皮膚科 外用薬・内服薬|医師が解説する効果と使い方
皮膚科では、様々な皮膚疾患に対して、外用薬と内服薬を適切に組み合わせて治療を行います。それぞれの薬剤には特定の作用機序と適応があり、患者さまの症状や疾患の重症度、体質などを考慮して選択されます。この記事では、皮膚科でよく用いられる代表的な外用薬・内服薬について、その特徴と効果、使用上の注意点を詳しく解説します。
ドボベット(カルシポトリオール・BDP配合)とは?乾癬治療の選択肢

ドボベットは、尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)の治療に用いられる外用薬で、活性型ビタミンD3誘導体であるカルシポトリオールと、ステロイドの一種であるベタメタゾンプロピオン酸エステル(BDP)を配合した合剤です。この2つの成分が異なる作用機序で乾癬の症状を緩和します。
ドボベットの作用機序と効果
カルシポトリオールは、皮膚細胞の異常な増殖を抑制し、正常な分化を促進することで、乾癬特有の皮膚の厚みや落屑(らくせつ)を改善します。一方、ベタメタゾンプロピオン酸エステルは、強力な抗炎症作用と免疫抑制作用により、皮膚の赤みやかゆみを抑えます。これらの相乗効果により、単剤よりも高い治療効果が期待できるとされています。臨床試験では、ドボベット軟膏を1日1回使用することで、乾癬の重症度を示すPASIスコアが有意に改善したことが報告されています[1]。
当院では、乾癬の患者さまに対して、皮疹の状態や範囲に応じてドボベット軟膏を処方することがよくあります。特に、炎症が強く、皮膚が厚くなっている部位に効果を発揮することが多く、「赤みやカサカサが軽減されて、見た目が気にならなくなった」とおっしゃる方が多いです。
使用方法と注意点
ドボベットは通常、1日1回、患部に薄く塗布します。顔面や皮膚の薄い部位への使用は、ステロイドの副作用のリスクがあるため、医師の指示に従う必要があります。長期使用や広範囲への使用は、ステロイドの全身性副作用や、カルシポトリオールによる高カルシウム血症のリスクを高める可能性があります。妊娠中や授乳中の使用については、医師と相談が必要です。
ドボベットはステロイドを含有しているため、自己判断での使用中止や塗布量の増減は避けてください。副作用の早期発見のため、定期的な診察が重要です。
ミヤBM(酪酸菌)とは?皮膚トラブルと腸内環境の関係
ミヤBMは、酪酸菌(C. butyricum MIYAIRI 588株)を主成分とする整腸剤です。酪酸菌は、腸内で酪酸を産生し、腸内環境を改善する働きがあります。近年、腸内環境と皮膚の健康との関連性が注目されており、アトピー性皮膚炎やニキビなどの皮膚トラブルの改善に寄与する可能性が示唆されています。
酪酸菌の皮膚への間接的な効果
酪酸は、腸管のバリア機能を強化し、炎症を抑制する作用を持つ短鎖脂肪酸の一種です。腸内環境が改善されることで、全身の免疫バランスが整い、皮膚の炎症反応が緩和される可能性が考えられています。例えば、アトピー性皮膚炎の患者さまの中には、腸内環境の乱れが症状悪化の一因となっているケースも少なくありません。ミヤBMの服用により、腸内フローラが改善され、間接的に皮膚の状態が安定することが期待されます。
初診時に「便秘がちで肌荒れもひどい」と相談される患者さまも少なくありません。このような場合、ミヤBMを処方し、腸内環境の改善を図ることで、皮膚症状だけでなく全身の調子が良くなるケースをよく経験します。特にアトピー性皮膚炎の患者さまでは、腸管免疫の調整が皮膚症状の緩和につながることがあるため、当院では積極的に検討しています。
使用方法と安全性
ミヤBMは、通常、成人で1回1〜2錠を1日3回服用します。副作用は比較的少ないとされており、長期服用も可能です。ただし、他の薬剤との併用や、特定の疾患を持つ患者さまについては、医師や薬剤師に相談することが重要です。特に、免疫抑制剤を服用している場合などは注意が必要です。
- 酪酸菌とは
- 腸内に生息する善玉菌の一種で、食物繊維などを分解して酪酸を産生します。酪酸は腸のエネルギー源となり、腸管バリア機能の維持や免疫調整に重要な役割を果たします。
十味敗毒湯とは?化膿性皮膚疾患への漢方アプローチ

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)は、江戸時代の医師である華岡青洲(はなおかせいしゅう)が考案した漢方薬で、化膿性皮膚疾患や湿疹、じんましんなどに用いられます。炎症を鎮め、排膿(はいのう)を促す作用があるとされています。
十味敗毒湯の構成生薬と効果
十味敗毒湯は、サイコ、キキョウ、センキュウ、ブクリョウ、ドクカツ、オウヒ、ケイガイ、ボウフウ、カンゾウ、ショウキョウといった10種類の生薬から構成されています。これらの生薬が複合的に作用し、皮膚の炎症を抑え、膿の排出を助け、かゆみを軽減する効果が期待されます。特に、化膿を伴うニキビや毛嚢炎、アトピー性皮膚炎の悪化時など、炎症が強く、浸出液が多い状態に適応されることが多いです。
当院では、特に化膿性のニキビや、アトピー性皮膚炎でジュクジュクとした炎症が見られる患者さまに十味敗毒湯を処方することがあります。西洋薬と併用することで、炎症の鎮静化が早まるケースや、体質改善の一助となることを診察の中で実感しています。
服用方法と注意点
十味敗毒湯は、通常、食前または食間に水またはぬるま湯で服用します。漢方薬は体質や症状によって効果が異なるため、医師や薬剤師の指示に従うことが重要です。副作用としては、胃部不快感や食欲不振などが報告されていますが、比較的少ないとされています。長期服用が必要な場合や、他の漢方薬との併用を検討する際は、専門家にご相談ください。
| 項目 | 十味敗毒湯 | 西洋薬(抗生物質) |
|---|---|---|
| 主な作用 | 炎症鎮静、排膿促進、体質改善 | 細菌の殺菌・増殖抑制 |
| 適応症状 | 化膿性皮膚疾患、湿疹、じんましん | 細菌感染症、化膿性炎症 |
| 即効性 | 比較的緩やか | 比較的速い |
| 副作用 | 胃部不快感など比較的少ない | 下痢、アレルギー反応など |
芍薬甘草湯とは?皮膚科領域での活用
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、芍薬と甘草の2つの生薬からなる漢方薬で、主に筋肉の急激なけいれんや痛みを鎮める効果があります。皮膚科領域では、特定の症状や治療の補助として用いられることがあります。
芍薬甘草湯の作用と皮膚科での応用
芍薬甘草湯は、芍薬に含まれるペオニフロリンと甘草に含まれるグリチルリチンが協調して作用し、筋肉の緊張を緩和し、痛みを和らげる効果を発揮します。皮膚科では、例えば帯状疱疹後の神経痛や、アトピー性皮膚炎に伴う強いかゆみによる掻破(そうは)後の筋肉痛、あるいは皮膚のけいれん性疾患など、痛みを伴う症状に対して頓服薬として処方されることがあります。また、一部の患者さまでは、夜間のかゆみによる不眠に対して、精神的な緊張を和らげる目的で検討されることもあります。
当院では、帯状疱疹後の神経痛で夜も眠れないほどつらいと訴える患者さまに、頓服として芍薬甘草湯を処方することがあります。また、足のつりやこむら返りを訴える患者さまの中には、皮膚疾患の治療中に身体のバランスを崩している方もいらっしゃるため、症状緩和の一助として活用しています。
服用上の注意点と副作用
芍薬甘草湯は、即効性があるため、頓服として使用されることが多いですが、長期連用や過剰摂取は注意が必要です。甘草の成分であるグリチルリチンは、偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇、低カリウム血症など)を引き起こす可能性があります。特に、高血圧や心臓病、腎臓病のある患者さまは、服用前に必ず医師に相談してください。他の漢方薬や薬剤との併用にも注意が必要です。
- 主な副作用: 偽アルドステロン症、ミオパチー(筋肉痛、脱力感など)
- 服用期間: 症状が改善したら服用を中止し、漫然とした長期連用は避ける。
防風通聖散とは?肥満に伴う皮膚症状への効果
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、18種類の生薬から構成される漢方薬で、主に「実証(じっしょう)」と呼ばれる体力があり、便秘がちで、お腹周りに脂肪が多い方に適応されます。肥満に伴う高血圧や動悸、肩こり、むくみ、そして皮膚疾患の改善に用いられることがあります。
防風通聖散の作用機序と皮膚科での期待
防風通聖散は、発汗、利尿、便通を促進することで、体内の余分な熱や水分、老廃物を排出する働きがあるとされています。これにより、代謝を改善し、肥満の解消をサポートします。皮膚科領域では、肥満に伴うニキビや湿疹、アトピー性皮膚炎の悪化、あるいは脂漏性皮膚炎など、体質的な要因が関与する皮膚トラブルに対して、体質改善の一環として処方されることがあります。特に、皮脂の分泌が多く、炎症を伴う皮膚症状の改善に寄与する可能性が考えられています。
当院では、肥満傾向があり、特に顔や背中のニキビに悩む患者さまに、防風通聖散を検討することがあります。数ヶ月ほど服用を続けて「便通が良くなり、体重も少し減って、肌のベタつきが気にならなくなった」とおっしゃる方が多いです。ただし、効果には個人差があるため、患者さまの体質を詳しく問診した上で処方を判断します。
服用方法と注意すべき副作用
防風通聖散は、通常、食前または食間に水またはぬるま湯で服用します。発汗作用があるため、脱水症状に注意が必要です。主な副作用としては、動悸、発疹、胃部不快感、下痢などが報告されています。また、高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能亢進症などの持病がある方は、服用前に必ず医師に相談してください。長期連用する場合は、定期的な診察で体調の変化を確認することが重要です。
バラシクロビル(バルトレックス)とは?ヘルペス治療の第一選択薬

バラシクロビルは、ヘルペスウイルス感染症の治療に用いられる抗ウイルス薬です。体内でアシクロビルに変換され、ウイルスのDNA複製を阻害することで、ヘルペスウイルスの増殖を抑制します。商品名としては「バルトレックス」がよく知られています。
バラシクロビルの効果と適応疾患
バラシクロビルは、単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペスや性器ヘルペス、帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹の治療に広く用いられます。早期に服用を開始することで、症状の悪化を防ぎ、治癒を促進し、痛みを軽減する効果が期待できます。特に帯状疱疹においては、発症から72時間以内に服用を開始することが、帯状疱疹後神経痛の発症リスクを低減する上で重要とされています[1]。
当院では、ヘルペス症状で受診された患者さまには、症状の出現からどれくらいの時間が経過しているかを詳しく問診するようにしています。特に口唇ヘルペスでは、ピリピリとした違和感が出始めた初期段階でバラシクロビルを服用することで、水ぶくれが大きくなるのを抑え、「症状が軽く済んだ」とおっしゃる方が多く、早期受診の重要性を実感しています。
服用方法と副作用、注意点
バラシクロビルの服用量は、疾患や患者さまの状態によって異なります。例えば、帯状疱疹では、通常、成人で1回1000mgを1日3回、7日間服用します。口唇ヘルペスでは、1回2000mgを1日2回、1日間服用する短期療法も可能です。服用は、医師の指示に厳密に従う必要があります。
主な副作用としては、頭痛、吐き気、腹痛などが報告されています。重篤な副作用は稀ですが、腎機能障害のある患者さまでは、用量調節が必要となる場合があります。また、脱水症状を避けるため、十分な水分補給を心がけることが重要です。
- 早期服用が重要: 症状が出始めたら、できるだけ早く医療機関を受診し、服用を開始することが推奨されます。
- 十分な水分補給: 腎臓への負担を軽減するため、服用中は意識的に水分を摂るようにしましょう。
皮膚科での外用薬と内服薬の併用療法とは?
皮膚科の治療では、外用薬と内服薬を組み合わせて使用する併用療法が頻繁に行われます。これは、疾患の種類や重症度、患者さまの体質に応じて、それぞれの薬剤の利点を最大限に引き出し、より効果的かつ効率的な治療を目指すためです。
併用療法のメリットと具体例
併用療法の主なメリットは、異なる作用機序を持つ薬剤を組み合わせることで、単剤では得られない治療効果が期待できる点にあります。例えば、炎症が強い湿疹やアトピー性皮膚炎の場合、ステロイド外用薬で局所の炎症を抑えつつ、抗ヒスタミン薬の内服でかゆみを軽減したり、免疫調整作用のある内服薬で全身の炎症反応をコントロールしたりします。また、細菌感染を伴う皮膚疾患では、抗生物質の内服で全身の感染を抑えながら、外用薬で局所の細菌を排除するといったアプローチが取られます。
当院の診療では、ニキビ治療において外用薬と内服薬の併用は非常に重要です。例えば、炎症性のニキビには抗菌作用のある外用薬と内服薬を併用し、さらに皮脂分泌を抑える内服薬や、毛穴の詰まりを改善する外用薬を組み合わせることで、より早く、より根本的な改善を目指します。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。
併用療法における注意点
併用療法を行う際には、薬剤間の相互作用や副作用の増強に注意が必要です。例えば、複数のステロイド製剤を併用する場合、全身性の副作用のリスクが高まる可能性があります。また、漢方薬と西洋薬を併用する際も、それぞれの薬剤の作用機序や代謝経路を考慮し、慎重に処方されます。患者さまには、現在服用しているすべての薬剤(市販薬やサプリメントを含む)を医師に正確に伝えることが求められます。
医師は、患者さま一人ひとりの状態を詳細に評価し、最適な併用療法を提案します。疑問点や不安な点があれば、遠慮なく医師や薬剤師に相談し、納得した上で治療を進めることが大切です。
まとめ
皮膚科では、多様な皮膚疾患に対して、外用薬と内服薬を適切に選択し、時には併用することで治療効果の最大化を目指します。ドボベットのような乾癬治療薬、ミヤBMのような腸内環境を整える薬剤、十味敗毒湯や芍薬甘草湯、防風通聖散といった漢方薬、そしてバラシクロビルのような抗ウイルス薬など、それぞれの薬剤には特有の作用と適応があります。患者さまご自身の症状や体質に合わせた最適な治療を受けるためには、医師の正確な診断と指示に従うことが何よりも重要です。薬剤の正しい知識を持ち、疑問点は積極的に医療従事者に相談しながら、治療に取り組んでいきましょう。
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よくある質問(FAQ)
- Alexander K C Leung, Joseph M Lam, Kin F Leong et al.. Onychomycosis: An Updated Review.. Recent patents on inflammation & allergy drug discovery. 2020. PMID: 31738146. DOI: 10.2174/1872213X13666191026090713
- Alexander Kc Leung, Benjamin Barankin, Joseph M Lam et al.. Tinea versicolor: an updated review.. Drugs in context. 2022. PMID: 36452877. DOI: 10.7573/dic.2022-9-2
- Alexander K C Leung, Kam L Hon, Kin F Leong et al.. Tinea Capitis: An Updated Review.. Recent patents on inflammation & allergy drug discovery. 2020. PMID: 31906842. DOI: 10.2174/1872213X14666200106145624
- Rashmi Sarkar, Vidya Yadav, Twinkle Yadav et al.. Glutathione as a skin-lightening agent and in melasma: a systematic review.. International journal of dermatology. 2025. PMID: 39444151. DOI: 10.1111/ijd.17535
- ベタメタゾン(ベタメタゾン)添付文書(JAPIC)
- バラシクロビル(バラシクロビル)添付文書(JAPIC)
- アシクロビル(アシクロビル)添付文書(JAPIC)