
ステロイド外用薬は皮疹と部位で選びます
薬名だけで強弱を判断せず、診断、炎症の強さ、皮膚の厚さ、塗る面積、期間を合わせて決めます。
同じ湿疹でも、赤み、腫れ、苔癬化、びらん、掻破の程度で必要な強さが変わります。
皮疹を確認約0.5gで成人の手のひら約2枚分が目安です。薄く伸ばし過ぎると効きにくくなります。
量を確認強い薬を漫然と続けず、再診で減量、間欠使用、保湿・非ステロイド外用への移行を判断します。
出口を確認強さ・役割から薬を確認する
ステロイドの強さと配合成分を分け、皮疹と塗る部位に合わせて確認します。
ストロンゲスト・ベリーストロング
強い炎症に使う薬です。部位、期間、改善後の見直しを確認します。
クロベタゾールプロピオン酸エステル。厚みや炎症が強い湿疹、乾癬、痒疹などで、部位と期間を限定して検討する外用薬です。
詳しく見るベリーストロングフルメタ(モメタゾン)モメタゾンフランカルボン酸エステル。強い赤み、腫れ、苔癬化を伴う湿疹・皮膚炎や乾癬などで検討されます。
詳しく見るベリーストロングアンテベート(ベタメタゾン)ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル。炎症や厚みが強い湿疹・皮膚炎、乾癬などで短期間検討される外用薬です。
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体幹・四肢などの炎症に使う代表薬を確認します。
アムシノニド。炎症が強い湿疹・皮膚炎、乾癬などで、部位を選んで使うステロイド外用薬です。
詳しく見るストロングボアラ(デキサメタゾン吉草酸)デキサメタゾン吉草酸エステル。中等度以上の赤み、かゆみ、掻破を伴う湿疹・皮膚炎などで使います。
詳しく見るストロングリンデロンV(ベタメタゾン吉草酸)ベタメタゾン吉草酸エステル。湿疹・皮膚炎や乾癬など、中等度以上の炎症を短期間で抑える目的で使います。
詳しく見るミディアムリドメックス(PVA)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル。軽症から中等症の湿疹・皮膚炎で、部位と年齢を見ながら使います。
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顔・首や小児を含め、部位と期間に配慮して使う薬です。
抗菌薬などを含む配合外用薬
感染所見と配合成分を確認し、単剤のステロイドと分けて使います。
ベタメタゾン吉草酸エステル/ゲンタマイシン硫酸塩。細菌感染を伴う可能性がある湿疹・皮膚炎で、感染徴候と適応を確認して短期間使う配合外用薬です。
詳しく見る抗菌薬配合テラ・コートリル(抗菌薬配合)オキシテトラサイクリン塩酸塩/ヒドロコルチゾン。掻き壊しなどで細菌感染を伴う可能性がある湿疹に、適応を確認して短期間使う配合外用薬です。
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日本皮膚科学会ガイドラインは、皮疹の重症度に見合うランクを必要な量・期間で使うことを重視しています。
| 皮疹・場面 | 選択の目安 | 診察で確認すること |
|---|---|---|
| 高度の腫脹・苔癬化・びらん・多数の掻破 | ベリーストロングを第一選択とし、不十分なら限定部位でストロンゲストを検討 | 面積、感染、塗布量、再診日、ステップダウン先 |
| 中等度の紅斑・鱗屑・丘疹・掻破 | ストロングないしミディアム | 体幹・四肢・顔など部位別の吸収差 |
| 乾燥と軽い紅斑・鱗屑 | ミディアム以下 | 保湿剤の量、接触皮膚炎、刺激因子 |
| 乾燥のみで炎症が乏しい | ステロイドを含まない外用薬 | 保湿、バリアケア、再燃時の対応 |
| 膿・黄色い痂皮・滲出 | 配合剤を自動的に選ばず、感染症を鑑別 | 細菌・真菌・ウイルス、培養や内服の必要性 |
海外では分類段階が異なるため、英語論文のpotency分類を国内5段階へそのまま置き換えないよう注意します。
塗る量と部位をそろえる
薬が効かない原因には、ランク不足だけでなく塗布量不足があります。部位ごとの吸収差も同時に確認します。
診断した皮疹の範囲だけに使い、以前の残薬を別部位へ転用しません。
成人の人差し指の先から第1関節まで、約0.5gが手のひら約2枚分です。
急性期と改善後で回数が変わります。製品の電子添文と処方指示に従います。
赤み・かゆみ・厚みが落ち着いたら、回数やランク、維持薬を調整します。
ガイドラインでは前腕伸側を1とした場合、頬13、頭部3.5、頸部6、陰囊42とされます。顔、首、陰部、間擦部は局所副作用に特に注意し、長期連用を避けます。
小児は体重に対する体表面積が大きく、皮膚からの曝露が相対的に増えます。年齢だけで一律に弱めるのではなく、必要な強さを短期間使い、早めに反応を確認します。
軟膏・クリーム・ローションを使い分ける
同じ成分でも剤形が変わると、塗りやすさ、刺激、適する部位が変わります。
刺激が比較的少なく、乾燥を基盤とする湿疹で基本になります。べたつきが継続の妨げになる場合は調整します。
乾燥病変夏季や露出部で使いやすい一方、びらんや亀裂では刺激を感じることがあります。
使用感を確認髪のある部位へ届きやすい剤形です。液だれや刺激、塗布範囲を確認します。
頭皮・有毛部副作用と効かないときの見直し
短期・適正使用では有用性が高い一方、部位、量、期間、感染症を確認せず続けると問題が生じます。
皮膚萎縮、毛細血管拡張、ステロイドざ瘡、酒さ様皮膚炎、口囲皮膚炎、多毛、色素変化、感染のマスクに注意します。眼周囲の長期・大量使用では眼圧や白内障も確認します。
輪状に広がる、片側性の水疱、膿や痛み、急速な悪化、塗ると一時的に消えて再発する場合は、白癬、ヘルペス、細菌感染、接触皮膚炎などを再評価します。
- 強い薬を大量・長期・広範囲・密封で使うほど、局所および全身性副作用のリスクが上がります。
- 中止後に強い紅斑、灼熱感、丘疹・膿疱が出る場合は、自己判断で再開と中止を繰り返さず皮膚科へ相談してください。
- 妊娠・授乳、乳幼児、眼周囲、既往の緑内障、免疫抑制治療中では、塗布面積と期間を個別に確認します。
FOR PRESCRIBERS / MEDICAL PROFESSIONALS
処方医向け:ステロイド外用薬5ランク・部位・FTU・減量設計
国内5段階ランク、皮疹重症度、顔・眼周囲・陰部・小児の部位別処方、FTU、塗布回数、寛解導入、ランクダウン、プロアクティブ療法、安全性を体系化します。
ランクは疾患名や年齢だけで決めず、個々の皮疹の重症度・部位・面積から選びます。十分量で速やかに炎症を抑え、改善後の出口まで初回処方時に設計します。
1. ランク選択前の評価
薬剤の強さを上げる前に、診断・感染・皮疹重症度・曝露量を固定します。
診断・感染
湿疹・皮膚炎の診断を確認し、白癬、疥癬、膿痂疹、単純ヘルペス、接触皮膚炎、酒さ、乾癬を鑑別します。
皮疹の重症度
紅斑、浸潤、丘疹、苔癬化、びらん、掻破、痒疹結節を部位ごとに評価し、疾患名だけでランクを固定しません。
曝露量
年齢、体格、BSA、皮膚バリア、塗布部位、剤形、FTU、1日回数、期間、密封・おむつ、残薬を確認します。
2. 皮疹重症度と国内5ランク
日本皮膚科学会ガイドラインの分類です。海外論文のpotency分類とは段階が一致しません。
| 皮疹・ランク | 代表的な選択 | 処方の要点 |
|---|---|---|
| 重症 | ベリーストロングを第一選択。効果不十分なら限定部位でストロンゲストを検討 | 高度の腫脹・浸潤、苔癬化、びらん、多数の掻破、痒疹結節。面積と再診日を明記 |
| 中等症 | ストロングまたはミディアム | 中等度までの紅斑・鱗屑、少数の丘疹、掻破。部位による吸収差を反映 |
| 軽症 | ミディアム以下 | 乾燥と軽度の紅斑・鱗屑。保湿と再燃時対応も設計 |
| 軽微 | ステロイドを含まない外用薬 | 炎症所見に乏しく乾燥主体。保湿・バリアケアを中心にする |
| 国内5ランク | Iストロンゲスト、IIベリーストロング、IIIストロング、IVミディアム、Vウィーク | 一般名・濃度・剤形を照合し、商品名だけで強さを判断しない |
3. 顔・眼周囲・陰部・小児の処方
| 部位・背景 | 選択・注意 | フォロー |
|---|---|---|
| 顔面・頬 | 原則ミディアム以下。重症時は病勢に応じ必要なランクで速やかに寛解導入 | 短期間で紅斑・丘疹・毛細血管・眼症状を再評価し、減量・非ステロイド薬へ移行 |
| 眼周囲 | 眼圧亢進、緑内障、白内障を考慮。眼内へ入れず、眼科用に使用しない | 眼痛・かすみ・視力変化、既往があれば眼科連携 |
| 頸部・間擦部・陰部 | 吸収が高く皮膚線条・萎縮を来しやすい。ランク・量・期間を限定 | 蒸れ・摩擦・真菌感染を同時評価 |
| 頭皮・手掌足底 | 皮膚の厚さ、有毛部、鱗屑に合わせてランクとローション等の剤形を選択 | 塗布到達、使用感、亀裂・二次感染を確認 |
| 乳幼児・小児 | 年齢だけで機械的にランクを下げず、必要な強さを短期間使用。BSA比とおむつの密封効果に注意 | 発育、広範囲・長期使用、処方量、保護者の塗布手技を早期確認 |
4. 年齢・部位別FTUと処方総量
1 FTUは約0.5gで成人手掌約2枚分です。以下は軟膏量の目安であり、基剤・皮膚状態・体格で調整します。
| 年齢 | 顔・頸部 | 片側上肢 | 片側下肢 | 体幹前面 | 体幹背面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3〜6カ月 | 1 FTU(0.5g) | 1(0.5g) | 1.5(0.75g) | 1(0.5g) | 1.5(0.75g) |
| 1〜2歳 | 1.5(0.75g) | 1.5(0.75g) | 2(1g) | 2(1g) | 3(1.5g) |
| 3〜5歳 | 1.5(0.75g) | 2(1g) | 3(1.5g) | 3(1.5g) | 3.5(1.75g) |
| 6〜10歳 | 2(1g) | 2.5(1.25g) | 4.5(2.25g) | 3.5(1.75g) | 5(2.5g) |
| 成人 | 2.5(1.25g) | 腕3+手1=4(2g) | 大腿6+足2=8(4g) | 7(3.5g) | 7(3.5g) |
5. 寛解導入・塗布回数・ランクダウン
| 段階 | ガイドライン上の考え方 | 実務 |
|---|---|---|
| 急性増悪 | 原則1日2回で早期に炎症を軽快させる | 製品の承認用法を確認し、FTUと部位別量を指示 |
| 改善期 | 炎症が落ち着けば1日1回を目指す | 紅斑・そう痒だけでなく触診上の浸潤・隆起も確認 |
| 寛解後 | 回数減、ランクダウン、間欠使用、非ステロイド薬・保湿へ移行 | 短期・限局使用まで一律に漸減必須とはせず、病勢と曝露量で個別化 |
| プロアクティブ | ADの頻回再燃部位へステロイドまたはタクロリムスを週2回程度間欠塗布 | 十分な寛解後、医師管理下で部位・期間を決定。非塗布日も保湿 |
| 高曝露・HPA抑制懸念 | 長期・大量・広範囲・ODTでは急な中止に注意 | 全身性影響が疑われる場合は状態を観察しながら徐々に減量 |
6. 局所・眼・全身性副作用
副作用リスクはランクだけでなく、塗布部位、累積量、期間、年齢、密封で変わります。
| 領域 | 確認項目 | 処方判断 |
|---|---|---|
| 感染・別診断 | 膿・痂皮・疼痛・水疱・輪状拡大・片側性・家族内発症 | 細菌・真菌・ウイルス・疥癬を治療し、単純なランクアップを避ける |
| 局所副作用 | 皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑、ざ瘡、酒さ様・口囲皮膚炎、多毛、色素変化、接触皮膚炎 | 部位・量・期間・ランクを見直し、必要に応じ非ステロイド薬へ変更 |
| 眼 | 眼瞼使用、眼痛、かすみ、虹視、既往の緑内障・白内障 | 眼圧亢進・緑内障・白内障を疑えば眼科評価。眼科用として使用しない |
| 全身曝露 | 高ランク、広範囲、長期、大量、ODT、バリア破綻、乳幼児・高齢者 | HPA系抑制、発育、クッシング様所見等をリスクに応じて評価 |
7. 効かない・悪化する場合の再評価
量と遵守
FTU、処方本数、塗布範囲、回数、steroid phobia、基剤の使用感を確認し、過少塗布を除外します。
感染・別診断
白癬、疥癬、単純ヘルペス、膿痂疹、接触皮膚炎、酒さ、乾癬を再評価し、必要に応じKOH・培養・パッチテストを検討します。
治療強化
適切なランク・十分量で改善しない広範囲例では、非ステロイド外用薬、光線・全身治療、皮膚科専門医への紹介を検討します。
8. ランク別の代表薬
9. 診療録に残す項目
- 診断と鑑別、皮疹の重症度、部位、BSA、感染徴候、必要に応じKOH・培養・写真
- 一般名、製品名、濃度、剤形、国内ランク、塗布部位、FTU、1日回数、予定期間、処方総量
- 顔・眼周囲・頸部・陰部・間擦部、小児、高齢者、妊娠、広範囲、密封・おむつなどのリスク
- 局所副作用、眼症状、全身性副作用を疑う所見と、早期受診・中止・再評価の条件
- 再診日、寛解導入の目標、回数減・ランクダウン・非ステロイド外用薬・プロアクティブ療法への出口
一次資料・診療ガイドライン
本節は医療従事者の情報確認を目的とした一般的な整理です。実際の処方は診察時点の最新電子添文、診療ガイドライン、病変の重症度・部位・面積・年齢・基礎疾患に基づいて判断してください。国内5段階ランク、海外potency分類、製品ごとの承認用法は同一ではありません。
よくある質問
ステロイド外用薬は強いほどよく効きますか?
強い薬ほど適しているわけではありません。皮疹の重症度、塗る部位、年齢、面積に合うランクを選び、改善後は減量や切り替えを行います。
顔にはどの強さを使いますか?
顔は薬の吸収が高く、副作用が出やすい部位です。原則としてミディアム以下を短期間使い、重症時は皮膚科でランクと期間を細かく調整します。
FTUとは何ですか?
finger-tip unitの略で、口径5mmのチューブから成人の人差し指の先端から第1関節まで出した量、約0.5gを指します。成人の手のひら約2枚分に塗る目安です。
良くなったら急に中止してよいですか?
皮疹の経過によっては、回数を減らす、下位ランクへ替える、週2回程度の間欠使用へ移るなどの方法があります。処方時の終了条件を確認してください。
ステロイドを塗って悪化したらどうしますか?
白癬、カンジダ、ヘルペス、細菌感染、接触皮膚炎などでは悪化することがあります。塗る量を増やさず、早めに皮膚科で診断を確認してください。
市販のステロイド外用薬と処方薬は同じですか?
成分、強さ、濃度、抗菌薬などの配合成分が異なります。市販薬を使う場合も、顔・陰部・小児・広範囲・長引く皮疹では医師または薬剤師へ相談し、製品の説明書に沿って使用してください。
池袋で使用中のステロイドを見直せますか?
お薬手帳やチューブ、薬袋、塗っている部位の経過が分かる写真をご持参ください。成分、ランク、塗布量、期間を確認して処方を調整します。
かゆみ止め成分を含むステロイド配合薬
製品名ではなく、配合成分・ステロイド強度・感染の有無で使い分けます。
追加した薬を強さ5段階で比較
強さは成分ごとの目安です。同じランクでも部位・剤形・感染の有無により処方は変わります。
監修医師

ステロイド外用薬は、薬の名前だけでなく、皮疹の重症度、部位、面積、年齢、感染徴候、剤形、これまでの反応を合わせて選びます。必要な強さを必要な量・期間で使い、落ち着いた後の減らし方や維持療法まで初回から共有することが、効果と安全性の両方につながります。
本記事では、日本皮膚科学会の診療ガイドライン、各製品の電子添文、国内外のガイドラインと系統的レビューを照合しています。見た目が似る白癬、ヘルペス、接触皮膚炎などでは治療が変わるため、自己判断で残薬を使わず、改善しない場合は診断から見直してください。
参考文献
- 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024
- AAD Guidelines of care for adult atopic dermatitis with topical therapies
- Cochrane 2024: Topical anti-inflammatory treatments for eczema
- Proactive treatment systematic review and meta-analysis
- The finger-tip unit: a practical measure
- Strategies for using topical corticosteroids in children and adults with eczema
- PMDA 医療用医薬品情報検索
掲載内容は一般的な医療情報です。個別の診断、処方、開始・中止は診察で判断します。