前に抜け落ちてしまいます。
- びまん性脱毛症
- 頭髪全体が均一に薄くなる脱毛症のことで、特定の部位だけでなく、広範囲にわたって髪の毛が細くなったり、抜け毛が増えたりする状態を指します。女性の薄毛で多く見られます。
抜け毛の原因をセルフチェック!AGAとFAGAの兆候は?
ご自身の抜け毛がAGAやFAGAによるものか、あるいは他の原因によるものかを判断するためのセルフチェック項目をご紹介します。
抜け毛の症状は、その原因によって特徴が異なります。以下のチェック項目を参考に、ご自身の抜け毛の状態を客観的に評価してみましょう。ただし、これらのチェックはあくまで目安であり、正確な診断には専門医の診察が必要です。当院では、問診の際に患者さまの生活習慣、家族歴、既往歴などを詳しく伺い、視診や触診、必要に応じて頭皮の状態をマイクロスコープで確認することで、抜け毛の原因を特定するようにしています。
男性向けセルフチェック項目
- 生え際の後退: 額の生え際がM字型に後退している、または以前よりおでこが広くなったと感じる。
- 頭頂部の薄毛: 頭頂部の髪の毛が細くなり、地肌が透けて見えるようになった。
- 髪の質の変化: 髪全体が細く、コシがなくなり、ボリュームが出にくくなった。
- 抜け毛の増加: シャンプー時やブラッシング時に抜ける毛の量が増えた。
- 家族歴: 父親や祖父など、血縁者に薄毛の方がいる。
- 思春期以降の発症: 思春期以降に薄毛が始まり、徐々に進行している。
これらの項目に複数当てはまる場合、AGAの可能性が高いと考えられます。
女性向けセルフチェック項目
- 分け目の広がり: 髪の分け目が以前より広くなり、地肌が目立つようになった。
- 頭頂部全体の薄毛: 頭頂部を中心に髪全体が薄くなり、ボリュームが減った。
- 髪の細さ・コシのなさ: 髪の毛が全体的に細く、ハリやコシが失われた。
- 抜け毛の増加: シャンプー時やブラッシング時に抜ける毛の量が増えた。
- 産後や更年期: 出産後や更年期に入ってから薄毛が気になり始めた。
- 家族歴: 母親や祖母など、血縁者に薄毛の方がいる。
これらの項目に複数当てはまる場合、FAGAを含む女性型脱毛症の可能性が考えられます。特に、産後の抜け毛は「休止期脱毛」と呼ばれる一時的なものであることが多いですが、FAGAと鑑別するためにも専門医の診察を受けることが重要です。
セルフチェックはあくまで目安です。自己判断で市販薬を使用したり、治療を遅らせたりすることは、症状の悪化につながる可能性があります。正確な診断と適切な治療計画のためには、皮膚科または専門の医療機関を受診してください。
AGA・FAGA以外の抜け毛の原因とは?

抜け毛の原因はAGAやFAGAだけではありません。他の疾患や生活習慣も抜け毛を引き起こす可能性があります。
抜け毛はAGAやFAGA以外にも様々な原因で起こり得ます。これらの原因を正確に把握することは、適切な治療選択に不可欠です。当院では、患者さまの抜け毛の状況を詳しく伺い、必要に応じて血液検査などを行い、他の疾患の可能性も考慮に入れた鑑別診断を行っています。
円形脱毛症
円形脱毛症は、自己免疫疾患の一種で、免疫細胞が誤って毛根を攻撃することで、円形や楕円形に髪の毛が抜け落ちる病気です。小児にも見られることがあります[2]。単発型、多発型、蛇行型、全頭型、汎発型など様々なタイプがあり、ストレスが誘因となることもありますが、根本的な原因は自己免疫の異常と考えられています。当院の診察で、患者さまが「ある日突然、コインくらいの大きさで髪がごっそり抜けているのを見つけた」とおっしゃる場合、円形脱毛症を強く疑い、患部の詳細な観察を行います。
休止期脱毛症
休止期脱毛症は、何らかのストレスや身体的負担(高熱、手術、出産、過度なダイエット、精神的ストレスなど)によって、多くの髪の毛が成長期から一斉に休止期に移行し、数ヶ月後に大量に抜け落ちる状態です。原因が解消されれば自然に回復することが多いですが、症状が続く場合は治療が必要です。特に産後の女性に多く見られ、一時的なものとして認識されることが多いですが、その期間や程度には個人差があります。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症は、ポニーテールやきつく結んだお団子ヘアなど、特定の髪型を長期間続けることで、毛根に継続的な牽引力が加わり、その部分の髪が抜け落ちる脱毛症です。生え際や分け目、こめかみなどに多く見られます。髪型を変えることで改善が期待できますが、長期間放置すると毛根がダメージを受け、回復が難しくなることもあります。
脂漏性脱毛症
脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌により頭皮環境が悪化し、炎症やフケ、かゆみを伴い、抜け毛が増える脱毛症です。マラセチア菌などの常在菌が過剰に繁殖することも原因となります。適切な頭皮ケアや皮膚科での治療が必要です。
その他
- 甲状腺機能異常: 甲状腺ホルモンの分泌異常は、全身の代謝に影響を与え、抜け毛を引き起こすことがあります。
- 栄養不足: 鉄分、亜鉛、タンパク質などの栄養素が不足すると、健康な髪の成長が妨げられます。
- 薬剤の副作用: 抗がん剤、抗凝固剤、一部の降圧剤などが抜け毛の副作用を引き起こすことがあります。
- 頭皮の感染症: 白癬菌(水虫菌)などによる頭皮の感染症も抜け毛の原因となることがあります。
AGA・FAGAの最適な治療法とは?
AGAとFAGAでは、その原因や進行メカニズムの違いから、それぞれに最適な治療法が選択されます。早期に治療を開始し、継続することが重要です。
AGAとFAGAの治療は、進行を抑制し、発毛を促進することを目的としています。当院では、患者さま一人ひとりの症状の進行度、健康状態、ライフスタイルなどを総合的に評価し、最適な治療プランを提案しています。治療を始めて数ヶ月ほどで「抜け毛が減った」「産毛が生えてきた」とおっしゃる方が多く、治療効果を実感していただくことは、治療継続の大きなモチベーションとなります。
AGAの治療法
AGAの治療は、主に内服薬と外用薬の組み合わせで行われます。
- 内服薬(フィナステリド、デュタステリド):
- これらの薬剤は、テストステロンがDHTに変換されるのを阻害することで、AGAの進行を抑制します。フィナステリドは5α-リダクターゼII型を、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害します。
- 効果を実感するまでに通常3〜6ヶ月かかり、継続的な服用が必要です。
- 主な副作用として、性機能障害(性欲減退、勃起不全など)や肝機能障害が報告されていますが、発生頻度は低いとされています。
- 外用薬(ミノキシジル):
- ミノキシジルは、毛包に直接作用し、毛母細胞の活性化や血行促進を通じて発毛を促進します。
- 5%濃度の外用薬が一般的に使用され、休止期脱毛症の治療にも有効性が示されています[3]。
- 主な副作用として、頭皮のかゆみ、かぶれ、初期脱毛などが挙げられます。
- その他の治療: 自毛植毛は、薄毛が進行した部位に自身の健康な毛髪を移植する外科的治療です。心理的な満足度が高い治療法の一つです[4]。その他、低出力レーザー治療やメソセラピーなども選択肢として検討されることがあります。
FAGAの治療法
FAGAの治療は、男性とは異なり、女性ホルモンの影響や全身状態を考慮したアプローチが重要です。
- 外用薬(ミノキシジル):
- 女性のFAGA治療においても、ミノキシジルの外用薬は発毛促進効果が期待できます。男性よりも低濃度の2%が推奨されることが多いですが、症状に応じて5%も検討されます。
- 主な副作用は頭皮のかゆみ、かぶれですが、全身性の副作用として多毛症(顔や手足の毛が増える)が報告されることもあります。
- 内服薬(スピロノラクトン、パントガールなど):
- スピロノラクトンは、男性ホルモンの作用を抑制する抗アンドロゲン作用を持つ薬剤で、女性の薄毛治療に用いられることがあります。
- パントガールは、髪の成長に必要なアミノ酸やビタミン、ミネラルなどを補給する内服薬で、びまん性脱毛症の改善に用いられます。
- ホルモン補充療法: 更年期以降の女性で、女性ホルモンの減少が薄毛の原因となっている場合、ホルモン補充療法が検討されることもあります。
- その他の治療: AGAと同様に、低出力レーザー治療やメソセラピー、自毛植毛も選択肢となります。
処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。特に女性の患者さまからは「治療を始めてから、髪の毛にハリが出てきた」「分け目が気にならなくなった」といった喜びの声をいただくことが多く、私自身も治療の重要性を実感しています。
| 治療項目 | AGA(男性型脱毛症) | FAGA(女性型脱毛症) |
|---|---|---|
| 主な内服薬 | フィナステリド、デュタステリド | スピロノラクトン、パントガールなど |
| 主な外用薬 | ミノキシジル(5%) | ミノキシジル(2%〜5%) |
| 作用機序 | DHT生成抑制、毛母細胞活性化 | 毛母細胞活性化、抗アンドロゲン作用 |
| 治療期間 | 長期的な継続が必要 | 長期的な継続が必要 |
| その他の選択肢 | 自毛植毛、メソセラピー、低出力レーザー | 自毛植毛、メソセラピー、低出力レーザー、ホルモン補充療法 |
抜け毛・薄毛で悩んだらどこに相談するべき?

抜け毛や薄毛の悩みは、一人で抱え込まず、専門の医療機関に相談することが早期解決への第一歩です。
抜け毛や薄毛の症状は、見た目の問題だけでなく、精神的なストレスにもつながることが少なくありません。当院では、患者さまが安心して相談できるよう、プライバシーに配慮した環境を整え、丁寧なカウンセリングを心がけています。初診時には、患者さまの不安や疑問を十分に解消できるよう、治療の選択肢や期待できる効果、費用、副作用について詳しく説明し、納得いただいた上で治療を開始するようにしています。
皮膚科・薄毛専門クリニック
抜け毛や薄毛の診断と治療は、皮膚科医が専門とします。特に、薄毛専門クリニックでは、AGAやFAGAに特化した診断機器や治療法が充実しており、より専門的なアプローチが期待できます。皮膚科では、脱毛症の種類を正確に診断し、それぞれの原因に応じた適切な治療法を提案することが可能です。例えば、円形脱毛症や脂漏性脱毛症など、AGAやFAGA以外の脱毛症も診断・治療できます。
オンライン診療の活用
近年では、オンライン診療を活用して薄毛治療を受けることも可能です。オンライン診療は、遠方にお住まいの方や、忙しくて通院の時間が取れない方にとって非常に便利な選択肢です。当院のオンライン診療では、まず問診票にご記入いただき、ビデオ通話を通じて医師が症状を詳しく伺います。頭皮の状態をカメラで確認させていただくこともあります。その後、医師が診断を行い、適切な治療薬を処方し、ご自宅へ郵送するという流れになります。これにより、通院の手間を省きながら、専門的な治療を受けることが可能です。
受診のタイミング
「少し抜け毛が増えたかな?」と感じ始めたら、早めに受診することをお勧めします。AGAやFAGAは進行性の脱毛症であり、早期に治療を開始するほど、より高い効果が期待できます。進行が進んでしまうと、毛包が完全に失われ、発毛が困難になるケースもあります。特に、セルフチェックで気になる項目が複数あったり、家族に薄毛の方がいたりする場合は、一度専門医に相談してみましょう。
まとめ
抜け毛や薄毛の悩みは、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)をはじめ、様々な原因によって引き起こされます。AGAは男性ホルモンDHTが主な原因で、生え際や頭頂部の薄毛が特徴的です。一方、FAGAは女性ホルモンの減少や生活習慣が複雑に絡み合い、頭部全体のびまん性脱毛として現れることが多いです。円形脱毛症や休止期脱毛症など、他の脱毛症の可能性も考慮し、正確な診断が重要となります。AGAの治療にはフィナステリドやデュタステリドの内服薬、ミノキシジルの外用薬が、FAGAにはミノキシジル外用薬やスピロノラクトンなどの内服薬が用いられます。早期に専門の医療機関を受診し、ご自身の状態に合わせた最適な治療法を見つけることが、抜け毛の進行を抑え、改善へと導く鍵となります。
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よくある質問(FAQ)
- Shannon Harrison, Rodney Sinclair. Optimal management of hair loss (alopecia) in children.. American journal of clinical dermatology. 2004. PMID: 14572298. DOI: 10.2165/00128071-200304110-00004
- William Cranwell, Rodney Sinclair. Common causes of paediatric alopecia.. Australian journal of general practice. 2019. PMID: 31195774. DOI: 10.31128/AJGP-11-17-4416
- Manabu Ohyama, Ryokichi Irisawa, Masaki Uchiyama et al.. Use of 5% Topical Minoxidil Application for Telogen Effluvium: An Open-Label Single-Arm Clinical Trial.. The Journal of dermatology. 2025. PMID: 40599040. DOI: 10.1111/1346-8138.17844
- Isabella J Tan, Mohammad Jafferany. Psychological Dimensions of Hair Transplantation: A Narrative Review of Current Evidence.. Journal of cosmetic dermatology. 2025. PMID: 40990054. DOI: 10.1111/jocd.70475



































