モイゼルト軟膏の位置づけ
ステロイド外用薬ではなく、PDE4阻害により炎症性サイトカイン産生に関わる経路を抑える薬です。皮疹の強さ、部位、既存治療への反応を見て選択します。

診察で確認するポイント
顔、首、体幹、四肢など部位ごとの皮疹の強さ、感染やびらんの有無、過去の外用薬での刺激感、保湿の状況を確認します。
使い方と治療の組み立て
塗る回数や範囲は処方時に確認します。保湿剤、ステロイド外用薬、タクロリムス外用薬などと同じ目的で重ねるのではなく、役割を分けて使います。
乾燥だけの部位には保湿剤を中心にし、赤みやかゆみがある部位の治療薬として考えます。
皮膚バリアを整えるため、保湿剤の継続と外用薬の使い分けを一緒に設計します。
改善が乏しい場合は、診断、塗布量、感染合併、別治療への切り替えを確認します。
副作用・注意点
刺激感、毛包炎、接触皮膚炎様の反応などに注意します。感染が疑われる部位では先に感染の評価が必要です。
塗った部位のひりつき、赤みの悪化、ぶつぶつ、じゅくじゅくが出る場合は使用状況を確認します。自己判断で広範囲に増やさないでください。
強い腫れ、膿、発熱、痛みの増悪、ヘルペスのような水ぶくれがある場合は早めに受診してください。
PATIENT GUIDE
本文に出てくる医療用語
このページで使う専門用語を、患者さん向けに短く言い換えました。
- PDE4
- 炎症反応に関わる酵素です。
処方・鑑別・安全管理を確認するための情報です。患者さんは上部の患者向け説明をご覧いただき、薬の開始・変更・中止は自己判断せず診察時にご相談ください。
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処方医向け:モイゼルトの年齢別濃度・塗布量・妊娠時の注意
ジファミラスト軟膏1%・0.3%について、生後3カ月以上の濃度選択、皮疹0.1m²あたり1g、4週判定、色素沈着、感染、生殖・妊娠時の注意を整理します。
成人は1%、小児は0.3%が基本で、症状により小児でも1%を使用できます。低出生体重児・新生児・生後3カ月未満では臨床試験がありません。
最初の要点を開いています。見出しから「適応」「処方設計」「安全性」「再評価」「一次資料」を必要な順に確認できます。
適応判定1. 適応・年齢・病変面積の確認
ADの診断、炎症範囲、月齢・体格、感染と妊娠可能性を処方前に確認します。
診断と鑑別
ADの診断、接触皮膚炎、疥癬、白癬、脂漏性皮膚炎、乾癬、薬疹を確認し、感染性病変を先に見分けます。
重症度
IGA、EASI、BSA、顔面・頸部・間擦部・手などの難治部位、そう痒NRS、睡眠、POEM/DLQIをベースライン化します。
外用治療歴
薬剤名・濃度・基剤、塗布部位、1回量、回数、期間、残薬、刺激感、ステロイド不安と塗布手技を確認します。
用量2. 0.3%/1%の選択と面積換算
| 対象・場面 | 製剤・用法 | 塗布量 | 再評価 |
|---|---|---|---|
| 成人 | 1%を1日2回 | 皮疹0.1m²あたり1gを目安 | 1%で4週以内に改善がなければ中止 |
| 小児 | 0.3%を1日2回。症状により1%を1日2回可 | 皮疹0.1m²あたり1gを目安 | 1%で改善後は0.3%への変更を検討 |
| 3カ月〜1歳 | 小児用法の対象。0.3%が基本 | 面積と処方量を具体的に計算 | 早期に皮膚反応・感染・使用量を確認 |
| 改善後 | 継続の必要性を再評価 | 使用部位とチューブ消費量を記録 | 漫然と長期使用しない |
処方前3. 処方前チェック
| 領域 | 確認 | 判断・説明 |
|---|---|---|
| 感染 | 膿痂疹、毛包炎、ヘルペス、白癬 | 感染部位を避ける。不可避なら適切な抗菌・抗ウイルス・抗真菌治療を先行または併用 |
| 皮膚バリア | 粘膜、潰瘍、明らかに局面を形成するびらん | これらへの塗布を避ける。眼に入れば直ちに水洗 |
| 妊娠可能性 | 妊娠・妊娠可能性、妊娠希望、避妊状況 | 投与中と終了後一定期間の適切な避妊を指導。妊婦・妊娠可能性がある女性には投与しないことが望ましい |
| 授乳・生殖 | 授乳、治療必要性、生殖に関する懸念 | 授乳は治療と母乳栄養の利益を比較。動物試験情報を添文に沿って説明 |
経過観察4. 4週判定と局所有害事象
| 時期 | 評価 | 対応 |
|---|---|---|
| 早期 | 刺激感、紅斑、そう痒、腫脹、接触皮膚炎、塗布量 | 局所反応・原疾患増悪・感染を鑑別 |
| 感染・皮膚所見 | 毛包炎、膿痂疹、ざ瘡、適用部位色素沈着障害 | 発現部位と時期を記録し、継続可否と感染治療を判断 |
| 4週 | IGA/EASI/BSA、そう痒、使用量、アドヒアランス | 1%で改善がなければ中止。診断・感染・量・手技を再評価 |
| 改善後 | 残存炎症、濃度、使用範囲、妊娠計画 | 小児1%は0.3%への変更を検討し、漫然長期使用を避ける |
実務5. PDE4阻害外用薬としての処方実務
面積換算
皮疹0.1m²あたり1gを起点に、1回量、1日量、次回診察までの必要本数を処方時に計算します。
同一部位の併用
ステロイド、タクロリムス、デルゴシチニブとの同一部位併用は臨床上の有害事象増加懸念がなくてもデータが十分でないため慎重に判断します。
密封・びらん
明らかなびらん面、密封療法、亜鉛華軟膏を伸ばしたリント布貼付など、吸収を増やす使い方を避けます。
中止・切替6. 中止・切替を考える状況
- 1%で4週以内に症状改善が認められない
- 感染、接触皮膚炎、強い刺激、色素変化などが臨床的に問題になる
- 妊娠が判明した、または妊娠希望により利益・危険性の再評価が必要になった
- 改善後も連用が続き、継続必要性・濃度・部位が再評価されていない
比較7. 他の外用薬との比較
診療録8. 診療録に残す項目
- 診断、IGA/EASI/BSA、そう痒・睡眠・QOL、難治部位、感染徴候、必要に応じ臨床写真
- 薬剤・濃度・基剤、塗布部位、1回量、回数、予定期間、処方総量、併用保湿剤・抗炎症外用薬
- 年齢・体重、妊娠・授乳、腎障害・高カリウム血症、紫外線療法、感染症、びらん・潰瘍の有無
- 選択理由、代替治療、刺激感・感染・紫外線・眼粘膜への注意、改善しない場合の受診基準
- 2週または4週など薬剤固有の評価日、寛解導入後の減量・切替・プロアクティブ療法の計画
SOURCES一次資料・診療ガイドライン
本節は医療従事者の情報確認を目的とした一般的な整理です。実際の処方は診察時点の最新電子添文、診療ガイドライン、患者背景に基づいて判断してください。添付文書の用法・用量と、ガイドラインに基づく維持療法は区別して記載しています。
非ステロイド外用薬を比較する
疾患別の記事と薬剤別の記事を行き来しながら、治療の位置づけを確認できます。
監修医師
薬の基本情報だけでなく、選ぶ条件・避ける条件・改善後の出口まで確認しています。
監修医からのメッセージ
対象疾患、使用部位、年齢・患者背景
使用量、回数、剤形と導入時の注意
効果判定、副作用、中止・変更条件
よくある質問
モイゼルト軟膏は自分の判断で使い続けてもよいですか?
改善後に漫然と続ける薬と、維持目的で続ける薬は異なります。症状、部位、副作用、再発のしやすさを見て継続・変更・終了を判断します。
以前もらった薬を同じ症状に使ってよいですか?
見た目が似ていても、感染、湿疹、かぶれ、にきび、真菌症などで治療が変わります。残薬の使用は診察で確認してからにしてください。
参考文献
- PMDA 医療用医薬品情報検索
- 日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024
- AAD Guidelines of Care for Atopic Dermatitis
- Joint Task Force Atopic Dermatitis Guideline
- 大塚製薬 モイゼルト製品情報
掲載内容は一般的な医療情報です。診断・処方は診察での確認をもとに判断します。
