
ケナコルト-A注射の基本情報
薬の役割、対象、剤形を先に確認します。
薬液を瘢痕内へ注入する治療で、自己注射する薬ではありません。
隆起や硬さ、痛み、かゆみの軽減を目標にします。
皮膚萎縮、陥凹、毛細血管拡張、色素変化に注意します。

診断と部位・厚さを確認し、他の治療と組み合わせて慎重に行う院内処置です。薬名だけで決めず、症状、部位、治療歴、持病、妊娠・授乳、併用薬を確認して選択します。
一般名:トリアムシノロンアセトニド
| 一般名 | トリアムシノロンアセトニド |
|---|---|
| 剤形 | 水性懸濁注射剤 |
| このページの対象 | ケロイド・肥厚性瘢痕への病変内注射 |
| 治療の目標 | 隆起、硬さ、赤み、疼痛、そう痒の改善と再発抑制 |
ケナコルト-A注射を行うときに考えていること
日々の診療で、処方・治療選択の際に実際に確認していることをお伝えします。

私は、ケロイドや肥厚性瘢痕の隆起、硬さ、赤み、痛み、かゆみが続く場合に、病変の厚さと部位を見ながらケナコルト-Aの病変内注射を検討します。強く効かせることより、正常皮膚へ薬液を漏らさず、皮膚萎縮や陥凹を起こさない範囲で少しずつ反応を見ることを重視しています。
- 治療を考える場面
- 電子添文上の早期ケロイド・ケロイド防止を基本に、瘢痕の隆起、硬さ、痛み、かゆみを診察し、局所注射の利益が見込める場面です。
- 治療前に確認すること
- 診断、感染の有無、瘢痕の厚さと範囲、顔面など皮膚の薄い部位、糖尿病、出血リスク、過去のステロイド治療反応を確認します。
- 治療後に確認すること
- 隆起、硬さ、赤み、痛み、かゆみの変化とともに、皮膚萎縮、陥凹、毛細血管拡張、色素変化がないかを確認します。
- 別の治療を選ぶ場面
- 薄い病変や萎縮リスクが高い部位ではテープ剤、シリコーン、圧迫などを優先します。大きさや再発リスクによって手術等も検討します。
この診療メモは当院での一般的な判断の考え方です。個別の処方は診察所見と患者背景によって異なります。主な確認資料:PMDA ケナコルト-A電子添文
ケナコルト-A注射の使い方
処方時の指示を優先し、自己判断で量・回数・期間を変えないでください。
ケロイドと肥厚性瘢痕、炎症、感染、皮膚腫瘍などを鑑別します。
厚さ、部位、皮膚の余裕、過去の治療反応から注射部位を決めます。
医療機関で病変内に少量ずつ注入します。痛み対策を相談できます。
平坦化と副作用を同時に確認し、追加注射や他治療を判断します。
他の治療との使い分け
同じ症状でも、治療目的・剤形・安全性で選択が変わります。
| 治療 | 役割 | 使い分けの要点 |
|---|---|---|
| ステロイド局注 | 隆起・硬さ・症状を直接抑える | 萎縮・陥凹を避ける投与設計が必要 |
| ステロイドテープ | 自宅で継続しやすい | 部位、かぶれ、密閉による副作用を確認 |
| 手術・放射線等 | 大きさ・部位・再発リスクで検討 | 専門施設との連携を含めて計画 |
副作用・使用前の注意
早めに相談したい変化も含めて確認します。
注射部位の痛み、出血、感染、皮膚萎縮、陥凹、毛細血管拡張、低色素・色素沈着が起こることがあります。
濃度や1回量、注射間隔を自己判断で決める治療ではありません。薄い皮膚や顔面では特に慎重に判断します。
広範囲・高用量・反復では局所作用だけでなくステロイドの全身影響も考慮します。
処方を考える医師向け情報
添付文書とエビデンスを前提に、導入・再評価・中止条件を整理します。
医療従事者向けの専門情報を開く
真性ケロイド、肥厚性瘢痕、皮膚線維腫、隆起性皮膚線維肉腫、感染性肉芽腫などを病歴・診察で鑑別する。
隆起高、硬度、紅斑、疼痛、そう痒、可動域、患者満足度をベースラインとして記録する。
濃度・総量・間隔は病変の厚さと部位で個別化し、真皮外への漏出と正常皮膚への注入を避ける。
テープ・圧迫・シリコーン・凍結療法・レーザー・手術などを再発リスクと症状に応じて組み合わせる。
明らかな萎縮、陥凹、血管拡張、感染、反応不良があれば追加注射を止め、治療戦略を変更する。
系統的レビューでは短期的な瘢痕高や症状改善が示唆される一方、高濃度ほど萎縮・血管拡張リスクが問題となる。
本セクションは医療従事者向けです。適応・用法・禁忌は診察時点の最新電子添文、適正使用情報、施設基準を優先してください。
よくある質問
1回で平らになりますか?
病変の厚さ・部位・期間で異なり、複数回や併用治療が必要なことがあります。
注射は痛いですか?
病変が硬いため痛みを感じることがあります。冷却や麻酔などの対応を診察時に相談できます。
へこんだ皮膚は戻りますか?
程度によって回復に時間がかかり、残ることもあります。皮膚萎縮を感じたら追加注射前に相談してください。
監修医師

池袋サンシャイン通り皮膚科 院長。薬剤名から調べる患者さんが、効能だけでなく、自分の症状に適する条件、使い方、受診すべき変化まで確認できるよう監修しています。診療では皮疹・創面・鼻眼症状の所見、治療歴、持病、妊娠・授乳、併用薬を確認し、薬剤の利益がリスクを上回るかを判断します。
医療従事者向け情報はPMDA電子添文、国内外の診療ガイドライン、主要な比較試験・系統的レビューを照合し、適応、導入前評価、モニタリング、中止・変更条件を分けて記載しています。記事は診療そのものを代替せず、実際の処方は診察時点の最新情報と患者背景に基づきます。
院長紹介を見る最終医学確認日:2026年9月5日
参考文献
- PMDA ケナコルト-A電子添文
- Intralesional triamcinolone for keloids and hypertrophic scars: systematic review and meta-analysis
- BMS ケナコルト-A製品情報
最終医学確認日:2026年9月5日。掲載内容は一般的な医療情報で、個別の診断・処方を代替しません。