
同じ「非ステロイド」でも役割は異なります
ステロイドを含まないことだけで、効果や安全性を比べることはできません。
スタデルム、アズノール、コンベック、ジルダザックなどです。適応は広い一方、抗炎症作用は穏やかで、接触皮膚炎に注意します。
プロトピック、コレクチム、モイゼルト、ブイタマーなどです。作用点、対象疾患、年齢、回数、副作用がそれぞれ異なります。
薬の種類から見る
各薬の記事では、患者さん向けの使い方と副作用に加え、処方を検討する医師向けのエビデンスも掲載しています。
従来型の消炎・皮膚保護外用薬
急性湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、慢性湿疹、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎、帯状疱疹。尋常性ざ瘡はクリームのみ
詳しく見る炎症性皮膚疾患治療剤アズノール軟膏湿疹、熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍
詳しく見る皮膚疾患消炎鎮痛外用剤コンベック軟膏・クリーム急性・慢性・脂漏性・貨幣状湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、おむつ皮膚炎、酒さ様・口囲皮膚炎、帯状疱疹など
詳しく見る非ステロイド系抗炎症外用剤ジルダザック軟膏接触皮膚炎、急性・慢性湿疹、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、乳幼児湿疹、帯状疱疹、褥瘡、熱傷・放射線潰瘍など
詳しく見る疾患特異的な非ステロイド外用薬
8剤の違いを比較
添付文書上の適応と、疾患別ガイドライン上の位置づけは分けて確認します。
| 薬 | 分類 | 主な対象 | 年齢 | 回数 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| スタデルム軟膏・クリーム | 非ステロイド系消炎・鎮痛外用剤 | 急性湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、慢性湿疹、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎、帯状疱疹。尋常性ざ瘡はクリームのみ | 年齢・部位を診察で確認 | 通常、1日数回、適量を患部に塗布 | 刺激感、つっぱり感、そう痒、症状悪化、発赤、接触皮膚炎などが報告されています |
| アズノール軟膏 | 炎症性皮膚疾患治療剤 | 湿疹、熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍 | 年齢・部位を診察で確認 | 通常、1日数回、適量を患部に塗布 | 主な注意点は、刺激感、そう痒、発赤などの皮膚症状と、成分・基剤による過敏症です |
| コンベック軟膏・クリーム | 皮膚疾患消炎鎮痛外用剤 | 急性・慢性・脂漏性・貨幣状湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、おむつ皮膚炎、酒さ様・口囲皮膚炎、帯状疱疹など | 年齢・部位を診察で確認 | 通常、1日数回、適量を患部に塗布 | 紅斑、そう痒、丘疹、接触皮膚炎、腫脹、刺激感、灼熱感、乾燥、びらんなどが報告されています |
| ジルダザック軟膏 | 非ステロイド系抗炎症外用剤 | 接触皮膚炎、急性・慢性湿疹、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、乳幼児湿疹、帯状疱疹、褥瘡、熱傷・放射線潰瘍など | 年齢・部位を診察で確認 | 通常、1日数回、適量を患部に塗布。潰瘍では症状に応じてガーゼ等を併用 | 刺激感、そう痒、発赤などの局所症状に注意します |
| プロトピック軟膏 | カルシニューリン阻害薬 | アトピー性皮膚炎。顔・首などで選択肢。塗布初期の灼熱感に注意 | 成人用0.1%、小児用0.03%(年齢・用量は添付文書確認) | 通常1日1~2回 | 灼熱感、感染症、紫外線への配慮 |
| コレクチム軟膏 | JAK阻害薬 | アトピー性皮膚炎。年齢に応じた濃度・最大使用量を確認 | 小児・成人(製剤濃度と年齢を確認) | 通常1日2回 | 毛包炎、ざ瘡、感染症、塗布量 |
| モイゼルト軟膏 | PDE4阻害薬 | アトピー性皮膚炎。年齢に応じた濃度を選択 | 生後3か月以上(製剤濃度を確認) | 通常1日2回 | 色素沈着、毛包炎、そう痒など |
| ブイタマークリーム | AhR作動薬 | アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬 | アトピー12歳以上、乾癬は成人 | 通常1日1回 | 毛包炎、ざ瘡、接触皮膚炎、刺激 |
症状・治療段階で使い分ける
薬を選ぶ前に、湿疹、アトピー、乾癬、感染、接触皮膚炎などを見分けます。
強い赤み・かゆみでは、ステロイド外用薬を含めて治療強度を判断します。
顔・首・間擦部、小児、成人で使える薬と濃度、最大量が異なります。
改善後は保湿、プロアクティブ療法、刺激回避を組み合わせ、再燃を減らします。
FOR PRESCRIBERS / MEDICAL PROFESSIONALS
処方医向け:アトピー性皮膚炎の外用薬選択・用量・プロアクティブ療法
ステロイド外用薬、タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストを、年齢・濃度・塗布量・評価時期・部位・感染・妊娠・維持療法から比較します。
この一覧ページは複数疾患の非ステロイド外用薬を扱います。本節では、アトピー性皮膚炎の抗炎症外用薬4群に絞って処方設計を整理しています。
1. 外用薬選択前の評価
薬効の比較より先に、病変の重症度・部位・年齢・感染と、実際に塗れている量を固定します。
診断と鑑別
ADの診断、接触皮膚炎、疥癬、白癬、脂漏性皮膚炎、乾癬、薬疹を確認し、感染性病変を先に見分けます。
重症度
IGA、EASI、BSA、顔面・頸部・間擦部・手などの難治部位、そう痒NRS、睡眠、POEM/DLQIをベースライン化します。
外用治療歴
薬剤名・濃度・基剤、塗布部位、1回量、回数、期間、残薬、刺激感、ステロイド不安と塗布手技を確認します。
2. AD抗炎症外用薬4群の比較
薬剤ごとの承認用法と再評価時期を混同しないことが重要です。
| 薬剤群 | 対象・濃度 | 承認用法・量 | 再評価 | 処方上の要点 |
|---|---|---|---|---|
| ステロイド外用薬 | 年齢・重症度・部位に応じ国内5ランク | 通常は急性増悪時1日2回、改善後1日1回・漸減を検討。量はFTUで教育 | 通常診療で早期に反応を確認 | 寛解導入の中心。皮膚萎縮、毛細血管拡張、眼周囲、感染、長期大量使用を確認 |
| タクロリムス(プロトピック) | 成人0.1%。小児2歳以上0.03% | 1日1〜2回。成人は1回5gまで。小児は年齢・体重別上限 | 2週以内に改善しない/悪化で中止 | 刺激感、びらん、感染、腎障害・高K、紫外線、密封・重層を確認 |
| デルゴシチニブ(コレクチム) | 成人0.5%。小児0.25%、症状により0.5%。生後6カ月未満は試験なし | 1日2回、1回5gまで。小児は体格を考慮。BSA 30%までを目安 | 0.5%で4週以内に改善なしは中止 | 感染部位、毛包炎・ざ瘡・刺激、カポジ水痘様発疹。改善後は小児0.25%への変更を検討 |
| ジファミラスト(モイゼルト) | 成人1%。小児0.3%、症状により1%。生後3カ月未満は試験なし | 1日2回。皮疹0.1m²あたり1gを目安 | 1%で4週以内に改善なしは中止 | 色素沈着障害、毛包炎、膿痂疹、妊娠可能性・避妊。改善後は小児0.3%への変更を検討 |
3. 塗布量・処方総量・アドヒアランス
外用治療の不十分な反応では、薬剤変更前に塗布量不足と処方切れを確認します。
| 指標 | 目安 | 実務 |
|---|---|---|
| FTU | 1 FTUは成人の人差し指先端から第一関節までで約0.5g。成人手掌2枚分に相当 | 主にステロイド外用量の教育に使用し、部位別必要量から処方総量を逆算する |
| タクロリムス | 約0.1gで10cm×10cmを目安。成人1回5g上限、小児は年齢・体重別 | 使用面積、チューブ消費量、刺激で塗布量が減っていないか確認 |
| コレクチム | 1回5gまで、BSA 30%までを目安。小児は体格を考慮 | 広範囲・乳幼児では面積とチューブ消費量を明示して再診時に照合 |
| モイゼルト | 皮疹0.1m²あたり1g | 病変面積から1回量・1日量・再診までの必要本数を計算 |
4. 部位・病勢による選択と組み合わせ
強い炎症・苔癬化
重症度に合うステロイドランクで速やかな寛解導入を優先し、改善後にランクダウン・回数減・非ステロイド外用薬への移行を検討します。
顔面・頸部・間擦部
ステロイドの局所副作用と眼周囲への影響を考慮し、タクロリムス等を選択肢にします。ただし刺激、びらん、感染、粘膜を確認します。
広範囲・難治例
適切な量・手技・期間でも改善しなければ、診断、接触皮膚炎、感染、アドヒアランスを再評価し、全身治療や専門医連携を検討します。
5. プロアクティブ療法と寛解維持
十分に寛解導入した後、再燃を繰り返す部位へ抗炎症外用薬を間欠的に使用する戦略です。
- ガイドラインで標準的に示されるのはステロイド外用薬またはタクロリムス軟膏の週2回程度の間欠塗布で、毎日の保湿を併用する
- 見た目だけでなく、そう痒・紅斑がなく、触診でわずかな隆起もない十分な寛解を確認して連日塗布から移行する
- 週2回は全製品共通の添付文書用法ではない。薬剤の承認用法とガイドライン上の維持戦略を区別し、医師管理下で部位・期間を個別化する
- デルゴシチニブとジファミラストは、添付文書上、改善後に継続の必要性を検討し、漫然と長期使用しない
6. 感染時対応と治療失敗の見直し
| 状況 | 確認 | 対応 |
|---|---|---|
| 膿痂疹・毛包炎 | 膿疱、痂皮、疼痛、急速な拡大、発熱 | 感染部位を避け、必要な抗菌治療を先行または併用。単なるAD増悪との鑑別を行う |
| 単純ヘルペス・カポジ水痘様発疹 | 有痛性の小水疱・びらん、発熱、眼周囲 | 速やかに抗ウイルス治療を検討し、眼周囲・全身症状では緊急度を上げる |
| 白癬・疥癬・接触皮膚炎 | 分布、家族内発症、鱗屑、境界、KOH・パッチテスト適応 | 診断を修正し、抗炎症薬の単純増量を避ける |
| 反応不十分 | 量・範囲・回数、基剤、塗布手技、処方切れ、刺激、診断 | 薬剤固有の2週/4週判定を守り、中止・切替・全身治療を検討 |
7. 薬剤別の処方情報
8. 診療録に残す項目
- 診断、IGA/EASI/BSA、そう痒・睡眠・QOL、難治部位、感染徴候、必要に応じ臨床写真
- 薬剤・濃度・基剤、塗布部位、1回量、回数、予定期間、処方総量、併用保湿剤・抗炎症外用薬
- 年齢・体重、妊娠・授乳、腎障害・高カリウム血症、紫外線療法、感染症、びらん・潰瘍の有無
- 選択理由、代替治療、刺激感・感染・紫外線・眼粘膜への注意、改善しない場合の受診基準
- 2週または4週など薬剤固有の評価日、寛解導入後の減量・切替・プロアクティブ療法の計画
一次資料・診療ガイドライン
本節は医療従事者の情報確認を目的とした一般的な整理です。実際の処方は診察時点の最新電子添文、診療ガイドライン、患者背景に基づいて判断してください。添付文書の用法・用量と、ガイドラインに基づく維持療法は区別して記載しています。
よくある質問
非ステロイド外用薬はステロイドより安全ですか?
一括して安全とは言えません。従来型の外用薬では接触皮膚炎、標的型外用薬では灼熱感、毛包炎、感染など薬ごとの注意点があります。疾患・部位・年齢に合わせて選びます。
顔やまぶたにも使えますか?
薬によって使用できる部位や注意点が異なります。顔・まぶたは皮膚が薄く、眼症状や感染との鑑別も必要なため、処方時の指示に従ってください。
ステロイド外用薬と一緒に使えますか?
炎症期と維持期で使い分けたり、部位ごとに併用したりすることがあります。自己判断で重ね塗りせず、塗る順番・範囲・期間を確認してください。
塗るとかえって赤くなりました。どうすればよいですか?
原疾患の悪化だけでなく、刺激や接触皮膚炎、毛包炎、感染の可能性があります。強い悪化なら使用を中止し、早めに診察を受けてください。
ステロイド外用薬との役割を比較する
非ステロイド外用薬は、ステロイドの代用品として一律に使うのではなく、部位、治療段階、刺激感、再燃頻度を見て組み合わせます。
かゆみに使う非ステロイド外用薬
同じ『かゆみ止め』でも、クロタミトンと外用抗ヒスタミン薬は作用が異なります。
単剤とステロイド配合剤を見分ける
名前が似ていても、H・コーチゾン製剤はステロイドを含み、非ステロイド単剤とは注意点が異なります。
監修医師

外用薬は「ステロイドか、非ステロイドか」だけで決めるものではありません。診察では、疾患、炎症の強さ、塗る部位、年齢、感染の有無、これまでの治療反応、毎日続けられる剤形まで確認します。従来型の非ステロイド性消炎外用薬は作用が穏やかな一方、接触皮膚炎に注意が必要です。タクロリムス、JAK阻害薬、PDE4阻害薬、AhR作動薬はそれぞれ適応年齢や使い方、安全性が異なります。薬の名前だけで選ばず、治療目標と再診時の評価項目を共有することが大切です。本記事は添付文書、診療ガイドライン、査読論文を確認し、患者さんと医療者の双方が治療の位置づけを理解できるよう整理しています。
参考文献
- 日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 非ステロイド外用薬
- AAD Guidelines of care for atopic dermatitis: topical therapies
- JTF Atopic Dermatitis Guidelines 2023
- Japanese phase 3 trials of tapinarof for atopic dermatitis
- Tapinarof cream for plaque psoriasis: PSOARING 1 and 2
掲載内容は一般的な医療情報です。処方の適否、使用量、使用期間は診察で判断します。添付文書の改訂や患者さんの状態により説明内容が変わることがあります。