デュピクセントの自己注射
保管・打ち忘れ・旅行時の対応
自己注射を始める条件、冷蔵保管、注射前に室温へ戻す時間、打ち忘れ、旅行・持ち運び、注射部位、痛み、使用済み注射器の扱いを受診前に整理します。
デュピクセント自己注射の結論
迷いやすい保管・打ち忘れ・注射前の対応を最初に確認します。
通常は外箱に入れたまま2~8℃で冷蔵し、凍結・振とう・直射日光を避けます。注射前は200mg製剤を30分以上、300mg製剤を45分以上かけて室温へ戻します。予定日に打てなかった場合は2回分を一度に使わず、処方元の医師または薬剤師へ連絡してください。[1–3]
手技・保管・廃棄まで確認し、院内投与とのどちらが続けやすいか決めます。
凍結と光を避け、冷気の吹き出し口付近には置きません。
200mg/300mgで室温に戻す時間が異なります。温めるのは禁止です。
最終投与日と保管状況を確認し、処方元へ連絡します。
追加でもう1本を打たず、使用した製剤・時刻・注射部位・残液や漏れの有無をメモして処方元へ連絡してください。
デュピクセントの自己注射はどう始める?
希望だけで切り替えず、安全に継続できるかを実技と生活環境の両方で確認します。
疾患、年齢、体重、製剤、投与量・間隔、次回予定日を確認します。
準備、注射部位、操作、観察、廃棄まで医師・看護師等と練習します。
手指の操作、視認、注射への不安、家族の支援、冷蔵保管を確認します。
投与日、注射部位、痛み、副作用、在庫を再診時に振り返ります。
診察では「ペンを押せるか」だけでなく、誰が注射するか、冷蔵庫のどこへ置くか、投与日を何で記録するか、困ったとき誰へ連絡するかまで具体化します。自己注射のつまずきは操作だけでなく、保管場所や予定日の記憶が曖昧なことから生じるため、スマートフォンと紙のカレンダーなど複数の方法で記録するよう提案しています。多施設研究でも、複数のスケジュール管理方法を使う人で良好な遵守がみられました。[5]
デュピクセントはどう保管する?冷蔵・室温の判断
温度だけでなく、外箱・光・凍結・取り出した日時をセットで管理します。[1–3]
外箱に入れたまま、凍結を避けて冷蔵庫の2~8℃で保管します。
冷気の吹き出し口、冷凍室、直射日光、高温になる車内などは避けます。
取り出した日時を記録し、外箱の状態とおおよその室温を確認します。

表は左右に動かして確認できます →
| 状況 | 確認する条件 | 患者さんの対応 |
|---|---|---|
| 通常の在庫 | 外箱内、2~8℃、凍結なし | 冷蔵保管を続け、使用期限と本数を確認します。 |
| 注射前に取り出す | 200mgは30分以上、300mgは45分以上 | 平らな場所で自然に室温へ戻し、振らず、温めません。 |
| 室温に出して使い忘れた | 外箱内・遮光・25℃以下・14日以内 | 製剤自体が使用可能な条件かを確認できますが、投与日は自己判断で変えず処方元へ連絡します。 |
| 25℃超・凍結・温度不明 | 品質を保証できない可能性 | 使用せず、廃棄も自己判断せず、薬剤師または処方元へ確認します。 |
14日は保管条件に関する目安です。打ち忘れ後の投与日や次回日程は、2週間隔・4週間隔など個別の処方により異なるため、処方元の指示を受けてください。
自己注射の前に何を確認する?
毎回同じ順序で確認すると、製剤・予定日・保管状態の取り違えを減らせます。[2,3]
200mgか300mgか、ペンかシリンジか、処方指示と一致しているか確認します。
200mgは30分以上、300mgは45分以上。電子レンジ・湯・直射日光では温めません。
濁り、明らかな変色、微粒子、損傷があれば使用しません。
必要物品を並べ、キャップは使用直前まで外しません。
傷、打撲、強い炎症、前回と同じ場所を避けます。
注射後すぐ安全に廃棄し、日付・部位・気づいた症状を記録できるようにします。
このページは実技指導の代わりではありません。製剤ごとの操作は、処方時に渡された最新のガイドと医療機関の指示に従ってください。
ペンとシリンジの違い、注射部位は?
効果を自己判断で比べるのではなく、操作性・皮下組織・痛み・年齢を含めて製剤を選びます。[5,7,8]


製剤写真:サノフィ公式製品写真。200mgにも両形状があります。処方される規格・形状は診察で確認します。
表は左右に動かして確認できます →
| 確認項目 | ペン | シリンジ |
|---|---|---|
| 操作 | 押し当てて作動するため、操作しやすいと感じる方がいます。 | 針と注入速度を自分で操作するため、十分な練習が必要です。 |
| 痛みの感じ方 | 多施設研究では操作性・満足度が高い一方、痛みを強く感じる回答もありました。 | 注入速度を調整しやすい点を好む方もいます。 |
| 小児・皮下組織 | 皮膚・皮下組織が薄い患者では用いない場合があります。 | 皮下組織が薄い患者に選択されます。製剤は医師が判断します。 |
腹部、大腿部、上腕部です。腹部はへその周囲5cmを避けます。同じ場所へ繰り返さず、左右・部位を記録して交代します。
- 傷・打撲・強い炎症がある
- 皮膚が敏感、硬い、赤みが強い
- 前回と同じ一点
- ご自身で行う場合の上腕部
デュピクセントを打ち忘れたらどうする?
2回分を一度に使用せず、情報を整理して処方元へ連絡するのが結論です。[2]
埋め合わせのために2回分を使いません。
最終投与日、本来の予定日、気づいた日時を確認します。
冷蔵庫から出した日時、温度、外箱・遮光、凍結の有無を確認します。
使用するか、次回日をどうするか指示を受けます。
日々の診療では、①最後に確実に打った日、②今回の予定日、③薬を冷蔵庫から出した日時と保管温度、④すでに注射した可能性があるか、を順番に確認します。「たぶん打っていない」だけで判断すると重複投与につながるため、治療日誌・カレンダー・在庫本数を一緒に照合します。
ペンの確認窓、使用済み容器、在庫、治療日誌を確認し、その結果を処方元へ伝えてください。注射が途中で止まった、薬液が漏れた場合も同様です。
旅行・出張でデュピクセントを持ち運ぶには?
投与日を自己調整せず、移動中・滞在先・帰宅後まで温度履歴を計画します。
- 旅行中に投与日が来るか
- 移動時間と25℃を超える可能性
- 滞在先で2~8℃の冷蔵保管ができるか
- 使用済み注射器をどう持ち帰るか
- 航空会社・保安検査・渡航先の規則
- 元の外箱に入れて遮光する
- 凍結・直射日光・高温を避ける
- 冷却材へ直接触れさせない
- 処方内容やお薬手帳を携帯する
- 取り出した日時を記録する

冷却材との接触で凍結する場合や、長時間の移動で温度が上がる場合があります。旅行日程が決まった時点で、製剤・本数・投与予定日を処方元へ相談してください。
子どもの自己注射は誰が行う?
年齢、体重、皮下組織、理解度、保護者の手技を確認します。[3]
患者向けガイドでは、保護者が投与するよう案内されています。
本人が投与する場合も、大人の監視のもとで行います。
例えば2歳未満ではペンを用いず、シリンジを用いるよう案内されています。
診察では、子どもが怖がったときの対応、投与中に体を動かした場合、兄弟の手が届かない保管場所、保護者が不在の日の予定まで確認します。手技に不安が残る場合は、院内投与を続けながら再練習する選択肢があります。
注射後・操作中に医療機関へ連絡する目安
自己判断で追加投与や次回までの放置をせず、状況を記録して連絡します。
注射が途中で止まった、薬液が多く漏れた、確認窓が想定と違う、打ったか不明、温度逸脱・凍結の可能性がある場合。
痛みや腫れが強い、長く続く、熱感や膿など感染を疑う変化がある場合。
息苦しさ、ふらつき、唇や喉の腫れ、全身のじんましんなど重い過敏症を疑う場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。[2]
強い目の痛み、まぶしさ、見え方の変化は早めの評価が必要です。
緊急性の高い症状では、通常の予約を待たず、救急要請を含めた適切な医療機関へ相談してください。
自己注射の相談・他院継続で持参するもの
用量・最終投与日・在庫・保管状況が分かると、安全な継続計画を立てやすくなります。
デュピクセントの用量、製剤、投与間隔、他の治療薬を確認します。
治療日誌、スマートフォン、カレンダーなど記録をお持ちください。
外箱の写真でも構いません。保管を外れた製剤はその経緯も伝えてください。
痛み、操作、旅行、廃棄、家族の支援、通院頻度を具体的に確認します。
予約はデュピクセントの処方、自己注射への移行、複数月処方を保証するものではありません。診察後に治療方針を判断します。
監修医師
吉井 恭平
池袋サンシャイン通り皮膚科 院長。日々の診察では、自己注射の手技だけでなく、最終投与日、冷蔵庫での保管、注射部位、痛み、在庫、仕事・学校・旅行との両立を同じ項目で確認し、家庭で続けられる方法を一緒に整えます。
最終医学レビュー:2026年8月27日
デュピクセント自己注射のよくある質問
保管・打ち忘れ・旅行・小児について、受診前によくある疑問へ回答します。
デュピクセントは最初から自宅で自己注射できますか?
自己注射を始める前に、医師・薬剤師・看護師から説明と実技指導を受け、正しく投与できることを確認する必要があります。自己注射が難しい場合は院内投与を継続する選択肢もあります。
デュピクセントは冷蔵庫のどこに保管しますか?
外箱に入れたまま、凍結を避けて2~8℃で保管します。冷気の吹き出し口付近など凍結しやすい場所は避け、子どもの手が届かないようにしてください。
注射前に冷蔵庫から何分前に出しますか?
PMDAの患者向医薬品ガイドでは、200mg製剤は30分以上、300mg製剤は45分以上かけて室温に戻すよう案内されています。電子レンジやお湯などで温めないでください。
予定日に打ち忘れたらどうすればよいですか?
2回分を一度に使用せず、最終投与日・本来の予定日・製剤の保管状況を確認したうえで、処方元の医師または薬剤師へ連絡して指示を受けてください。
室温に出したデュピクセントは何日使えますか?
外箱に入れたまま遮光され、25℃以下で保管されていた場合は14日以内に使用できると案内されています。ただし投与予定の変更は自己判断せず、いつ冷蔵庫から出したかを処方元へ伝えて確認してください。
室温に出した後、冷蔵庫へ戻してよいですか?
温度履歴が分からなくなるため、自己判断で戻して使用せず、取り出した日時・おおよその室温・外箱の状態を処方元や薬剤師へ伝えて確認してください。
デュピクセントのペンとシリンジはどちらがよいですか?
ペンは操作しやすいと感じる方がいる一方、シリンジは注入速度を調整しやすいと感じる方もいます。年齢、皮下組織の厚さ、手指の操作性、痛みへの不安を確認して選びます。
どこに注射しますか?
腹部、大腿部または上腕部へ皮下注射します。腹部ではへその周囲5cmを避け、傷・強い炎症・打撲がある部位や前回と同じ場所への反復は避けます。上腕部はご自身で注射する部位としては避けます。
注射の痛みを減らす方法はありますか?
指定時間をかけて室温に戻し、毎回注射部位を変え、力が入りすぎない姿勢を整えることが基本です。痛みが強い・長く続く場合は、製剤や手技を含めて診察時に確認します。
旅行へ持って行けますか?
旅行期間、投与予定日、移動中と滞在先の保管環境を事前に処方元へ伝えて計画します。外箱のまま遮光し、凍結や高温を避け、航空会社・保安検査・渡航先の規則は出発前に確認してください。
子どもも自分で注射できますか?
12歳未満では保護者が投与し、12歳以上の子どもが投与する場合は大人の監視下で行うよう患者向けガイドで案内されています。年齢だけでなく、理解度と安全な手技を確認します。
使用済みのペンやシリンジは家庭ごみに出せますか?
使用済み注射器とキャップは、医療機関から案内された専用容器・方法で廃棄します。自治体の一般ごみへ自己判断で出さず、受け取った医療機関や薬局へ確認してください。
参考文献・公的資料
PMDAの2026年3月改訂電子添文・患者向医薬品ガイド・自己注射資材、製造販売元の患者向け情報、PubMed掲載の多施設研究・比較試験・系統的レビュー・診療ガイドラインを確認しています。
- PMDA・電子添文:デュピクセント皮下注 添付文書(2026年3月改訂)
- PMDA・患者向医薬品ガイド:デュピクセント皮下注 患者向医薬品ガイド
- PMDA・患者向けRMP資材:デュピクセント 自己注射のためのガイドブック
- 製造販売元・患者向け情報:サノフィ:デュピクセントの自己注射
- PubMed・多施設質問票研究:Hosoya K, et al. Barrier Factors of Adherence to Dupilumab Self-Injection. Patient Prefer Adherence. 2023.
- PubMed・実臨床研究:Ito M, et al. Introduction of self-injection increases compliance with dupilumab administration. JAAD Int. 2020.
- PubMed・薬物動態比較試験:Cohen YZ, et al. Pharmacokinetics of dupilumab injection with an autoinjector or prefilled syringe. Clin Pharmacol Drug Dev. 2022.
- PubMed・患者選好研究:Hanada S, et al. Significance of self-injectable biologics in Japanese patients. Patient Prefer Adherence. 2023.
- PubMed・文献レビュー:Rossi M, et al. Drug survival, retention, and persistence of dupilumab. Adv Ther. 2025.
- PubMed・国内診療ガイドライン:Saeki H, et al. Clinical practice guidelines for the management of atopic dermatitis 2024. J Dermatol. 2025.
- PubMed・系統的レビュー:Agache I, et al. Efficacy and safety of dupilumab for moderate-to-severe atopic dermatitis. Allergy. 2021.
本ページは一般的な医療情報であり、処方時の実技指導や個別の投与指示に代わるものではありません。製剤・用量・投与日・保管逸脱時の対応は、処方元の医師・薬剤師へ確認してください。