池袋サンシャイン通り皮膚科の診療スペース

CHRONIC SPONTANEOUS URTICARIA / MEDICATION GUIDE

ラプシド(レミブルチニブ)とは?
慢性蕁麻疹の効果・副作用・費用

抗ヒスタミン薬を飲んでも、かゆみや膨疹が続くときに。ラプシドは、既存治療で十分に改善しない「特発性の慢性蕁麻疹」に対する、新しい作用機序の飲み薬です。自分に合う治療を考えるために、対象となる患者さん、効果、注意点、費用を整理します。

成人の特発性の慢性蕁麻疹1回1錠・1日2回BTK阻害薬早期の症状改善が報告

情報確認日:2026年10月9日|日本の電子添文・PMDA審査報告・臨床試験を参照

池袋院で取り扱いを予定しています

池袋サンシャイン通り皮膚科では、ラプシドの取り扱いを予定しています。具体的な処方開始時期は、受診前に院へお問い合わせください。2026年6月19日に国内承認され、10月7日の中医協資料では、10月14日の薬価収載予定・1錠929円の算定薬価が公表されています。薬価収載予定日と発売・当院の処方開始日は別です。費用の試算と条件を確認する

01 / 対象

抗ヒスタミン薬で十分に改善しない、特発性の慢性蕁麻疹が対象です

蕁麻疹では、かゆみを伴う皮膚の盛り上がり(膨疹)が現れたり消えたりします。明らかな原因や特定の誘因が分からないまま、6週間以上繰り返すものを、慢性特発性蕁麻疹(CSU)と呼びます。

ラプシドの日本での適応は、既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹です。食物や物理的な刺激などの原因が特定されず、抗ヒスタミン薬の増量等を含む適切な治療を行っても、生活に支障をきたすかゆみと膨疹が続く場合に、追加して使用します。[1][2]

薬を選ぶ前に、蕁麻疹の種類と今の治療を確認します。

刺激で起こる蕁麻疹や、ほかの皮膚疾患では治療の考え方が変わります。処方されている薬の種類・量・飲み方、症状が続く期間、睡眠や仕事への影響を医師と整理します。

診断から治療全体を確認したい方は、慢性蕁麻疹の治療と受診の目安をご覧ください。症状の繰り返し方については、蕁麻疹が繰り返す原因と治療で説明しています。

02 / 仕組み

ヒスタミンなどの放出につながる、細胞内の情報伝達を抑えます

有効成分のレミブルチニブは、BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)というタンパク質の働きを抑える薬です。蕁麻疹の症状につながるヒスタミンなどの放出を抑えることで、かゆみや膨疹の改善を目指します。[3]

抗ヒスタミン薬がヒスタミンの受容体に働くのに対し、ラプシドは細胞内の情報伝達に働きます。作用する場所が異なりますが、新しい薬だから誰にでも適しているというわけではありません。

販売名
ラプシド錠25mg
一般名
レミブルチニブ(remibrutinib)
薬の種類
BTK阻害薬・処方箋医薬品
製造販売会社
ノバルティス ファーマ株式会社

今飲んでいる薬の特徴や飲み方を確認したい方は、抗ヒスタミン薬などの種類・選び方も参考にしてください。

03 / 飲み方

通常、成人は1回25mgを1日2回内服します

日本の承認用量は、通常、成人に1回25mg(1錠)を1日2回です。水またはぬるま湯で、医師の指示どおりに服用します。小児等を対象とした臨床試験は実施されていません。[2][3]

抗ヒスタミン薬などの適切な治療に追加する薬です。症状が軽くなっても、抗ヒスタミン薬やラプシドを自己判断で減らしたり、中止したりしないでください。

注射薬との併用は、自己判断で行わないでください。

日本の電子添文では、蕁麻疹に使う生物製剤との併用は、効果と安全性が確立していないため避けるよう記載されています。ゾレアやデュピクセントを使用中の場合は、切り替えも含めて主治医に相談します。[2]

飲み忘れた場合も2回分を一度に服用しません。次の服用時間が近い場合は1回分をとばすなど、患者向医薬品ガイドと処方時の説明に従ってください。[3]

04 / 効果

臨床試験では、12週時点のかゆみと膨疹が改善しました

第Ⅲ相試験REMIX-1・REMIX-2では、抗ヒスタミン薬で症状が十分に抑えられない成人患者に、ラプシド25mgを1日2回、またはプラセボを追加して比較しました。無作為化された人数は、それぞれ470人・455人です。[4]

表は左右に動かして確認できます

12週時点の症状評価(ラプシド/プラセボ)
評価項目 REMIX-1 REMIX-2
コントロール良好
UAS7が6点以下
49.8%/24.8% 46.8%/19.6%
かゆみ・膨疹のない評価期間
UAS7が0点
31.1%/10.5% 27.9%/6.5%

原著論文の解析に統一した数値です。各群の割合は欠測値の取り扱いを含む解析値であり、実測例だけの割合とは異なります。いずれの比較もp<0.001でした。[4]

「症状がなかった」と「完治」は違います

UAS7は、7日間のかゆみと膨疹を合計する0〜42点の指標です。0点は、治療中の評価期間にかゆみと膨疹がなかったことを示します。薬を中止しても再発しないことや、根治を証明した数値ではありません。血管性浮腫も、この2項目のスコアとは別に評価します。[4][5]

開始後1週間程度から、症状の改善がみられることがあります

比較的早い時期から症状の改善が現れる点が、ラプシドの特徴の一つです。REMIX-1・REMIX-2の追加解析では、投与開始1週から、かゆみと膨疹を評価する症状スコア(UAS7)の改善が報告されています。[11]

ただし、効果が現れる時期や改善の程度には個人差があり、全員が1週間で改善するわけではありません。2週時点の症状コントロールの改善も臨床試験で確認されています。医師と症状記録を確認し、治療を続けるか見直すかを判断します。[4]

52週までの追跡では改善の持続が報告されています。ただし、24週以降はプラセボ群もラプシドに切り替わっているため、52週時点のプラセボとの優劣を示した試験ではありません。[6]

症状の記録や標準治療の考え方は、蕁麻疹診療ガイドライン2026の解説も参考になります。ガイドラインの作成時点と、その後のラプシドの国内承認は分けて考えます。

05 / 費用

算定薬価は1錠929円、2026年10月14日収載予定です

2026年10月7日公表の厚生労働省・中医協資料では、ラプシド錠25mgの算定薬価は1錠929円、薬価基準収載予定日は10月14日です。以下は、その価格で通常用量を服用した場合の試算です。[7]

表は左右に動かして確認できます

ラプシドだけの薬剤費の試算
条件 金額
1錠 929円
1日2錠を30日間服用 55,740円
上記の3割負担 約16,722円

収載予定の算定薬価を使った計算です。診察・検査・処方・調剤等の費用、併用する抗ヒスタミン薬は含みません。30日間服用した場合の計算であり、1回に30日分処方できることを示すものではありません。

実際の保険診療での取扱いは、正式な薬価収載、承認された適応、発売・供給状況を確認して案内します。負担額は自己負担割合、処方日数、ほかの診療内容、制度の適用によって変わります。金額だけでなく、治療内容と通院負担を一緒に確認します。

06 / 注意点

出血、飲み合わせ、手術・予防接種の予定を確認します

日本の電子添文に記載された副作用には、上気道感染、点状出血、紫斑、あざ、鼻出血、歯肉出血などがあります。皮膚の小さな出血斑や、止まりにくい出血など気になる変化があれば、処方元に相談してください。[2]

REMIX試験の併合データでは、点状出血が有害事象としてラプシド群3.8%、プラセボ群0.3%で報告されました。有害事象は薬との因果関係を問わず集計されるため、副作用の頻度と同じではありません。飲み薬であっても、副作用や飲み合わせの確認が必要です。[4]

服用前に医師・薬剤師に伝えること

  • 使用中の薬:血液を固まりにくくする薬、クラリスロマイシンなどの一部の抗菌薬、抗真菌薬、抗てんかん薬などに併用上の注意があります。処方薬、市販薬、サプリメントを含めてお薬手帳等で確認します。
  • 過去の薬のアレルギー:ラプシドの成分で過敏症を起こしたことがある人は使用できません。
  • 手術の予定:出血リスクに応じて、手術前後3〜7日間の休薬を考慮します。休薬するかどうかは医師が判断します。
  • 予防接種の予定:服用中の生ワクチン接種は行いません。不活化ワクチンでも、接種1週間前から2週間後までの休薬を考慮するため、事前に主治医へ相談します。

これらは代表例です。併用注意の薬をすべて挙げたものではありません。自己判断で薬を中断せず、処方医・薬剤師に確認してください。[2]

妊娠・授乳について

妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、治療上の利益が危険性を上回ると医師が判断する場合に限って使用します。妊娠する可能性がある人には、服用中と最終服用後1週間の適切な避妊が必要とされています。母乳への移行は不明で、授乳の継続・中止は治療と母乳栄養の利益を踏まえて検討します。[2][3]

07 / 他の選択肢

ゾレア・デュピクセントとは、作用と投与方法が異なります

抗ヒスタミン薬で十分に改善しない慢性特発性蕁麻疹では、注射薬も治療の選択肢です。ラプシドの主な特徴は、BTKに働く内服薬であることです。

表は左右に動かして確認できます

成人の慢性特発性蕁麻疹での主な違い
薬 主な作用 通常の投与方法 詳しい説明
ラプシド BTKを阻害 25mgを1日2回内服 本記事の飲み方
ゾレア IgEを標的にする抗体 300mgを4週間ごとに皮下注射 ゾレアの適応・注意点
デュピクセント IL-4・IL-13の情報伝達を阻害 初回600mg、その後300mgを2週間ごとに皮下注射 蕁麻疹でのデュピクセント

日本の承認内容に基づく成人の概要です。疾患や年齢によって用法は異なります。デュピクセントのアトピー性皮膚炎の説明と、慢性蕁麻疹の説明は分けて確認します。[2][8][9]

試験結果だけで「注射薬より効く・安全」とは言えません。

REMIX試験の比較相手はプラセボです。ゾレアやデュピクセントとの優劣を証明した結果ではありません。症状、これまでの治療、持病、注意点、費用、服用・通院のしやすさを踏まえて選びます。

注射薬2剤の違いを詳しく確認したい方は、ゾレアとデュピクセントの比較をご覧ください。

08 / 相談

今の症状と薬の効き方を、一緒に整理します

新しい薬を使うかどうかは、薬の名前だけで決めず、蕁麻疹の種類と現在の治療を確認して考えます。診察では、適応、続ける治療、ほかの選択肢、費用と注意点を整理します。

  • 症状が出たときの写真、出る時間帯、消えるまでの時間
  • かゆみや膨疹の頻度、睡眠・仕事・日常生活への影響
  • 今までの薬の名前、量、期間、効き方、副作用
  • 顔や唇の腫れ、持病、妊娠・授乳、手術・予防接種の予定

薬が決まっていなくても、蕁麻疹の治療を相談できます

池袋院ではラプシドの取り扱いを予定しています。処方開始時期は院への問い合わせで、処方の適応は診察で確認してください。現在の治療を続ける場合や、別の治療を検討する場合も、理由と費用を理解して選べるように相談します。

蕁麻疹の診療・受診方法を確認する

息苦しさ、喉や舌の腫れ、意識が遠のくなどの症状がある場合は、通常の予約を待たず、救急要請を含めて速やかに対応してください。

09 / FAQ

ラプシドについて、よくある質問

どの慢性蕁麻疹にも使えますか?

日本の適応は、既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹です。食物や物理的な刺激が原因の蕁麻疹などでは治療を分けるため、まず医師が病型と現在の治療を確認します。

今の抗ヒスタミン薬をやめて、ラプシドだけにできますか?

ラプシドは、適切な抗ヒスタミン薬治療等でも症状が続く場合に追加する薬です。今の薬をやめるかどうかは、症状と治療経過を確認して主治医が判断します。

ラプシドを飲めば、蕁麻疹は完治しますか?

かゆみや膨疹を抑え、症状をコントロールするための薬です。治療中の症状消失と、薬を中止しても再発しない状態は異なります。臨床試験は根治を証明したものではありません。

効果はいつごろから現れますか?

開始後1週間程度から、かゆみや膨疹の改善がみられることがあります。比較的早い症状改善が報告されていますが、効果が現れる時期と程度には個人差があります。症状を記録し、主治医と効果を確認してください。[11]

ゾレアやデュピクセントと一緒に使えますか?

日本の電子添文では、蕁麻疹に使う生物製剤との併用は、効果・安全性が確立していないため避けるとされています。切り替えを希望する場合も、主治医と相談してください。

注射薬を使ったことがないと、ラプシドは使えませんか?

日本の適応条件は、適切な抗ヒスタミン薬治療等で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹であることです。注射薬を先に使うことが、一律の条件として定められているわけではありません。個別の治療方針は診察で確認します。

いつから保険診療で処方されますか?

2026年10月9日時点では、10月14日の薬価収載予定が公表されています。正式な収載、発売・供給状況を確認する必要があります。池袋サンシャイン通り皮膚科では取り扱いを予定しています。具体的な処方開始時期は院へお問い合わせください。

服用中に予防接種を受けてもよいですか?

生ワクチンは服用中に接種しません。不活化ワクチンにも休薬を考慮する注意があるため、種類と日程を主治医に伝えてください。自己判断で服薬を中止しないでください。